- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784030034303
感想・レビュー・書評
-
高楼方子さんについては、薄い絵本や厚い児童書を何作か読んで、好きだなあとは思っていたが、今回この老嬢物語なるエッセイを読んで、わーなんかもう大好きですとしか言いようがない気持ちになってしまった。語彙力がなくなるのは好きの証と思っているが敢えて言葉にすると、型にはまらず取り繕いをせず感じたままを表現しているような自由な空気をまとっていて、それでいて破天荒とかお騒がせとかいうような、(悪く言えば)暴力的な要素は一切ない、そんなところが好きです。
誤解のないように書いておくと、これは方子さん(慕わしい気持ちを込めて下の名前で呼んじゃった)が自分のことを“老嬢”と読んで自分語りをしたエッセイではない。身の回りや、物語の中や、旅先などで出会った素敵な“おばあさん”たちのことを紹介する本である。老嬢というのは辞書的にはいわゆる“オールド・ミス”、未婚で老いた女性のことを指すが、そもそもこの言葉の定義やそのどこか侮蔑的な和製英語もどういうんでしょうね、という視点も持ちながら、堅苦しいルールは無しにいろんな“高齢の女性”を登場させている。それよりも、老嬢という言葉には、老女や老婆という言葉にはない「凛としたおしゃれ感」や「お転婆でちょっと楽しい感じ」が漂っている気がするのだ、と述べておられ、自身の感覚を信じて言葉を選ぶそんな姿も自由で素敵である。
「忘れえぬお留守番」という章では、石井桃子さんの著書『家と庭と犬とねこ』を読んだ感想として「波長の合う友人や本に出会ったときの喜びを描いた章も、ああ実にこの通り…と目が覚めるようだった」と述べられている。方子さんが一ファンとして語る石井桃子さんへの思いを読むと、私もまた、ああ実にこの通り…と胸の底が熱くなった。
総括はここまでで、以下は備忘メモ。
・ソラマメばあさん誕生秘話!
・見たい映画、読みたい本の増えたこと。尾崎翠『第七官界彷徨』『アップルパイの午後』、ドリス・レッシング『夕映えの道』、フランク・キャプラ『ポケット一杯の幸福』、ヒッチコック『バルカン超特急』、長谷川町子『いじわるばあさん』。
・波長の話。
・トメさん(仮)の思いを推しはかる一節が良かった。
・あとがきの、おばあさんのイデアなる人のイラストがまた最高。 -
私が敬愛してやまない童話作家、高楼方子さんのエッセイ集。高楼さんがであった「老嬢」(老女ではない)たちを微笑ましく紹介。こう歳をとりたいものだと思う。
-
chikako0420さん、こんにちは♪
はじめてコメントさせていただきます。
いつもchikako0420さんのレビュー楽しみにしてます。...chikako0420さん、こんにちは♪
はじめてコメントさせていただきます。
いつもchikako0420さんのレビュー楽しみにしてます。
実はわたしも高楼さん、好きなんです。
何年も前に読んだ『11月の扉』が忘れられません。
とは言え、それしか読んでいないので、大きな声で好きといってはいけないのかもしれませんが・・・その一冊がとても素敵だったのだから、仕方ありません 笑
先日、本屋さんでその本を偶然見つけて、あの時の気持ちが蘇ってきたところに、偶然chikako0420さんのレビューを見つけたので、
何だかびっくりしてコメントしてしまいました。
高楼さんのエッセイなんですね。
ぜひ、読んでみたいと思います。
そして、たくさんの作品のほうもじっくりとを読んでいきたいと思います。
ちなみに、他の児童文学作家さんで好きな方は、富安陽子さんと
岡田淳さんです。また、おすすめの作家さんが教えていただけたら嬉しいです(*^^*)
2018/10/15
-
-
こども向けのお話や、絵本も、大人が読んで楽しい高楼方子さん。エッセイストとしても一流です。
今回のテーマは老嬢。おばあさんですね。現実に出会ったおばあさんだけでなく、映画や小説のなかから、出てくる出てくる。
ダフネ・デュ・モーリア原作のサイコホラー「赤い影」ヒッチコックの「バルカン超特急」に出てくるおばあさん。アルバイトしていたとき出会った事件のおばあさん。イタリアで出会った貴族の末裔のおばあさん。子どもの頃に読んだ童話のなかのおばあさん・・・。
そして、高楼さんの祖母のお話。
なぜ、おばあさんなのか。高楼さんの物語のヒミツが明かされたような気がして、嬉しかったです。 -
読み進めるに連れてどんどん面白くなっていく一冊。
川上弘美の『ゆっくりさよならをとなえる』しかり、作家が好きな本を述べたエッセイは楽しいし、新しい読書への良き案内となる。
幕内弁当の卵焼きのはなし、泥つき大根のトメさんのはなし、いじわるばあさんのはなし、クマとおばあさんのはなし、思わず引き出しにストックしておいて、自分の話として再話したくなるものばかり。石井桃子さんの逸話もいいですしね。 -
凛としたおしゃれ感があって、ちょっとおてんばでたのしい感じも混じっている。
思わず〈老嬢〉と呼びたくなるような、おばあさんについて語ったエッセイ。
個性的でユーモラスだったり。
心あたたまる話だったり。
現実世界で出会った人や、小説や映画の中の人。
それぞれに対する、あたたかいまなざしに満ちているので、ほっこりして読後感もよかった。
だれもがあいすべき老嬢たちで、読んでいてたのしい。 -
いろんな「老嬢」こと味のあるおばあさんたちにまつわるエッセイ。たかどのさんの手にかかるとみんなチャーミング。かっとたかどのさん本人もとてもチャーミングなんだろう。文章から伝わってくる。読んでいる時より読んだ後の方がいろんなおばあさんを思い出してにまにましてしまいなんだか楽しかった。楽しく生きるおばあさん。そうなれたらいい。
-
2019.06.29
-
高楼方子さんのエッセイ
何の気なしに聞きに行った絵本作家の講演が
高楼さんだった。
もう ゆったりとした柔らかいお人柄で
とっても楽しかった。
そして 読んだのがこのエッセイ
良い!!
(どんだけステキで面白いおばあさんが高楼さんの周りにいるんだよぉ)と突っ込みたくなる
挿絵も描く作家さんだけに 描写も楽しくて
電車で吹き出しそうになってしまった
色々な映画や小説も紹介されているので
いろんな場面での老嬢にお会いできることこの上なし
ほっこりとしたい方 是非お読みください。
方子さん自身、あとがきで、「私っておばあさんが好きなのか?」と考察しており、その様子も面白かった...
方子さん自身、あとがきで、「私っておばあさんが好きなのか?」と考察しており、その様子も面白かったです。『黄色い夏の日』未読ですが、“老嬢”のことを思い出すかもしれませんね!
そうそう『黄色い夏の日』、是非読んでみて下さい。
ネタばれになるので書き方...
そうそう『黄色い夏の日』、是非読んでみて下さい。
ネタばれになるので書き方が難しいのですが、ある意味、衝撃的で、方子さんの新たな一面が、垣間見えるかもしれません。
ほんとですか。『ココの詩』(これも衝撃的でしたよ)が図らずもデビュー作だったので、長めの読み物系はどうせなら古い順...
ほんとですか。『ココの詩』(これも衝撃的でしたよ)が図らずもデビュー作だったので、長めの読み物系はどうせなら古い順に読んでみようかなと思っており、『黄色い夏の日』は最新のようですね…。楽しみにしておきます!