- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784035409601
感想・レビュー・書評
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人のさがをのぞきこんだような、美しくおそろしい短編集。
人間のさが、欲深さを描きながらも、けっして断罪しない。だから考えてしまう。
『夕暮れ海の物語』『木の葉の魚』『奥さまの耳飾り』どれも哀しく美しい話の中でふっと怖いと感じてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このシリーズが大好きですが、今回はちょっと暗めだったり悲しい雰囲気のお話が多かった印象で、個人的にはいつもの穏やかな感じのほうが好きですが、こういうお話も書かれるんだなあと知れてよかったです。
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安房直子さんの物語は、いつも何か物悲しかったり、不穏な影が差しているので、読んでいるとだんだん心配顔になっていってしまう気がする。
だけど物語を紡ぎだす言葉が美しく、それによって浮かび上がる世界に魅了される。
安房直子さんの物語そのものが魔法みたい。
結局は物悲しく不穏な世界の虜になってしまうのだ。 -
これは、わたしの知っている安房直子とは、ちょっと違った感じの物語集です。
喪失感とか、どうしようもないあこがれの気持ちとか、そういったところは、安房直子なのです。それらの感情や、そこに映し出される異界をガラスごしに眺めている印象があるのが、わたしの知っている安房直子の童話なのです。
でも、この本に書かれている作品では、実際に、その世界にアクセスしてしまう。しかも、帰ってこれなくなっちゃうのです。
そして、その話が、教訓めいていないだけに(多少は「欲張りすぎ」とかあるのですが)、よけいに淡々としていてこわいです。
鶴の家
死んだ人の数だけ、お皿の鶴が増えていきます。
これは、けっこう怖いです。
最終的には、ハッピーエンドなのですが、なんか、怖さは後に残ります。
というか、ハッピーエンドはあんまり後に残らなくて、怖さはあとにひいている感じです。
日暮れの海の物語
さて、カメから逃れることができたのですが、
「わたしはかめを裏切った……。」
と、心に思い続けながら生きていくのが幸せであったかどうか。
長い灰色のスカート
あっちにいってしまうのは、怖いとともになんか甘美な感じもします。
これは、この本に収められていく作品のほとんどに共通する雰囲気です。
神隠しにあいやすい子に対するあこがれが、自分のなかにあるようです。
木の葉の魚
ちょと、金子みすずの詩を思い出してしまいました。
こうやって、網にかかる大量の魚たちが、みんなこんな物語をもっているとしたら……。怖いですねぇ。
奥さまの耳飾り
「魔法というのは、悲しいものだ。」
どこかに、この考えがつねに潜んでいるのかもしれません。
そして、恋愛も、魔法のようなものなのでしょうか。
野の音
人さらいの話です。
そして、なぜか、さらわれたくなるような弱さ、ここではないところに生きたくなる弱さを人はもっているんだと感じさせられます。
青い糸
これも、誘われて、行って、帰ってこないお話です。
女の子が、男の人を連れて行きます。
男の方が、さそわれやすいのかもしれません。
火影の夢
これも、女の子が、男の人を連れていく話です。
幸せだった過去に戻ったのだから、もしかすると幸せかもしれない。
そう感じながらも、なんか、ゾッとするような印象も残るのは、なぜなんでしょう。
野の果ての国
悪夢のみせた幻でしょうか。
それとも、本当にあったことでしょうか。
それは、多分それは、それぞれの読者の判断ということになるのでしょう。
銀のくじゃく
夢なんか追いかけるから…。
でも、夢を追いかけずにはいられない。
それが、滅びにつながっていても。
そんなお話です。 -
みんな、どこか遠くに行っちゃう話だった。騙されたカメは可哀想だよな。滅びたクジャクの国のクジャク達はどこに行っちゃったんだろ?一羽だけ残されたじいやが気の毒('・ω・')
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この巻はとくにちょっと怖い感じのお話が集められている。
世界の果て、あるいはどこかも分からない違う国、遠い遠いところ・・・。行って帰ってくるものの痛い目を見ていたり、行ったきり帰ってこなかったり。
「別世界」は、ほんとにきっと、すぐ近くにあるんだろうなぁなんて、安房さんの物語を読んでいるとしみじみ思ってしまう。 -
この本は安部直子コレクションの6番目です。お話はたとえば『鶴の家』 『木の葉の魚』 『奥様の耳飾り』等です。
わたしが一番オススメするお話は『木の葉の魚』です。内容はおなべの中に
木の葉をいれると魚にかわるというのです。
でも、海の魚は1匹1匹へっていくので、困ったときにしか使ってはいけないといわれています。でも、どんどん使ってしまいます。
どうなるのでしょうか? -
童話パート2。この人のファンタジーは普通にいい話もあればちょっとブラックっぽい所のあるものもあって面白い。
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果ての国のように、静かな気分で本を閉じることができました。<BR>
これまでの最終章ではないけれど、一味も二味もかみしめながら読みました。 -
この人の書く物は切なすぎて胸に染みます。
童話は子供だけの物で無いんだな〜としみじみ思いました。
文庫で出たら全巻揃えるのに…。