ジャングル・ブック 第1部 完訳版 (偕成社文庫 3173)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036517305

感想・レビュー・書評

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  • (私が読んだのはこの版ではないんだが、出版社と翻訳者でこれしか出なかったので、私が読んだのは旧版とかなのかもしれない)

    ディズニーの実写版映画を観ました。
    娘が気に入ったようでアニメ版も借りたり友達に原作借りて読んだりしてました。
    私も作者がキプリングということでいつか読むぞと思っていたのでちょうどいい機会と借りてきた。
    こちらはジャングル・ブックのなかでも狼に育てられた少年モウグリを主人公としたものを翻訳したもの。
    キプリングは短編を読みましたが(⇒
    http://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4336030472)、
    密かな奇蹟をのぞかせるなんとも余韻の残る短編集だった。
    なお、監修のボルヘスは大の虎好きのため、「ジャングル・ブックで唯一の不満は悪役のシーア・カーンが虎だということ」と嘆いておりますがさすがにこればかりはどうしようもない(苦笑)。

    ★★★
    物語は狼少年モウグリを中心とした連作短編のような作りで、時系列は行きつ戻りつしています。
    詩人でもあるキップリングらしく、各章の最初と最後は詩で語られます。

    第一章「モウグリの兄弟たち」
    ジャングルでオオカミに保護された人間の赤ん坊は”カエルのモウグリ”と名付けられる。父オオカミ、母オオカミ、群れの頭アケイラ、ジャングル一の狩人黒豹のバギーラ、オオカミの子供たちジャングルの掟や礼儀を教えるクマのバールーに守られ、オオカミの自由な一族と共に育つ。
    十一年後。人間を憎むトラのシーア・カーンが現れオオカミの群れの意見は衝突する。
    年取ったオオカミのリーダーの行く末、群れの若者の心に忍び込むシーア・カーンの囁き。
    モウグリは動物たちが恐れる”赤い花”、つまりは火を恐れず、器用に手を使う、という人間の本質も持つ。
    モウグリはオオカミの群れを離れ来たるべき対決に備え人間の村へと向かう。

    第二章「カー登場」
    まだモウグリがオオカミの一族を出ていく前の話。モウグリはバールーにジャングルの動物たちへの挨拶や合言葉を教わっている。ジャングルで生きるために必要な知恵。
    ある時モウグリはサルの群れに攫われた。サルは気紛れで浅はかで考え無し。助けに向かうバギーラとバールー。サルが苦手とするのは大蛇のカー。
    モウグリは勇敢な心と礼儀正しい舌を使いサルの群れから逃れようとする。

    第三章「トラよ!トラよ!」
    第一章の後、人間の村に加わったモウグリ。
    人間の母の情に触れ、人間の言葉や暮らしを覚える。
    ジャングルを知るモウグリには人間たちの迷信が奇妙に感じる。
    第一章で割れたオオカミの群れの元リーダーのアケイラ、モウグリと一緒に育った兄弟オオカミたちと交流を深めるモウグリ。
    そこへシーア・カーンが現れる。
    モウグリはジャングルの友だちと共に、人間の知恵を使いシーア・カーンとの対決を迎える。

    第四章「恐怖の始まり」
    モウグリがジャングルにいた頃、物知りゾウのハティが語るジャングルの伝説。
    なぜ虎は人や家畜を食うのか、なぜ動物たちは人間の目を見られないのか。

    第五章「ジャングル、村をのむ」
    第三章の後、人間の村を去ったモウグリを悪魔の使いとみなして追いつめようとする人間たち。
    ジャングルで新たな群れを作っていたモウグリは、知恵を使い自分たちを追う人間たちを追い払う。
    人間でもありジャングルの動物でもあるモウグリは、共に育った兄弟狼たちやバギーラたちからも一目置かれる力強さを示していく。

    ★★★

    ディズニー版ではアニメでも実写でも大きなテーマは「ジャングルで育った人間の少年は、ジャングルで暮らすのか、人間の村に戻るのか」「人間を憎むトラのシーア・カーンとの対決」の二つだと思います。
    しかし原作ではその両方はクリアしていました(笑)
    ジャングルを追われれば人間の村に入り、言葉やしぐさを覚え、人間の母の愛情や奇妙なしきたり諍いを覚えます。
    そして人間の村を追われればまたジャングルに戻り、自分とその仲間達で狩りをします。
    さらに数年後にはまた人間の暮らしに戻るようです。
    人間の言葉を理解し、動物の言葉や掟を理解し、知恵と礼儀正しい舌と、器用な腕を使う。ジャングルでは動物たちのおきてや伝説を習います。生きるために必要です。
    人間と動物の集団の両方に馴染めないモウグリですが、それはどちらでもないのではなく、両方であるからですね。

  • Graveyard Bookとの比較で読んだ。
    時系列が前後して落ち着かない展開だと思ったら、元は短編集だったのか。
    作り話ばかりする人間を笑っておきながら、ジャングル創世記のようなゾウの話も似たような神話風の話で「?」となった。
    サルとインド人をばかにしすぎだし、荒れ狂うジャングルを止められるのは白人だけ、などとイギリス人を別格化してあるのは、古さゆえか…
    動物、人間、自然、おきて、言語、強さとは…色々な要素が入ってはいる。
    テーマは興味深いので、もう少しまとまりがほしい…と残念に思う。

  • 0717読了。
    最近地上波でディズニー実写版の映画を見て、図書館に大好きな金原瑞人さん訳があったので読み始めました。
    原作が映画と違うところは、モウグリがオオカミの群れで育てられるとき、始めから“人間の子”を肯定する動物(クマのバールーと黒ヒョウのバギーラ)がいたこと、トラのシーア=カーンへのモウグリの復讐が完璧だったこと、そしてモウグリがジャングルを統べるような存在になっていくこと。
    村へ戻って人間として滞在したのには驚いた。
    シーア=カーンへの復讐に水牛を使ったのも。
    オオカミのアケイラが引退してからも生き延びていることも。

    蛇のカーがサルのバンダー=ログからモウグリ救出に一役買った話が一番好きだった。
    続編を読むか悩む!

  • 平成21年1月23日 1年生。

  • キプリングのことを思い出しついでに。ジャングル・ブックがどんな話かも忘れていた。ターザンと混ざってしまっていた。

    (たしかネズビットの本かなにかで、登場人物の男の子が好きな本をあてようと「ジャングル・ブック」の名前をあげるシーンがあったはず)

  • オオカミに育てられた少年モーグリ
    黒ヒョウのバギーラと熊のバルーといっしょに
    インドのジャングルを駆け回りたい
    下巻といっしょに是非どうぞ

  • 第1部・第2部で、モウグリの物語を番外編まで集めた唯一の完全版。
    クロヒョウのバギーラがどっきどきにかっこいいんだ!

  • 今では、買える種類自体が少ない『ジャングルブック』ですが、これは自分が持っている中では一番内容がしっかりしています。動物達の詩がとても面白い。

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