軽装版 天と地の守り人<第1部>ロタ王国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500900

作品紹介・あらすじ

行方不明の新ヨゴ皇国皇太子チャグム。チャグムを追ってひとりロタ王国へむかう女用心棒バルサ。壮大な物語の最終章『天と地の守り人』三部作の第一部。

感想・レビュー・書評

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  • いよいよラスト三部作に突入。

    前作「蒼路の旅人」で海に飛び込んだチャグムを追ってバルサが動き出した。
    チャグムの計画は、たくさんの複雑な各国の事情や、チャグム自身が新ヨゴ皇国ですでに死んだ者として扱われている事実、また、予想以上のタルシュの力の及び方を前に思ったようには進まない。
    なんと、カンバル王側近にもタルシュの息がかかっていた・・・!

    誰にどんな思惑があって、どことどこがつながって・・・あぁ、もう混乱!
    私の頭では一度さらっと読むだけでは、あちこちにほころびがあって、読みながら頼りない記憶をさぐる、読み進める、一度頭の中で整理してみる、読み進める、記憶をさぐる、頭の中で整理・・・んあぁぁぁ!となる。

    驚いたことに、上橋さんは執筆の際、プロットを立てたり、メモをとったり一切しないとのこと。あとがきにそう書いてあって、どんな頭脳をお持ちなのか察しがついた。この頭脳がなければ、いくら筆力があってもこんな壮大な物語はできまい、とつくづく思った。

    バルサとチャグムが再び、試練を共にすることとなって、わくわくせずにはいられない!すぐにでも第2部へ突入したくなる本作たっだ。

  • 2021.02.24.読了

  • ついに守り人シリーズ最終巻に手を出した。バルサの物語が終わるのが寂しくてずっと読むのを先延ばしにしていた。
    精霊の守り人に出会ったのは小学生の時。精霊の守り人の発売から10年で天と地の守り人が発売されたというので、初読から10年以上経っているという事は、だいたい同じ時間の感覚で読んでいることになる。たまたまだけど。
    当時はチャグムと同じ年齢だったから、チャグムと同じ目線で読んでバルサ大好き!みたいな気持ちでいたけど、バルサの年齢に近づいている今はバルサ目線で読んでしまう。チャグムが成長したことはとても嬉しいけれど、あの幼いチャグムとは違うことに寂しさもある…。

    と、ここまで書いて感想ではなく思い出語りになってしまいました。
    あるようなないような望みを抱いて旅をするチャグムを、ずっと心配していたバルサ。その追い詰められ具合はこちらの胸が痛くなるくらいだった。途中カシャルの家で読んだチャグムがバルサに宛てた手紙からは、気遣いや覚悟が伝わってきて私も自然と涙が出た。そんな2人がやっと再会できたときは本当に嬉しかった。これからの2人の旅は決して楽な道のりではないだろうけど、バルサとチャグムが一緒に旅できる幸せを感じながら、2人がたどり着く先をこの目で見たい。

  • こういう話をこんなに長く読み進めたのは初めて。

  • チャグムのことを大切に思う人達の気持ちに涙が止まらなくて。。
    間違いなくシリーズの中で一番おもしろい本作に鳥肌が立った。
    もうとにかく次が読みたい。

  • チャグムは受難すぎる。バルサの齢を重ねてきた描写も入ってきた。ヒュウゴは有能なイケメン野郎。ロタ王国のカシャル再び。シハナの再登場は嬉しかった。自分の感情を優先させないところはプロ。
    新ヨゴ、ロタ、カンバルの3国のかけひき、南のタルシュの思わく。少しだけ、ヒュウゴの考える最善策がご都合すぎる感じがしないでもないが、タルシュも一枚岩ではないことがもっと語られるとよりおもしろさが際だってくるような。
    カンバルに向かうところで終わる。

  • 2011年6月5日読了

    前巻から時間が経ち、バルサやタンダたちの元にもチャグムのことが行き渡り悲しみを押し殺している頃、バルサの所にジンの遣いが現れる。
    そこからはずっとバルサと一緒に急く気持ちを押さえながら、チャグムの足跡を追い続けていた気がする。まるで自分が感じるかのようにチャグムを追いかけるのは心配と、そして早くバルサに今のチャグムを会わせてあげたいという読者の気持ちが重なるからなのかなと思った。

    バルサとチャグムが再会した時は詰めていた息をようやく吐き出せたような心地で、感慨深かったなぁ。
    チャグムは昔のような立場ではないし、今選択している道は寧ろ皇太子としての立場。だけど、私はどうしてもバルサが思った通り、また3人で暮らせるんだよと言いたくなってしまった。
    どんな選択をしても、彼には幸せになってもらいたい!

    そんな2人とは別にタンダも運命に翻弄されていく。
    あたしは心底、タンダの兄を軽蔑したね!タンダが爪弾き者であることを、いつも無言で当て擦ってくる。タンダが優しく、断れないのを知っているからだ。気持ちはわからないわけではないが、だからってタンダに押し付けなくたって…と思う。

    これから、みんなどうなってしまうんだろう。

  • 守り人シリーズも大詰め。
    前作で、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、好戦的なタルシュ帝国の虜囚となった。
    皇太子が海で死んだという噂に、苦しむバルサのもとへ、思わぬ使者が訪れる。
    新ヨゴ皇国は1年前から鎖国に入っていた。
    チャグムを助けられるのは自由に動けるバルサだけというジンの手紙の内容に、チャグムを探して旅をするバルサ。
    一方、あちこちで天候の変動が起き、タンダとトロガイは様子を探っていた。
    ナユグに春が来て、あちらの川が増水、その影響がこの世界にも重なって起きている…?
    とうとう村に徴兵が来て、タンダも軍に加わることに。
    チャグムはひそかにロタ王国に潜入、同盟の道を探っていた。
    ようやくロタのイーハン王子に会うが、故国では死んだとされているチャグムに同盟を結ぶ力はない。
    カンバル王と結んではどうかとイーハンに持ちかけるバルサ。
    バルサは雪の中、チャグムの足跡を追う。
    危機一髪、ついに再会する二人に涙。

  • 守り人シリーズ最終三部作の第一部。

    一つの映画を見ているようなスケールで、どんな場所でも思わずのめりこんで読めてしまうのが、この作品の魅力。

    アニメで知ったこの作品も、いよいよ終盤戦にさしかかり、今まで出てきた国々が一つの大きな国の脅威にさらされ始めた。

    一度は生死不明だったチャグムの手がかりを得たバルサは、再びチャグムを救うべくその足跡をたどるのだが、なかなかたどりつかないと同時に、不穏な政情が耳につくようになってくる。今後、二人は再開することができるのか、そして、タンダなどバルサをめぐる人々の運命は・・・。

    走り出した第一部、全部で三部作の長編となるので、じっくり楽しみたい。


  • 聖なるものは遠くで崇めるものって
    遠くから眺めているうちは、知らずに憧れているうちには見えなくて
    近づいて触れてみると、それだけではないところがあるもの。

    手放しで良い出会いとは言えないけれど、チャグムとバルサが再び出会えてよかったな。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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