怪物

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 297
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040006581

作品紹介・あらすじ

是枝裕和監督と坂元裕二がタッグを組んで贈る、圧巻のヒューマンドラマ『怪物』。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、稀代のストーリーテラー・坂元裕二のシナリオに世界が注目を寄せています。安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら実力派キャストが勢揃いし、映画初出演となった黒川想矢と柊木陽太が二人の少年をみずみずしく情感豊かに演じました。

その魅力の核心には、家族のあり方や子どもならではの揺らぎなど、是枝裕和監督と共通するモチーフに取り組んできた坂元裕二が紡ぐ物語にあります。このシナリオブックでは、本作の"決定稿"を完全収録。映画鑑賞後に読むと、また味わい深い、坂元裕二脚本の妙ともいえる、軽妙なセリフまわしや、すれ違う登場人物の繊細な描写。

複数の視点で描かれた物語だからこそ、読み返すたび発見のある『怪物』オリジナルシナリオブックは映画ファン必携アイテムです。

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大きな湖のある郊外の町。ある嵐の朝、子供たちが忽然と姿を消した…。
息子を愛するシングルマザー、生徒思いの教師、無邪気な子供たち。
それぞれの視点から描かれる「怪物」探しの果てに、明らかになる正体とは。

映画『怪物』
2023年6月2日公開

監督・編集:是枝裕和(『万引き家族』)
脚本:坂元裕二(『花束みたいな恋をした』)
音楽:坂本龍一(『ラストエンペラー』)
キャスト:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 / 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子
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感想・レビュー・書評

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  • 映画には描かれていない部分、あえて有耶無耶にしていた部分も描かれていて解釈が変わった。映画では少し坂元裕二っぽさが緩和された台詞回しだったように感じたけど、文字で読むとこれぞ坂元裕二の言葉に触れられた。最高の一冊。

  • 誰にでも手に入るものを幸せっていうの。

    映画を観てからほぼ3ヶ月。姉からシナリオブックを借りたので、さらに物語を深掘りしていきます。

    シナリオブックを読み返すと、映画を観るだけでは拾えきれなかった“愛”や“性”についての描写がたくさんあることに気がつきました。

    さすが細かい部分まで抜かり無く脚本を書き上げる、坂元さん。尊敬でしかない。

    ここからは、ネタバレ注意!

    成長していく自分の体と心に戸惑う敏感な思春期に母親が、

    「お父さんと約束してるんだ。湊が結婚して、家族を作るまでは頑張るよって。どこでもある普通の家族でいい。湊が家族っていう、一番の宝物を手に入れるまで、、、」

    家族の幸せを願うのは当たり前のことだし、決して悪気があって言った言葉ではない。しかし、普通の家族といえど、それが難しい人もいる。

    自分は普通じゃない。何者なのか。
    答えが分かりつつも認めなくない自分自身のこと。

    依里の父親は、息子の考えが受け入れられず、「お前の脳は、豚の脳だ。」と言う。自分の息子にそんな言葉を放つなんて信じられないけど、受け入れられない親もいるんだろうな。

    校長先生が言った、
    「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。しょうもないしょうもない。誰でも手に入るものを幸せって言うの。」

    と言う言葉、映画で見た時もズーンって沁みたけど、文字で見るとやはり沁みました。

    2人が両手を広げて、空を仰ぎながらかける姿はこっちまで嬉しくなりました。

    まーだまだ語り足りないけど、この辺で。

    もう一回映画を観たくなりました!今度は見逃していたポイントをちゃんと注目してみてみよう

  • 映画を観たうえで読んだ。

    シナリオ時点では、映画より一段強めにLGBTQに関して描写されているように思う。美青さんがBL好きなんて、映画では説明されてなかったような。
    あと、校長先生まわりもラスト前のところはカットされてたような。

    映像で見るよりも、文章で読んでいる方が残酷さとか暗さみたいな要素をより強く感じる。視点が切り替わって順番に明かされていく事実・体験と、伝聞・想像・虚飾の落差、それによって傷ついていく様子というか、切迫した感じ。
    音楽とか、光の描写でラストシーンの受け止め方も変わるなぁ。映画はすごく爽やかというか、希望が確かにある、と思える終わり方だった。

    こういう、シナリオブックというものを読むのは初めてだったけど、映像と文章どちらが優れているとかではなく、やはり映画のレシピとしての脚本であって、『なるほど、そういうことね』みたいな、種明かし的な面白さや振り返りのトリガーとして、読んで良かったと思えた。

  • 映画の方がサラッとしてたけどこっちはこっちで好き。映像だけだと汲み取れなかった部分がどういう意図なのかわかったので満足。
    ラストへの理解度も深まるかなと思ったけど難しくてこれ読んだら余計に混乱した。結局2人は生きててどっかに逃げたってことなのかな…

  • 映画を観た後に読んだ。
    映画では分からないところがあり、答え合わせのつもりで。
    映画では描かれていない描写もあり、こういうことだったのかと唸る場面もありグイグイ読み進めた。
    映画のラストでは、私は二人は違う世界へ行ってしまった(亡くなった)と理解していた。こちらだと、二人は現実世界に引き戻されたものだと感じた。しかしそれは決して辛く苦しいばかりではなく明るい未来を感じさせるラストだった。これを映画ではキラキラした綺麗な映像で表したのかもしれないなと思い、また映画を観たくなった。
    20231021

  • 映画を観て気になった部分やよく分からなかったシーンを確認したく読破。
    あと坂元さんのファンなので一度脚本を読んでみたかった。
    言葉が面白いし、綺麗だし、怖い。
    映画にない部分もあり思った以上に良かった。
    自分にも怪物な部分があると思う。

  • 映画は視聴済み。
    ラストあのふたりは死んでしまったのか否か、映画ではどっちにもとれたので確認したくて。
    生きてるよね。遠くで先生とママに声が聞こえてるってなったつんだもの。
    僕たちは何も変わらない、世界が変わったんだよ。
    この意味深なセリフも持ってうまれた性癖を無理に変えることはない、世界が変わればいいことだと受け止められるし。
    「怪物だーれだ」とは世間ともいえるというのがこの小説を読んで感じたこと。

  • 「小学校の先生の名前なんて覚えてる?〜どうせ忘れちゃうんだからさ、適当でいいんだよ」って台詞。僕は全部覚えてる。幼稚園は片岡先生、小1佐古先生、小2島津先生、小3原田先生、小4−6島津先生、中1渡辺先生、中2豊浦先生、中3唐谷先生、高1谷口先生、高2大賀先生、高3谷口先生、大学安保先生。なんでこんなに覚えてるんやろ。坂元さんは、ほんまに小学校の時の先生の名前は覚えてないんやろか。

  • 映画を観たあと読んだ。シナリオブックを読むのは初めてだったけど、映画で難しかったところが理解できたり、本編にはなかったシナリオが読めてよかった。同時に、このシーン入れてほしかったなって思うところもあった(特に湊と美青のところ)。映画を観た方には読むのを薦めたい。

  • 羅生門形式という複数の人物の視点から一つの物語を語るやり方をとった『怪物』だが、映画を観て若干違和を感じた部分があった。それがシナリオでどう表現されているのか見たかった。それがシナリオ段階からあるものなのか、撮影段階で追加されたものなのか気になっていたのだが、自分が気になっていた部分はほとんどがシナリオ段階で書かれていたものだった。
    飴を口に入れるシーンや、校長や保利の言動への違和感、他にもいくつかあるのだが、このあたりの奇妙さは何なのだろうか。
    恐らくこの違和感はわざと残してあるものな気がした。
    羅生門形式という三者三様の視点から語られることで事実が実際はどうであったのか、その幅が語りによって広がっていくという見せ方を使っていながら、それでわかった気になるなよ、という観客への挑戦のようにも感じた。
    個人的にはあまり上手くいってるとは感じないけれども……。

    それとシナリオにはないシーンや映画にはないシーンがシナリオにはあるのだが、映画のほうがやはり断然に良かった。削られているシーンもここはないほうが良いと思えるシーンであったし、映画の見せ方でシナリオのシーンがよりよくなっているところもある。
    ラストシーンなんかは映画のほうが断然良くて、あのエモーションはシナリオでは若干説教臭く思えたから変更されていて良かった。

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著者プロフィール

脚本家。ドラマ「東京ラブストーリー」「それでも、生きてゆく」「最高の離婚」「わたしたちの教科書」「Mother」「Woman」「カルテット」等、向田賞ほか受賞多数。映画、舞台でも活躍。海外でも高い評価を得ている。

「2022年 『初恋の悪魔 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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