ブラックボランティア (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
3.56
  • (12)
  • (18)
  • (18)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 213
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040821924

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブラックバイト、ならぬブラックボランティア。具体的には、東京オリンピック開催時に募集していたボランティアについて、「五輪貴族達は巨額な報酬を得ているのに、『労働』に値する仕事はボランティアとは何事か」という指弾をしている。

    著者の言う通り、10日間も高スペックな人達を無償で拘束するというのは虫の良すぎる話であると思える。著者はJOCとイベントを取り仕切る電通に対し怒りの矛先を向けまくっている。しかし本書を読んでいて何度も違和感があった。

    2018年時点の話ではあるが、大手新聞社も含めマスコミはほとんどこの疑問を呈することなく、五輪コンテンツとそれに繋がるマネーによって支配されているという論調だ。しかし少なくとも日経新聞では本書に登場する「やりがい搾取」「10日間拘束」など、ボランティアという仕組みを取ることに盛んに批判が掲載されていた。まさか本書の影響を受けた後のタイミングだったとは思えないが…ほぼ「この主張をしているのは私だけだ」的な論調だったところが本書の残念なところだった。

    ちょうどつい最近、東京五輪開催による赤字額が発表されていた。各国のアスリートの活躍、もたらされた感動は確かに意義のあるものだったが、反対論が多い中で果たして東京でやるべきだったのか、また今の五輪の商業的手法に色々問題があることは確かだ。

著者プロフィール

1962年生まれ。著述家。1989年、博報堂に入社。2006年に退社するまで営業を担当。その経験をもとに、広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などについて追及。原発安全神話がいかにできあがったのかを一連の書籍で明らかにした。最近は、憲法改正の国民投票法に与える広告の影響力について調べ、発表している。著書に『原発広告』『原発広告と地方紙』(ともに亜紀書房)、『原発プロパガンダ』(岩波新書)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)、『広告が憲法を殺す日』(集英社新書、共著)ほか。

「2021年 『東京五輪の大罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本間龍の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×