「東国の雄」上杉景勝 謙信の後継者、屈すれども滅びず (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823522

作品紹介・あらすじ

軍神・上杉謙信の甥にして後継者の上杉景勝。義兄と争った「御館の乱」、絶体絶命の危機に陥った織田信長の攻勢、「北の関ヶ原」と敗戦による危機……。かつて東国で覇を競った武田、北条が滅びるなか、上杉だけは生き残りを果たす。戦国大名最後の世代として、戦国、織豊、江戸と時代の転換期を生き抜いた、その六十九年の生涯を描く決定的評伝。

【目次】

はじめに

序章 上杉景勝の実家、上田長尾一族 

第一章 戦国大名・景勝
一、生い立ち 
二、謙信と喜平次 
三、御館の乱 
四、信長との対決 
五、「六十余州越後一国を以て相支え」 

第二章 豊臣大名・景勝
一、秀吉と景勝 
二、東国仕置 
三、権中納言景勝 

第三章 会津国替えと関ヶ原合戦
一、豊臣家大老景勝 
二、会津征討 
三、幻の関東討入り計画 

第四章 米沢領三十万石
一、米沢中納言景勝 
二、米沢城下と藩制の整備 
三、景勝のよこがお 

第五章 米沢藩祖・景勝
一、景勝の嗜好と周辺 
二、大坂の陣 
三、元和偃武と移りゆく世界 
四、景勝最後の軍役「最上御勢遣」 
五、景勝の遺命 

終章 その後の上杉家 

おわりに 
主要参考文献

感想・レビュー・書評

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  • 上杉景勝の生涯について書かれた一冊。
    謙信の後継者として御館の乱で勝ち残り、織田信長の脅威からも本能寺の変により逃れ、豊臣秀吉の元では大老として順風満帆に来たけど、関ケ原の合戦で会津120万石から米沢30万石へと削減される。その後の人生について、ほとんど知ることはなかったですが、徳川幕府との関係に苦慮し、跡取り息子を気に掛けるという、なかなか心休まらない人生だったなと思いました。
    直江兼続との関係は正に異質に思いましたが、景勝と兼続は、お互いにない部分を補い合ってきたからこそ、ここまで信頼できる関係になれたのかもしれません。
    景勝についても、実直、真面目な性格だからこそ、領土は減ったかもしれませんが、幕府からも一目置かれる存在たっただろうなと思いました。
    小難しい話もありますが、色々と細かい部分も知ることができて好きな一冊です。

  • 越後の戦国大名から近世米沢藩の藩祖となった、上杉謙信の後継者景勝の生涯を辿る一冊。大きく戦国期・豊臣期・米沢移封後と分けての叙述で、近世大名へと転身する過程が分かりやすい。移封後の動向も詳しく、人物像を含め興味深い内容。

  • 東2法経図・6F開架:289.1A/U47i//K

  • 総じて、剛毅なエピソードは軍記物に多く、強いていえば、関ケ原の敗戦後の処遇について「今度、会津を転じて米沢へ移る。武命の衰運、今においては驚くべきにあらず」という趣旨のことばを吐いたシーンがしびれた。とりあげられた書状やエピソードからは、細かいことにこだわる神経質で生真面目な一面が感じられ、徹底的に社交が苦手だったとも感じられた。関ヶ原に至る過程でスケープゴートにされたのも、社交下手ゆえ味方してくれるものが少なく、政治的敗北に至った感あり。そうはいっても、ただひ弱い訳ではなく、御館の乱で君主の座をとりにいく過程、織田家の侵攻、関ケ原の敗北と二度の滅亡の縁から上杉家を生き延びさせた手腕、果断な面もあったことは忘れてはならない。直江兼続をはじめとして配下にも多くの人を得たところ、凡なる存在では率いていけなかっただろう。第五章は、年取ってできた嫡男への厳しさと愛情を兼ね備えた書状、徳川政権下でどう生き延びていくかという苦闘が描かれており、御館の乱、関ケ原以外で語られることの少ない景勝像が得られて個人的に収穫でした。

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著者プロフィール

1964年、神奈川県生まれ。
米沢温故会・米澤直江會会員。
著書に『前田慶次 武家文人の謎と生涯』(新紀元社、2005年)、『直江兼続』(新人物往来社、2008年)、『上杉景虎 謙信後継を狙った反主流派の盟主』(宮帯出版社、2011年)、『神になった戦国大名 上杉謙信の神格化と秘密祭祀』(洋泉社、2013年)、『上杉謙信 「義の武将」の激情と苦悩』(星海社、2018年)、『「東国の雄」上杉景勝』(KADOKAWA、2021年)など。

「2022年 『図説 上杉謙信』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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