ザ・コストカッター (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001981

感想・レビュー・書評

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  • カラ売り屋とリストラ屋の対決。
    会社のコアコンピテンシーって何やろうと我が身を振り返り再考させられる良本。
    やはり人材と人材を育てられる文化なんだろうな、というのが私的結論。

    スピード感があって良かった。

  • いつもながら切れ味鋭い黒木さんの新作、株価は上がるが会社をぼろぼろにする立て直し屋の様がえげつない。空売り屋とのバトルが秀逸。

  • 粉飾の手口としてよく使われるものに、ビル・アンド・ホールドというものがあります。まだ倉庫にある在庫を売ったことに して、売り上げを計上してしまう…例えば、3月に販売したことにして、6月に返品するといった やり方です。

    会計士が倉庫にある預かり品を調べておかしいと思っても、「これは売約済み製品を、先方の都合で預かっている ものです」と言われれば、その場では「分かりました」と引き下がるしかない。

    あっ…もしかして、あの会社の売上ってこの「ビル・アンド・ホールド」じゃないのか…と気づいてしまった、結果的に勉強になった本です。笑

  • カラ売り屋VSコストカッター

    ボクは黒木亮の本が好きだ。
    学生時代に読んだ、トップレフト。
    今思えば、ボクが今、金融系の企業に勤めているのも彼の本の影響だろう。

    そんな黒木氏の新作文庫本。

    主人公はカラ売り屋「パンゲア」の北川。
    本書を読むまで、カラ売り屋というと、株価が下がることで利益を出す企業なので、あまりいいイメージがなかったが、その概念を覆された。

    主人公の敵となるのが、企業再生請負人である蛭田。
    老舗スポーツ会社再生のために、米系投資ファンドから送り込まれた社長だ。
    この蛭田は大リストラを行い、短期的に株価を吊り上げる。
    リストラ、コストカッターというと、日産のV字回復を成し遂げたカルロスゴーンの活躍以降、機関投資家などからもてはやされていると思う。
    もちろん、日産のカルロスゴーンの場合、リストラを行い短期的なV字回復をさせただけでなく、その後の成長戦略にも力を入れている。

    ただ、本書に出てくる蛭田という男は、短期的に株価を上げることだけに注力。

    そんなリストラ屋の蛭田とカラ売り屋の北川の全面対立小説なのだ。

    本書は、金融の知識がなくても、わかりやすい表現で説明されており、理解しながら読み進めることができる。

    誰もが楽しめる金融エンタメ小説なのだ。

    そして、本書はいろいろな問題点を読者に投げかける。
    会社と株主、従業員、取引先、役員・・・の関係。
    すなわち、ステークホルダーというものを真剣に考えさせられる社会派小説とも言えるだろう。

  • 空売り屋とリストラ屋の攻防を描いた、空売り専門のパンゲア&カンパニーのシリーズ。

  •  

  • 黒木亮さんの作品の中でもお気に入りの
    カラ売り屋「パンゲア」シリーズの新作かと思ったら…、
    旧作「リストラ屋」の文庫化だったんですね…。

    でも…、内容は忘れていたので、新作気分で…f(^。^;)

    日本の経済小説にしては珍しく
    コストカッターを日本人に設定しているので、
    作品では、非情なリストラにばかり焦点が集まっていますが…、

    それだけでは、株価の上昇は説明できなぃので、
    もっと、その本質にある「ビッグバス」を
    詳しく書き込んでもよかったんじゃないかとも…。

    カラ売り屋は、一般に悪ぃ印象を持たれていますが…、
    むしろ、悪ぃ企業を浮き彫りにするといぅ点では
    ふつぅのアナリストよりも、いい仕事をしているんじゃないかと…。

    真山仁さんの「ハゲタカ」シリーズと同じくらぃ
    この「パンゲア」シリーズはお気に入りなので、
    もっと、「パンゲア」シリーズの新作を発表して欲しぃな~。

  • 経済小説初めて読んでみたけど、けっこう面白かった。

  • 少々遠のいていた経済小説を、と思って昨日購入したが、思った以上に面白くていっきに読んでしまった。経営不振に陥ったスポーツメーカーが、壮絶なコストカットで有名なターンアラウンドマネージャーを社長として迎えるが、こいつがとんでもない奴で…。という話。NYの「カラ売り」専門のファンドの日本人が、この社長のとんでもない経営の内容を暴いていく、っていう話。作者黒木亮氏の本は「小説エンロン」「トップレフト」が面白かったから何冊か読んだけれども、航空機ファイナンスの話とか、アジアのエマージングマーケットの話とかは、少々難しくて読むのに時間がかかったが、今回のは非常に読みやすかった。金融用語についてもきちんと解説されていたし。ただ、私がわかるレベルだから、専門家からみたら、だいぶ簡略化されているのかもしれないけれども…。
    非情なコストカットを行いながら、自らは巨額の報酬を得て、贅沢三昧の社長と、ニュージャージーの工場を閉鎖されて職を失ったNYハーレムの黒人親子との対比がしつこいくらい出てきた。
    ひとつ気になったのは、文庫化するにあたって加筆訂正をしたと書いてあったけれども、同じ人物の同じ紹介文が何度も出てくるところ。連載中は必要だったかもしれないけど、文庫化する際には削れば良かったのに、と思った。いっきに読んでしまうとその表現がなんども出てきて気になった。
    「金貸しのような眼鏡をかけた…」という表現など。どんな眼鏡だろ、ってそのたびに思ったし。

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著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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