- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041008522
作品紹介・あらすじ
母は結婚詐欺師、父は窃盗犯。傍から見ればいびつに見える家族も、実は一つの絆でつながっている。ある日、詐欺を目論んだ母親が誘拐され、身代金を要求された。父親と僕は母親奪還に動き出すが……。
感想・レビュー・書評
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映画で観て面白かったので。
短編集で映画の内容は短くてちょっと残念だと思っていたけれど、読み進めたら全部が良かった。
ちょっとかっこ悪くて抜けていたりするお父さんが一生懸命にお父さんをやろうとする姿はかっこいい。失敗もするけど家族を思う気持ちが無いわけではないお父さん達に温かい気持ちになる。
素敵なお父さん達でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作、at home非常に良い。
結婚詐欺、泥棒の両親と、学生の妹、今日もゲームで世界を救う弟と暮らすパスポート偽造者の俺。
こんな物騒な家族に惹かれてこの本を手にした。
結婚詐欺師の母は逆にターゲットに誘拐されてしまい、父と俺は犯人に呼び出され母を助けにいくのだが、そう簡単にはいかない。
ゲームで世界を救っていたはずの弟まで乱入し、果たして母は助けられるのか?!
家族って血の繋がりじゃなくて気持ちの繋がりだよな、と強く思った。
"母さん"のために男3人よく頑張った。
5人の過去は悲しいものだけれど、いまそれぞれが家族を想えているのだから、ハッピーってことでいいのかな、と最後にふわっとした気持ちになれる。
バラバラにならなくて良かった。
最後の 共犯者たち も個人的には好きだった。
母と妹と暮らしていた主人公の俺。数年後、子供の頃に失踪した父と、偶然再会する。今では年に一度は会う関係性。
ある日、妹が息子に虐待をしているのではないかという疑いが浮上。
妹を信じたいけれど、もし本当だったらという不安に負けそうな俺をよそに父は思いもよらない行動に出る。
両親かっこいい!ともなるし、それに加わっちゃう俺も結局家族想いなんだよな。息子なんだよな。
家族っていいなぁ。
家族を守るときは全力で!な話が多くて良かった。 -
4つの家族の物語 短編集
どれもどんでん返し!
結構ハードめ家族の愛の話
どれもこれも愛がそこにあるな…そしてどんでん返し面白くて一気読みでした -
MOMENT,WILLと読んでみて面白かったので購入。
読みながら「なんか展開が早いなー」と思っていたら、まさかの短編小説集でした。
ちょっとばかり現実離れしたストーリ展開ではありますが、こういう世界もあるんだろうなーと思わせる辺りに本多さんの小説の魅力を感じてしまいます。
ぶっちゃけ面白い小説で、一気に読破してしまいました。
楽しい短編集です!! -
家族という存在について考えさせられました。
血がつながっていなくても、心の奥底を通して、深い絆でつながっている家族。血がつながっていても、深く関わり合わない、冷めた関係の家族。
家族には、いろんな形がある。
大事なことは、そこが、自分にとって居心地の良い場所かどうかだと思う。
自分が必要とされる場所、自分が必要とする場所があることは、全然ありふれてなんかない、幸せな、素晴らしいことだと思う。
自分のために、泣いてくれたり、笑ってくれたり、怒ってくれたり・・・。
そんな風に接してくれる人がいることはかけがえのないことだし、そんな人達の存在が、人を生かしているのかなと思った小説でした。 -
いろんな家族の話。どの家族の話もすっごい好きで、家族の在り方なんて人それぞれなんよなぁ。4編からなる短編集なんやけど、どの話も長編小説で読みたいくらい好き。at homeが特に好きで、泥棒の父と詐欺師の母、偽造屋の兄と妹弟の話、って聞くだけで既に面白いし実際面白い。
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やっぱり好きだな本多さん
文章の流れ方、表現の仕方全てが心地良い
心にスーッと入ってくる
家族と言えど所詮は一人一人の人間の集まり
一番分かっているようで何も分かっていない
見えているようで見えていない
でも確かにあるその存在が私を優しく強くしてくれる
それが家族、それが家族の力 -
普通とはちょっと違う家族の絆を描いた話を四編収録した短編集。
表題作『at Home』はお見事の一言!父は泥棒、母は結婚詐欺師、長男はパスポート偽造屋で働き、中学生の妹と小学生の弟がいる平和な(?)五人家族、しかしその母親がターゲットに誘拐される、という大事件が発生するという話。
特殊な家族形態であってもそれぞれがお互いを思っているということが伝わってくる非常に暖かみのある短編であると同時に、ラストにこう来るか、という妙技も味わえるとても質の高い短編だったと思います。
『日曜日のヤドカリ』はある日の日曜日、母親は同窓会に行き義理の娘と過ごしていた父親のもとにいきなり見ず知らずの男の子が訪ねてくるところから話が展開していきます。
これは本多さんの会話の妙やキャラ設定の冴えた話だったと思います。話の最初から最後まで敬語で会話するこの義理の親子なのですが、それなのに全くとげとげしさが感じられず、逆にほほえましく、温かく描かれています。義理の親子の話は「やっとお父さんと呼んでくれたね」みたいなことを言って感動を誘う場面があるイメージなのですが、こういう敬語という絶妙な距離感の義理の親子の話もありだな、と思います。会話もなかなか洒落が効いていてクスリとしました。
『共犯者たち』は妹が息子に暴力を振るっているのではないか、と疑いを抱いた兄の目線で話が進みます。
短編集の中では重ための話になるかな、と思いましたが意外とテンポよく読めました。そこまで作中の雰囲気は暗くないです。
これは主人公の両親が文句なしにかっこよかったです。
血のつながりが大事だ、という時代はとうの昔に終わってしまったと思います。それはどこか寂しくて心細い感じもしますが、ここに出てくる家族たちを見ていると血のつながりがあろうとなかろうと、一度壊れてしまってもそれでも家族というものはやり直すことも、自分たちで創ることも不可能ではないのだなと感じることができました。 -
家族の形に正解はない。
たとえ血がつながっていなくても、たとえ一緒に暮らしていなくても。
他人と結婚して家族になるんだもん、そりゃ様々ですよね!と実感できる。