死刑 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.90
  • (28)
  • (39)
  • (18)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 398
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008812

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 作者が死刑に纏わる人に取材する中で、その在り方を問う。論理的に突き詰めると結論は出ず、それぞれの感情や思いに突き詰められる。

  • 死刑肯定派に読んで欲しいと帯にあるから読んでやった。反対派のエゴが詰まった本。結局、反対派肯定派なんてのは、理論で決められるものではない。思想の問題。

  • タイトル通り、『死刑』について書かれたルポルタージュ。

    制度自体はあるべき、でも死刑にすることの意義は…
    同義に見えて、相入れない制度と意義。

    第三者としての考えと、被害者遺族としての捉え方の差異。

    安易に、死刑は必要とか、何も浮かばれないとか、言えない奥深い物を感じ取れる作品。

    廃止と存置、永遠のテーマですかね。

  • 著者がいろいろな人とのインタビューを通して、死刑について考えを述べていく本。
    著者の率直な思い、迷い、決められなさ、わからなさが書かれていて、足跡を一緒にたどっていくことができる感じ。

    死刑反対派の議員、元刑務官、元検察官、元死刑囚、死刑囚、遺族、弁護士など、いろいろな人との対話が鮮やかに浮き上がってくる。
    ただなんとなく、賛否を述べることにいかに意味がないかがわかった。


    一方で、情緒に流れすぎている感も否めず、ちょっと文体が重い。その点は好みが別れるかな。

  • 普段良く耳にする「死刑」という言葉。でもその実態は実は多くの人が知らないし、知ろうともしない。罪が残虐であればあるほど死刑は「当たり前」のものとして捉えられるが、そうなることで死刑はいわゆる普通に日常生活を送る人々からより遠ざかってしまう。
    そんな死刑という制度にひたすら向き合ったこの本は、とにかく揺らぎに満ちている。一貫して揺らいでいる、というと矛盾しているだろうか。でも安易に結論を出さない。とかく決断力や潔さが求められる時代、揺らぎ考える、という姿勢は意外と軽視されがち。でも国家権力のもとで人の命が(例え犯罪者であろうとも)失われるという事実に向き合うことは、思考の結果どのような結論に至ったとしても、死刑を肯定する国の国民の一人として、必要なプロセスであるのではないだろうか。
    一体いつ、何時に、どんな知らせを受け、どこで、どのように殺されるのか。基本的なことすら多くの人々が知らない、知ろうとしない、そして知らされていない、この死刑という制度。それでも開かれた司法の名の下に一般人が死刑判決を下し得るという矛盾。この本は、様々な問題をはらむ死刑という制度ととことんまで向き合わせてくれるだろう。

  • 一応「死刑」には反対です。。。祝文庫化

    角川書店のPR
    「罪とは? 罰とは? 命とは? 森達也にしか書けない傑作ノンフィクション

    賛成か反対かという二者択一ばかりが語られ、知っているようでほとんどの人が知らない制度、「死刑」。生きていてはいけない人っているのだろうか?論理だけでなく情緒の領域にまで踏み込んだ類書なきルポ。」

全38件中 31 - 38件を表示

著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森達也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×