- Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041013366
作品紹介・あらすじ
英国に生まれ育ったリタ。初恋の人を失い、失意の底にいた彼女はモルトウイスキーの製法を学びにきた竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を献身的に支え続けたリタの心のよりどころとは――。
感想・レビュー・書評
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著者、森瑤子さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
森瑤子(もり ようこ、1940年11月4日 - 1993年7月6日) は、1980年代に活躍した日本の小説家。本名、伊藤雅代。静岡県伊東市出身。37歳でデビューしてから52歳で没するまでの短い活動期間に、小説、エッセイ、翻訳など100冊を超える著作を生んだ。作品は20回以上テレビドラマ化されている。森瑶子名義の著作多数、ノートを参照。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
英国に生まれ育ったリタ。初恋の人を失い、失意の底にいた彼女はモルトウイスキーの製法を学びにきた竹鶴政孝と運命的に出逢う。極東の日本で政孝の生涯を献身的に支え続けたリタの心のよりどころとは――。
---引用終了
リタさんは、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝さんの妻になります。
竹鶴政孝さん、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
竹鶴 政孝(たけつる まさたか、1894年6月20日 - 1979年8月29日)は、広島県賀茂郡竹原町(現・竹原市)出身の日本の実業家。ウイスキー製造者、技術者。会社経営者。ニッカウヰスキーの創業者であり、サントリーウイスキーの直接的始祖、マルスウイスキーの間接的始祖でもある。これらの業績から「日本のウイスキーの父」と呼ばれる。
---引用終了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝さんと
その妻リタさんの人生をモデルにしたお話です。
NHKの朝ドラを観ていましたので、大筋でほぼ同じ流れのお話でしたが
リタさんが故郷スコットランドで暮らす少女の頃よりのお話が冒頭からあり
とても興味深く何より読んでよかった。ドラマの中では感じ得なかった
感動の一面を見ることが出来てとても嬉しかったです。
読みだしてすぐ、まるで海外小説の翻訳を読んでいるような感覚にとらわれました。
でも確か日本文学のはず...。そこで著者さんのプロフィールを確認してみると
森瑤子さんはイギリス人の方とご結婚なさっていたということでしたので
文章を考える感覚が英語的になっていらっしゃるのかもしれないですね。
それともこちらの物語がスコットランドに関係することで意識的に
英語翻訳らしい文章をお描きになったのでしょうか..。いずれにしても
とても心地のいい文章の流れで、この初読みのいっぺんで
森瑤子さんのことが大好きになりました。
リタさんの少女として、女性として妻としての想いの素敵な一面が
いくつもあってなかなか書き尽くせないのですが、一番好きなところは
お父さまが亡くなったときに想うリタの心情とリタとママが交わす会話の場面です。
(前省略)お父さまは昨日、予行練習しておいてくださったのだ、と不意に思った。
リタが取り乱さないように、今朝のことを予告してくだすったのだ。(続き省略)
リタのお父さまに対する気持ちの捉えたかがとても素敵。この後に続く
リタとママの会話と振る舞いもとても好きな場面です。素敵な親子。
素敵な家族。悲しい場面なのにうっとりしてしまいました。
もうひとつ心に沁みた言葉をフレーズ集に残します。
森瑤子さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います。 -
サントリーの技師が、ニッカの創業者とは。また、その妻が、イギリス人とは。学生時代、国鉄に乗ると、東京までは、サントリーを売っていて、東北線に乗るとニッカに変わったのを思い出した。好ましくはないが、海軍と戦争のおかげでニッカが残ったのは、よかった。だって美味しいのだ。竹鶴さんは、幸運の人だ。変化に富んだ人生であっただろう。
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ニッカウイスキーの創設者にして、日本のウイスキーの父と言われる竹鶴政孝の妻リタの物語。
あの時代に日本に嫁いできたリタの芯の強さと、戦争や差別的な当時の扱いを相続すると、その生き方に感動を覚えます。
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前半は赤毛のアン的な
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数年前にNHKのドラマになった、マッサンこと竹鶴政孝氏のスコットランド人の妻リタさんの小説。竹鶴氏は、日本で初めて本格的スコッチウィスキーの製造をした人で、ニッカウヰスキーの創始者である。以前にドラマの原作となった「ヒゲのウヰスキー誕生す」という本を読んだが、その本は政孝の視点から書かれていた。本書も内容は似ているが、外国人であるリタがどう政孝と出会い、人生を共にし、日本に帰化していったかを追うことができる。
著者の森瑤子氏は早逝してしまったが、100冊を超える著書を遺している。本書もたくさんリサーチをして書かれたであろうことがうかがえる。著者の配偶者がイギリス人ということもあり、スコットランドの暗い天気や広々とした家といった情景がとてもリアルに描写されていた。まだ外国人、しかも白人が日本にとても少ない時代に、日本に来て文化を学び、日本人になり、政孝を支えたリタさんの苦労は想像を絶する。子に恵まれずとった養子とそりが合わなかったというところは胸が痛んだ。
望郷というタイトルなので、リタさんがホームシックにくよくよ悩む内容かと思ったが、必ずしもそうではない。時代や帰国しやすさも全く違うものの、外国に嫁いで祖国の家族を安じるという自分自身の身の上と重ね合わせ、涙を流す箇所もあった。 -
2017年1月12日読了。
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文章が翻訳調な感じがして若干気になりましたが、あの時代に国際結婚をした波乱万丈なリタの人生が興味深かった。
好きになった相手に対して情が深すぎる人だからこそ、思い切ったことができたんでしょうね。
幸せの中にも苦労の連続であった彼女の人生、もし日本に来ることを選ばなければ……ということを、読後にふと考えてしまいました。