眩談 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 328
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041035528

作品紹介・あらすじ

僕が住む平屋は少し臭い。とくに薄暗い廊下の真ん中にある便所は臭く、そして怖い。ある日の夕暮れに、暗くて臭い便所へ向かうと……(「便所の神様」)。無職になった私は秩父にある実家に戻った。ただし私は家が好きになれない。得体の知れないシリミズさんが祀られている上に、中庭には変なモノが出る(「シリミズさん」)。暗闇が匂いたち、視界が歪み、記憶が混濁し、やがて眩暈をよぶ。京極小説の本領を味わえる8つの物語。解説は諸星大二郎。

感想・レビュー・書評

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  • この怖い表紙の本を電車で読んでたのはテロだったかもしれない。
    でもね。この本、見返しの方が怖いんですよ。夜中にふと開いてギョッとしました。

    「もくちゃん」あたりから、この不条理で、不愉快で、気味が悪いのにどこか懐かしいような世界の虜になってしまった。
    少しの違和感が怪異になり、どんどん増殖していって、最後には酷く粘性のある湯にどっぷり浸かったように、登場人物が異常な世界で身動きが出来なくなっているこの感じ、クセになる。

    それにしても厭な怪のこのディティールの細かさよ。
    中庭の池にたまに湧くぺらっぺらな「半紙を人の型に切り抜いたようなもの」や、誰もいないのに鏡の中に映る「くねくねと蠢」く中年の女や、縁の下で地べたに腹這いになった「真っ赤な女の人」にほんとに遭ったことあるのかい、京極先生。

    「もくちゃん」「シリミズさん」「杜鵑乃湯」が特に好き。

  • 2018年12月8日。
    「便所の神様」だけ読んだ。
    ちょっと気味の悪い内容で、寝る前に読むのは不向きでしょうかね。
    この作家の文体は、何やら独特なもので、頁をまたがった文章がないとか。

    2021年5月2日、追記。

    著者、京極夏彦さんは、ウィキペディアに次のように紹介されている。

    京極 夏彦(きょうごく なつひこ、1963年3月26日 - )は、日本の小説家、妖怪研究家、グラフィックデザイナー、アートディレクター。日本推理作家協会代表理事]。 世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)、関東水木会会員、東アジア恠異学会会員。「怪談之怪」発起人の一人。

  • ★★★★★★どこか奥深いところから摘みとってきたものを書き続けたような、そんな京極氏の譚を読むことによって、ふだんは目に映らないものや、見ないようにしている儚い感じのものを、切なく、どこまでも静かに突きつけられる。だから、心が揺れる、ざわめく。でも、私の人生自体に別れや喪失が忍び寄ったり、向き合わざるをえない状況というのも時に訪れる。そんな刹那にこの譚は、そっと寄り添ってくれる気がする。

  • 怪談をベースにした物語の短編集。
    百鬼夜行シリーズ「姑獲鳥の夏」以来の京極作品を読んでみましたが、ホラー的なものがあまり好きでないからか、ピンときませんでした。長編の方が面白いかな。

  • 怖いのかと思ったら、ただただ変なはなし。
「杜鵑乃湯」昔よく見た夢を思い出した。すごく広い家のなかをさまよっていて、どうしても外に出られない夢。
「けしに坂」忘れてたこと思い出してうわーってなるパターン好きだけど、これは忘れすぎ。
    「むかし塚」埋めてお話にしたい思い出。
お話は、消えない。思い出は薄れていくけれど、物語は永遠だ。
    辛いし苦しいけど、忘れられないし忘れたくない思い出。
大切に永遠に持っていたい思い出。
お話にするには時間がかかるけれど。

  • 夏ももう終わりかけですが「 」談シリーズ三作目、眩談です。

    ばたばたしていてうっかり感想書く前に返却してしまったので、「ろくちゃん」のイメージしか残ってないですけど。。

    彼がろくちゃんに見せていたものってなんだろうと思う。
    以前…異常とは何か、で読んだけれど、そういった方って何か別のものが見えてたりするのかな、と思うことはある。
    例えが酷くよろしくないことは重々、としてネコがなにもない(はずの)空間をじっと見つめている時に、そうなのかなと感じるように。

    京極さんは、的確に読者(私)の思っていることを表現してくれていると、特にこの作品で感じた。

    他に表現の仕方ってないよね。。

  • 諸星大二郎の解説がくせつよい

  • 確かに真っ正面から「怪談」という感じじゃなくて、ちょっとズレてるか。ホラーでもなく、なんか気持ち悪いって言うか、座りが悪いって言うか。
    親父手製の弁当に白髪がギッシリとか海苔をめくったら口が開いてたとかは思い出すと食欲無くしそう。。。

  • 再読。現代怪談シリーズ短編集。普通の日常とそこにぽっかりと口を開けた非日常が奇妙に混じった話が多い。最初は普通なのに、気付けば異界に足を踏み入れているか浸食されている。その眩暈のような感覚がたまらなく心地良くもあり、心底震えるような恐怖感もある。特に気に入った話は「歪み観音」「けしに坂」かな。

  • 日常と非日常の境がぼやけたかのような怪異の短編集。
    古い家の独特の臭気を感じさせる描写の数々。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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