怪奇探偵リジー&クリスタル

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036402

作品紹介・あらすじ

グラマーな美人私立探偵&SFオタクの少女助手が、血なまぐさい不可思議な事件の数々に挑む。キュートでエログロ満載のオカルト・ミステリ。

第二次大戦前の1938年。ロサンゼルスに事務所を構える、女性私立探偵エリザベス・コルト(通称:リジー)と、助手の少女クリスタルのコンビが、街を震撼させる奇怪で残忍な事件に、特殊な身体と知性を駆使し、勇敢に立ち向かう。パルプマガジンの表紙絵にそっくりな惨殺死体、幻の特撮映画上映中に消えた人々、甦る中世イギリスの錬金術師の魔法、謎めいたタイムトラベラー、異空間から紛れ込んできた凶獣の暴走……。型破りな謎と解決法が痛快で楽しい5篇を収録。物語を愛するすべての人に贈る、唯一無二のエンターテインメント小説!

感想・レビュー・書評

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  • ムー世代のわたしには楽しい!
    キャラが可愛くて好きになった。
    続編ありそう。

  • 錬金術・コズミックホラー・SF要素まぜまぜで楽しく読めた。
    続きを書いてほしい。

  • 奇想天外で、けっこうグロなところもあるけど一気読み。
    第四話よいですね〜。これはSFファン感涙。

    リジーの出自すごすぎる(笑)。クリスタルもだけど。
    やっぱり奇想天外。

  • 最初はミステリかなと思ったが回が進む毎に冒険もの、怪奇もの、SF、怪獣もの、とジャンルが入り乱れて、個人的にはアメコミ風活劇?ノスタルジックな世界と現代が繋がってニヤリ。主人公二人の設定も魅力的でまだまだ続きが読みたいという期待を込めて星四つ。

  • トンデモSF。
    いや、そこまでぶっ飛んではないか…
    探偵とか書いてあったからミステリかと思ったら全然違ったよ。
    30年代アメリカのなんだかガチャガチャしたノリのSF。
    当時の映画とか特撮とか知ってる人が見たら笑えるネタとか入ってるんでしょうが、残念ながら私はその系には疎く。
    でも面白かったです。
    くとるふ系疎いしなあ、ワタシ。
    どちらかと言うとゴーストハンター。

  • こんなに面白くていいのか!と思うほど夢中で読んだ。好みはあるだろうけど、私は好きなモチーフが多く出てきたのでそれだけでワクワクした。パルプ雑誌やSF、映画評論家にユニバーサルのホラー。マニアにはたまらない題材をコミカルな描いていて、最初想像していなかったような奇抜な設定の2人組が活躍していく様は清々しかった。誰かとこの魅力を語り合いたい本。

  • 【収録作品】まっぷたつの美女/二千七百秒の牢獄/ペンドラゴンの瓶/軽はずみな旅行者/異空の凶獣

  • 1930年代、ロサンゼルスに事務所を構える美人探偵リジーと助手のクリスタルが人智の及ばぬ事件に巻き込まれるSFミステリ。本格界隈でも評価を得ている作者ですが、ホムンクルスや透明人間、異界の生物が暴れ回る作風は謎解きよりもエンタメ的な面白さを希求した冒険小説的な風合いの方が色濃いです。ミステリとしては未完成フィルムに閉じ込められ同じ場面を延々繰り返す状況からどう抜け出すのかを実際の映画史に照らし解決してみせる「二千七百秒の牢獄」が至高ながら、やはり本作を120%楽しめるのはそちらのジャンルにある程度明るいホラー映画ファン、海外特撮好きな層でしょう。

  • 20年以上昔、パルプ・フィクションという怪作映画があったが、今作は山本弘流パルプフィクション(パルプマガジン)だ。装丁から現れているが内容も然り。1938年のロスを舞台に、少し不思議な二人の女探偵がかなり怪異な事件を解決する。タイトル通りの怪奇ものと思いきや、著者らしいSF要素も散りばめられている。しかしながら科学考証も時代考証もしっかりしており、安定した世界観の中の歪みが強調され、物語を面白くする。SF、特撮の作品、作者へのリスペクトを物語に組み込んでいるのも見事。マニアックだが読み応えある作。

  • なんだかんだいってもSFに行くのが逆に面白かった。

  • 怪奇探偵とは怪奇事件ではなく探偵自身が怪奇な存在だった。特に透明人間の体質を上手く使ってる。特撮、ホラー、SFなど実在の作家たちが登場するのも面白い。

  • 来ました。久しぶりの装丁買い。
    あまりこの手のPOPな装丁は手に取らないんですが、それがミステリーとあれば話は別です。ビビッド・カラーの装丁の絵と真っ黄色のオビから受けるドギツイ印象とは相反する、意外とストレートなオビの文句(※1)も好印象。

    ってことは意外と硬派なディテクティブものかな、と思っていたら、なんのなんの。装丁を裏切らないキュート&グロテスクなビックリミステリーでした。ビックリの内容を言っちゃうと完全ネタバレなのでここでは触れませんが、ミステリーとしてはなかなか奇想天外な設定です。

    地下室で真っ二つに裂かれた美女!
    往年のフィルムの中に閉じ込められた美しき探偵!!
    錬金術で生まれた怪物の秘密!!!
    時間旅行をする男に課せられた重大なミッションとは!!!!
    異空間から現れたモンスターとの対決!!!!!

    何だこりゃ←
    ミステリーっていうか最早SFじゃん!なんて無粋なツッコミをいれた方は私の他にいないことを祈ります←

    サイエンスフィクションな謎ももちろん楽しいんですが、一番読んでいて痛快なのは、やっぱり彼女達のスペシャル・ボディを活かしたハチャメチャな解決方法ですね〜。この設定が明かされる第1章が、一番ミステリーしてましたわな。


    【内容まとめ:っていうか冒頭で述べたオビ文句】
    ※1…怪奇探偵リジー&クリスタル
    どんな事件もお任せあれ。私たちの武器は、このスペシャル・ボディ(特別な肉体)!
    グラマーな美人私立探偵&SFオタクの少女助手が、血なまぐさい不可思議な事件の数々に挑む。
    キュートでエログロ満載のオカルト・ミステリ。

  • パルプフィクションと古き良きSFへの作者の愛情がよくわかる話。主人公たちにはそれぞれ事情があるが、その事情が読む進めていくことで明かされていく話ではあるが、そういう本筋とは別の特撮映画とSFの巨匠の若き日とかがマニアックに書かれているのが作者らしい。

  •  20世紀前半のアメリカ、粗末な紙に印刷された雑誌をパルプ・マガジン、そこに掲載された小説をパルプ・フィクションなどといったが、低俗雑誌、低俗小説といったニュアンスである。初期のSFやミステリーもこうした土壌で育成されたのである。『怪奇探偵リジー&クリスタル』は1938年のロスを舞台にパルプ的低俗の味わいを目指した連作である。寺田克也の表紙絵がいい雰囲気を醸し出している。山本弘の語り口はときに野暮ったいと思うことがあるが、この作品では表紙絵を裏切らないスタイルの冴えをみせる。

     5つの短編が収録されているが、第1話「まっぷたつの美女」は半裸の美女を切り刻む類の表紙絵を飾るパルプ・マガジンにそれを真似た猟奇殺人事件をからめたものであるが、リジーとクリスタルのお披露目編である。私立探偵エリザベス・ヴァレンタイン・コルト、通称リジーと、17歳の助手クリスタル・ナイト。リジーはファッションとお金にご執心。活動的で垢抜けたリジーに対して、若いクリスタルは瓶底メガネに厚化粧、白手袋にハイネックのセーターという「野暮」な出で立ちで、サイエンス・フィクション雑誌なんか読んでいる変わった女の子。「怪奇探偵」とあるでしょう。怪奇なのは事件ではなくて、探偵のほうなのだ。リジーはその名の通り拳銃人間、クリスタルは結晶人間。いやいやそれは嘘で、バラしちゃいけないだろうから黙っとくけれど、彼女たちは特殊な体質を持ち、それがまた特殊能力でもあるのだが、それが低俗の味わいのひとつ。

     第1話はそれでも犯人がいて動機があってトリックがあった。第2話以下はしっかりとパルプ・フィクション並みの下らない怪奇現象の話となっているのが楽しい。
     第2話「二千七百秒の牢獄」は初期の特撮映画をネタにした一編。ユニヴァーサルに眠っていた制作中止のフィルム『豹人の女王』が見つかったなどという話で始まるのだが、しかも特撮愛に溢れた終結まで先が読めない。事件解決の鍵も見事。

     第3話「ペンドラゴンの瓶」。15世紀の錬金術師ペンドラゴン、彼を亡き者にしたという弟子の子孫、かつて見世物小屋に展示されていた「ペンドラゴンの瓶」といわれる49個の不気味な瓶、リジーのもとに持ち込まれる内臓を喰われた少年の事件。そうした話がだんだんと結びついていく。そしてリジーの来歴も語られる。

     第4話「軽はずみな旅行者」では未来からタイムトラベラーがやってくる。タイムマシン製造費を捻出するために、1938年では価値がないが、未来では価値あるものを手に入れにきたのだが、ギャングに未来へ帰るためのアイテムを奪われてしまう。ふとしたことで接触したリジー&クリスタルがアイテム奪還の依頼を受けるのだが。
     この話だけ他の倍の長さ。SFファンへのサーヴィスたっぷりなのだ。ネタバラししてしまうが、クリスタルの友人のレイという男の子が出てきて、姓はブラッドベリ。ああ、もうこれ以上は言わない。
     しかし小説家になれるか悩むレイにかこつけて夢に向かって進む大切さを感動的に説く場面は野暮だな。未来に帰るタイムトラベラーに「ひとつだけお願いがあるんだけど」と言うリジーのクールさがこのシリーズの持ち味ではないのか。彼女はこう言う、「もう来ないで。迷惑だから」。

     第5話「異空の凶獣」。1938年5月。よく見ると各話は1月から5月に配置されているのだ。クリスタルがこんな体になったのも──どんな体になったのか言わないことにしたので言えないが──科学者だった母親の四次元の実験のせい。
     もちろん四次元なんてキッチュな説明もパルプ・フィクションの味付け。しかしこの話ではその異次元から知能を持った肉食獣が地球にやってきてしまう。冒頭から、クリスタル絶体絶命の場面。話は遡ってなぜこの凶獣が現れたのかが語られるが、それはクリスタルの来歴の話にもなっている。
     凶獣の視点からの描写はA. E. ヴァン・ヴォート「黒い破壊者」へのオマージュ。いったい17歳の女の子に肉食獣を倒すことなどできるだろうか。今回は彼女の特殊能力はまったく役に立たないのだし。

     というわけでリジー&クリスタルは毎月忙しいわけだが、1938年下半期の事件簿はいずれ読ませていただけるのだろうか。それが目下のところ私が気になって仕方がないことなのだ。

  • ちょっと特異な能力を持った探偵コンビの活躍を描いた短編5編。設定はスーパーナチュラルでもミステリとしてはフェアな点も評価できるのですが、著者の持つSF/特撮知識があちこちにちりばめられていて、特に古いSF/特撮ファンならニヤニヤすること間違いありません。俺、特撮のことはよくわからないのでwikiりながら読みましたけど。

  • 探偵物かと思いきやSFでした。
    やっぱりSFが好きなんですね。
    装飾も紙質自体も洋書っぽい感じになってます。
    クリスタルの犬が苦手って設定はオバQかいと思ったら、
    リジーさんの方にも秘密があってビックリ。
    帯のスペシャルなボディってそういう意味かい。

  • ペーパーバック仕様の装丁は持ちやすく読みやすい。
    1938年のロサンゼルスを舞台にした女探偵とその助手の娘っ子が繰り広げるハードボイルド探偵小説。ではあるけど、この二人はちょっと普通じゃない。そして、持ち込まれたり巻き込まれたりする案件もちょっと普通じゃない。
    往年の特撮映画やコミック、SFやファンタジーやスリラー小説の小道具がちりばめられているので、それらを愛する人ならいちいちニンマリとするはず。続編を是非読みたい。

    ローラースケートで走り回るブラッドベリ-少年が夢を捨てずにいてくれて良かった。

  • 全部が全部わかったわけではないけど、SFのパロディや薀蓄が散りばめられていて面白い。
    話としてはファンタジー寄りだけど、一応筋は通っているかなー。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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