ドクター・デスの遺産

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039977

感想・レビュー・書評

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  • 刑事犬飼隼人シリーズ。
    このシリーズは、過去に起こった事件を扱うことを決まりごととしているようだ。犯人はキャッチーな第二の名前がつけられ、その犯罪の手段は過去の事件の模倣犯を思わせる。

    今回のテーマは、安楽死。
    ストレートに犯人を残虐と言い切れない、何とも言えない気持ちになった。
    苦しみを長引かせるなら、いっそ楽に。病を抱える娘を持つ犬飼の気持ちも大きく揺れているのがわかり、それにも共感できる。
    今回は、ミステリーよりも、ヒューマンに寄っていたような印象。いつもの七里先生を読み終わった後の高揚感という部分では、この作品はあまり感じられなかったかな。
    でも、このシリーズは好きな登場人物が多い。犬飼はもちろん、相棒の高千穂も、上司の麻生も、そして娘の沙耶香も。沙耶香にはこの先、元気に退院して欲しいな。

  • 2020年11月に綾野剛、北川景子主演で映画されるので読んでみたら、犬養・高千穂刑事のシリーズだったと知る。4作目なんだ。全然読んだことなかった。正直、最初に読むときつい話やな。まあ、七里さんの作品は、ある意味、痛みなしで読めない話が多いので、他の作品も気楽に読めるとは思えないが、いきなりこの話は厳しい・・・
    でも、まあ読みではある。さすがに七里さん!でも、映画はどうしようかな・・・

  • 映画を先に観たので、内容が随分違うことに驚いた。
    正直、安楽死は介錯だと思う。
    苦しみを長引かせないためなのに、なぜ行ってはいけないのか?
    人を拷問してギリギリ死なせないように苦痛を与えるのは犯罪だが、病気や怪我の苦しみを長引かせるのは「命の大切さ」を盾に正しいこととされる。
    本当にいけないことなら、どうして動物に対してはしてもいいのか?
    私は死ぬのは怖いが死ねないのも怖い。

    今作の犯人が間違っているとは思えず、終始犬養に対して反感を持ってしまった。

  • 犬養隼人シリーズ第4弾。
    少年の110番通報は、本当なのか。冒頭から引きこまれる展開で、面白かった。
    安楽死は、ありか、なしか。消極的安楽死に比べると、薬物を使っての積極的安楽死には、抵抗がある。しかし、治療すべがなく、苦しみ続けるとしたら?
    考えさせられるテーマ。

  • 初中山七里氏作品。
    氏にはまっている友人が「犯罪もので、面白いよ。描写がものすごくえげつないけど」と言って勧めてくれた。
    特に作品名を挙げられたわけではないので、グロテスクだったり残酷だったりの描写が苦手な私は何を読んだらいいのかわからなかった。
    そういう描写の作品には当たらないように、でも何かひとつは氏の作品を読んでみたいと思って、(その友人に私のそういう嗜好を伝えた上で選んでもらえば良かったのだけれど)、ブクログでなんとなくリサーチした上で本作を選んだ。

    まずつかみはOKだった。
    警察ものは沢山読んでいるので、子供からの110番通報から警視庁捜査一課の敏腕刑事達がちゃんと捜査してくれる過程に、あっという間に引き込まれた。

    色々あって(ネタバレになるから省略)、最終章の重みは凄かった。
    安楽死についての現時点での自分の見解を書くのはやめておこう。

    本作がシリーズものの第4作目とは知らずに読んだので、犬養の別れた奥さんが娘の危険を何故阻止しないのだろう?と不思議に思いながら読み終わった。
    本書には「別れた」としか書いていなかったからだが、亡くなっているのだろうか?

    私には少し難しい読み方の単語がいくつか使われている、そういう作家さんだった。

    『さよならドビュッシー 』は怖くはないのかな?
    今度は友人に聞いてみよう。

  • CL 2023.8.16-2023.8.20
    今回のテーマは安楽死。
    重くて複雑で考えさせられるテーマだけど、事件としてはテンポよく進んでいく。

  • 相変わらずの裏切り結末。
    ひきこまれるー!という感じではなかったが数日かけて少しづつ読み読了。

    安楽死に関する話だった。
    自分だったら苦しまずに死ぬことができるならぜひ!と思うのだが周りの家族はそうはいかないんだろうなぁ。

    いつか人は死ぬ。
    病気や事故、怪我、自死、安楽死、
    色々な死に方がある。

    安楽死に関しては私としてはありなんじゃない?と思った。

  • 安楽死という、重くて、誰もが関心があって、軽はずみな事が言えないテーマ。いろいろな場面設定でリズム良く、押しつけがましくなく描いているように感じ、読みやすかった。犬養の単細胞で軽はずみすぎる言動もこの小説に軽やかさを加えているような気がする。

  • ようやく読了。ようやく追い詰めたはずのドクター.デスだと思っていた人物は。どちらに正義があるのか、考えさせられる。

  • テーマは安楽死。人それぞれの倫理観がある。その中で死ぬ権利について自分はどう考えるのかと自問自答した。まだ明確な答えはない。

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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