明日の食卓

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041048

感想・レビュー・書評

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  • 読後の気分は、決して気持ちの良いものではない。テーマは、虐待・貧困・義理の母の介護など、重たいテーマが多い。でも、どれも決して目を背けてはいけないものであり、数年後の自分に降りかかるかもしれないし、隣の人が同じ苦しみを既に抱いているのかもしれない。
    子供達に関わる人にとっては、どこかで直面するであろう問題。他人事と思わずに、社会全体でこのテーマと向き合う必要があると感じた。

  • 自分自身の色々なことが呼び起こされ、さらっとは読めず、かなりの時間がかかってしまった。

  • 図書館にて。
    確かに面白かったし、グイグイ読み進んであっという間に読んでしまった。
    が、よくわからんのです。
    もっと胸クソ悪い感じを期待してたがそうでもなく、色々思うところもあるような感じではあるがわからんのです。
    なんというか、普通?
    普通の家庭の普通のお話?
    そうとしか思えんのです。
    コレはアレかなあ。
    母親じゃないとわからんのかなあ。
    子供もいないし子育てもしたことないし、そもそも子供好きじゃないし。
    知らない子供がどこでどうなってようが興味ないし。
    そういう人間にはわからんかー。
    面白かったけど。

  • 虐待のシーンから始まる。それを読んだ瞬間、この本を読むのをやめようかと思った。それぐらい、衝撃的だった…。
    一見聞き分けのいい子のいる裕福な家庭。
    ドタバタ喧嘩が絶えない男兄弟のいる家庭。
    シングルマザーの家庭。
    どの家庭を見ても、ほんと男って…責任感ないんだろう。自分のことばかりで…。世の中、オトコがもっときちんとしてたら、母親頑張ってる人たちが救われるだろうに…。ちょっとしたことでいい。屈託のない笑顔、優しい声かけ…ちょっとしたことで母親は救われるのだから。
    なんだか辛かった…。紙一重なんだよね、本当に。虐待してしまうまで自分が制御できない状態になるのは。心に余裕を持って子育てするなんてなかなかできない。思い通りにならないことだらけの中で、本当に頑張ってるのだ、母親たちは。当たり前に母親になるんじゃない。みんな理想の母親になろうと必死でもがいてるのだ。

    私も辛かったたなぁ…頑張りすぎたんだと今になれば分かる。あの頃に私にそっと寄り添ってあげたいきもち…。

  • 息子ユウを虐待死してしまった母のニュース。三人のユウと母たち、裕福な夫婦のいい子・賢い子、貧困シングルマザーと頑張る息子、フリーランス夫婦の兄弟げんかが絶えない息子たち。

    どの家庭にも可能性はあったのに、描かれなかった第4の家庭。

  • 同じ石橋「ゆう」という名の小3の男児を持つ母親3人の子育て物語、というには悲惨過ぎるのだが。

    それにしても父親のだらしないことと言ったら。

  • 虐待になってしまうのも紙一重?
    母親の方に…

  • この人の本はこれまで1冊しか読んだことがなくて、その印象はちょっと独特な世界観と文章を書く人・・・?だったので、これは思いのほか読みやすいと思った。
    話自体が自分の好きなミステリー調だったからかもしれない。

    この本は冒頭に「ユウ」という子供が親に虐待されている様子から始まる。
    そして、続く本文では「ユウ」という子供をもつ3人の母親の様子が入れ替わり立ち替り描かれていく。
    だから、最初にひどい虐待を受けて、もしかしたら死んでしまったかもしれない「ユウ」はこの3人の子供の内の誰なんだろう?となる。
    それこそがこの物語を読み進める原動力になり、ラストを知った時はちょっと作者のあざとさを感じてしまった。
    まあ、それはそれとして・・・読んでいてひしひしと伝わってきたのは女性であり、母親であることの難しさ。

    3人の女性の内、最初に登場する女性は経済的に恵まれていて子供も聞き分けが良い子で、彼女自身も子供が好き。とても幸せそうに見える。
    所が、いい子だと思っていた息子が友達を虐待しているという疑いがもちあがる。

    次に登場する女性はライターの仕事をしている女性で、ほぼ休業中だったのに、ある時次々に仕事が入って来るようになる。その頃、皮肉にもカメラマンの夫がメインの仕事を失う。
    彼女には2人の子供がいて、2人はいつもケンカをしていてヤンチャ。
    家はハチャメチャだし、失業したダンナはもう一人の子供のようで、仕事をしながら青筋を立てて仕事をする様は見ていても「これじゃ、気が休まらないわ・・・」と思う。

    最後に登場する女性はシングルマザーで朝、昼、夜、1日13時間仕事をしている。
    誠実に仕事に取り組む彼女は、子供2人とささやかながらちゃんとした暮らしをしている。
    それが絶縁状態だった実家とまた交流をもつことになり、ある事件がー。
    さらに、子供に同級生のお金を盗んだという疑いがもちあがる。

    最初は経済的に一番苦しい3番目の母親が一番しんどいし、大変だ・・・と思っていたが、話が進むにつれてその印象が変わっていく。
    もちろん、大変は大変だけど、それがまだ見えているだけまだましなのかも・・・と思った。
    何といっても彼女が貧困に流されず、とてもきちんとした考えをもって地に足つけて生きているというのが将来の明るさを感じる。
    それに比べて、最初の女性は習い事をするくらい経済的にゆとりのある暮らしをしているが、いつも現実から目をそらしている。
    子供にもダンナにもバカにされているが、その現実を認められない。
    そして、そんな彼女の行きつく先はー。
    2番目の女性はとにかく気持ちがよく分かる。
    こんな状況だったら「あーーー!!!」と叫んで何もかもメチャクチャにしたくなる。
    可愛くてたまらない子供なのに、ある時は憎いし、計算高い一面がチラッと見えたりもする。
    母親だからこそ分かるその感覚・・・。

    3人それぞれ、全く違う個性と人生を生きている女性で、共通するのは「ユウ」という子供がいるということ。
    実はどこかでつながりがある・・・というありがちなパターンもなし。
    だけど、3人とも自分なりに子供を愛して自分なりに必死に生きている。
    必死に生きているんだけど、それがいい方向にいくのかどうなのか分からない。
    そんな3人の明日の食卓はーどうなるのか?とタイトルを見ながら思った。
    例え貧しい食卓でカップラーメン、菓子パンひとつしかなくても、それを囲む家族の心がつがなっていれば幸せだし、もしかしたら食卓を囲む人がいるだけでも幸せなのかもしれない。
    だけど、そんな当たり前のことはあって当たり前とおざなりにしてしまいがち。
    本当に苦しくて泣きながら一人で食卓に向かってた時のことを思いだして、そんな見当違いの感想をもった。

  • 男の子2人になったらこうなるのかなぁ、小学生になったらどんな子に育つんだろう、、、など色々と考えてしまった本。
    子育てママにオススメ!特に男の子のママ。

  • 他人事とは思えない、ぞっとするような感覚。うちにもこんな時期があった。あの時、もし一線を越えてしまっていたら、取り返しのつかない事になっていた…。
    子育てしている沢山の人に読んでもらいたいと思う。
    この本に出てくるお母さん、皆、一人で頑張りすぎだよ。私もそうだったかもしれないけど…。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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