拡大自殺 大量殺人・自爆テロ・無理心中 (角川選書 590)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 77
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041051658

作品紹介・あらすじ

2016年7月に起こった相模原障害者施設殺傷事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。自分勝手な言い分によって引き起こされた事件は、死者19名、負傷者27名という、戦後最悪の大量殺人事件となった。世界を見渡しても、欧州や中東などで自爆テロが繰り返されているが、こうした不特定多数の人々を巻き込む大量殺人や自爆テロだけでなく、親子心中や介護心中などの無理心中にも通じるのが絶望感と復讐心だ。強い自殺願望に突き動かされ、誰かを道連れにせずにはいられない拡大自殺の根底に潜む病理を分析する。

第一章 大量殺人と拡大自殺
第二章 自爆テロと自殺願望
第三章 警官による自殺
第四章 親子心中
第五章 介護心中
終 章 拡大自殺の根底に潜む病理

感想・レビュー・書評

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  • 著者、片田珠美さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    片田 珠美(かただ たまみ、1961年 - )は、日本の精神科医。広島県出身。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。パリ第8大学精神分析学部に学ぶ。

    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    2016年7月に起こった相模原障害者施設殺傷事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。自分勝手な言い分によって引き起こされた事件は、死者19名、負傷者27名という、戦後最悪の大量殺人事件となった。世界を見渡しても、欧州や中東などで自爆テロが繰り返されているが、こうした不特定多数の人々を巻き込む大量殺人や自爆テロだけでなく、親子心中や介護心中などの無理心中にも通じるのが絶望感と復讐心だ。強い自殺願望に突き動かされ、誰かを道連れにせずにはいられない拡大自殺の根底に潜む病理を分析する。

    第一章 大量殺人と拡大自殺
    第二章 自爆テロと自殺願望
    第三章 警官による自殺
    第四章 親子心中
    第五章 介護心中
    終 章 拡大自殺の根底に潜む病理

    「拡大自殺」という用語は最近になって聞いたが、以前よりあるものだという。英語では、extended suicideというようである。

  • 「どうして一人で逝かずに周りを巻き込むんだろう」という不謹慎かもしれない疑問に答えてもらった気がした。
    平成29年発刊で景気や雇用が上向きになってた年だと思っていたけど、自己責任で他人を助けてる場合じゃない国にもなっていて、孤立や絶望感が事件のきっかけの一つになってるってことなんだろう。
    本にも社会の構造と書いてあるとおり、個人でどうこうできるレベルではないってわかったけど、この問題を解決する方法について本が出されたら是非読みたい。そして個人でも何か実践できればと思う。

  • 拡大自殺 大量殺人・自爆テロ・無理心中。片田珠美先生の著書。絶望感と復讐心で他人を巻き込みながら社会を震撼させるような拡大自殺事件の発生が日本で増えている。相模原障害者施設での事件、秋葉原事件、古くは土浦連続殺傷事件も一種の拡大自殺型の大量殺人・自爆テロ・無理心中。絶望感と復讐心でこのような拡大自殺を考える人がこれ以上増えないように、日本社会全体として改善すべき点を真剣に考えなくてはいけない時期にきていると思います。

  • 大量殺人や自爆テロなどの事例を調査する中で,犯人の心理的な側面を詳しく考察している好著だ.第5章で議論されている「介護心中」はこれからますます増えるものと予測されるが,巻き添えにする心理を考察した部分(p184)は重要だと感じた."なぜおとなしく一人で自殺しないのか" 怒りや攻撃性を他者に向けた場合は殺人になり,自己に向けたら自殺になる.そうなっていくには強い動機が必要となる.どこかでそのラインを断ち切れば良いのだが.

  • 拡大自殺の根底にあるものは復讐心であるという事は、今までにも言われてきた事だろう。他責的傾向が大量殺人を引き起こす要因の一つ。自己処罰(自殺)という回り道をとおって、もとの対象に復讐する。被害者意識を生む背景には個人的要因だけでなく社会的要因もある。

  • 東2法経図・開架 368.6A/Ka81k//K

  • おもしろい視点から書いてるなあと思いました。なので、若干腑に落ちんとこもあるんだけど、数字やら統計やら羅列されてるの見ると、裏付けはしっかりしてるのかな。調査も丁寧なのかなとか。

    被害者、加害者共に、共感できる部分がある自分を見つめたり、振り返ったりしました。
    一歩まちがえば、私もそこにすこんとはまる危機感あります。
    読んでいても、イマイチ納得できないとこもありつつも、不快ではないです。参考になりました。

    選書だからかな、薄さの割にちょっと高価な気がした。

  • 2017.10.24 期限11/7 読了10/18 返却10/31

  • 日本社会が被害者思想になっている話はおもしろかった
    自分の身の回りでもそう思うことはある

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著者プロフィール

1961年生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。日生病院神経科医長、人間環境大学助教授を経て、現在、神戸親和女子大学教授。著書に『オレステス・コ
ンプレックス—青年の心の闇へ』『17歳のこころ—その闇と病理』(共にNHK出版)『分裂病の精神病理と治療7—経過と予後』(共著、星和書店)など、訳書に『フロイト&ラカン事典』(共訳、弘文堂)などがある。

「2005年 『攻撃と殺人の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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