機動戦士ガンダムUC バンデシネ (17) (角川コミックス・エース)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052181

作品紹介・あらすじ

ラプラスの箱を巡り、バナージとフル・フロンタルは、互いの信念を懸けて激突する。ネオ・ジオングの圧倒的な力、そしてフロンタルの語る『宇宙の真理』の前にバナージは、「それでも」希望を失わずに進めるのか…?

感想・レビュー・書評

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  • 圧倒的な物量でユニコーンやバンシィを押し潰さんとするネオ・ジオング。おまけにフル・フロンタルが見せてくるのは刻の終わりですか
    どれだけの奇跡によって可能性が示されても変わらずに争いを続けた人類が行き着く先。それこそがフル・フロンタルが見たニュータイプとしての絶望か…

    未来への可能性を考えられなくなったフル・フロンタルにバナージが示すのは「それでも…」という人間の可能性と刻の終わりに至らない永遠の光
    正直、この辺りの描写の意味は観念的過ぎて自分にはよく判らなかったりするのだけど、空っぽの器でしかなかったフル・フロンタルが本物のシャア・アズナブルと巡り会えた、その一点でフル・フロンタルが持ち得なかった可能性へと奇跡的に至れたと解釈出来るのかな……


    そしてフル・フロンタルとは別方向からやってくる可能性を潰す『砲火』
    これを主導するのがマーサだけでなく、リディの父であるローナン議長というのは因果な話。息子のリディは『箱』を守ろうと心を変えられたのに、ローナン議長は無茶苦茶な理論武装をして『箱』を潰そうとし続けている。『可能性』を無くしてしまおうとしている

    そんな彼を驚愕させるリディの居所。既にスイッチは押されてしまったとはいえ、ここで彼が発射停止に動いたり、何か叫んだりしないのはそれだけ「平和を守る為」という無茶な理論武装が自分自身を縛っているからなのだろうね
    『箱』の呪いで縛られていると思いこんでいた彼を本当に縛っていたのは「平和の為なら犠牲を許容する」というお題目であったわけだ

    だとしたら、サイコ・フィールドによってコロニーレーザーを防いだユニコーンとバンシィは人々が不可能だと思っていた事象を可能にするという、いわば『可能性』を実現する存在となったと言えるのかな
    だからこそその状態でミネバは『可能性』に懸けて『ラプラスの箱』を開示できたのだろうね


    冒頭の口絵が良いね。序盤に行われた二人のデートは戦争を止める目的があった為に街の散策は主目的とならなかった。けれど、口絵の日常に溶け込んでいると伺わせる二人の様子はそういった散策を堪能できる日々に辿り着いたのではないかと思わせるものだったよ
    まあ、実際は『箱』が開かれても戦争は続くわけだから、本当の意味で二人がそういった日々を体験できたのかはそれこそ『可能性』の話なのだろうけどね


    実はこの作品に対して、物語の終わり方がとても納得出来なかった為に作品全体の評価を下げてしまった過去があったりする
    こうして再読してもやはり終わり方には納得できていなかったりするのだけど、それでも正体不明の『ラプラスの箱』に振り回されながらも、様々な『可能性』を求めて藻掻く人々の生き様が描かれていたのだと再認識できた意味で価値ある再読だったと言えるかな

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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