屋根裏の散歩者 江戸川乱歩ベストセレクション3 (角川ホラー文庫 え 1-3 江戸川乱歩ベストセレクション 3)
- 角川グループパブリッシング (2008年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041053300
感想・レビュー・書評
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よしもとばななさんの王国シリーズを立て続けに読んで、少しばかり精神的な世界に入ってしまったので、そこからとりあえず抜け出そうと思って選んだ。
物語だから空想ではあるものの、淡々と出来事だけが綴られる文章を読んでいたら、バランスを取り戻した。
表題作である短編と、「暗黒星」という中編ミステリの2本。
表題作は犯人が綴る犯罪の流れを描いていて、暗黒星は推理もののミステリ。
ホラー&ファンタジー&ミステリ、みたいな。豪邸で起こった連続殺人事件の謎に、明智小五郎が挑む。
ちなみに予想してた犯人が当たったから、よし!と思った。笑
江戸川乱歩の小説って、どこか悲しい部分があるところが好き。湿ってて妖しくて独特の余韻が残る。
このシリーズ8まであって装丁も美しいから少しずつ揃えたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
異常な性癖を持つある人物が殺人を犯すまでの心情や情景が実にリアルに、生々しく描写されており嫌悪感を抱きつつもこの異常で異様な世界観に不思議と引き込まれて行きます。
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面白かった。
屋根裏の散歩者は、先に陰獣を読んでしまっていたので、トリックが分かってしまっていたのが残念だった。
(陰獣は、乱歩のオマージュ的な要素が盛り込まれている)
可愛いタイトルだが、好奇心に勝てない主人公の異常さが際立っていた。
暗黒星は洋館に暮らす一家で起こる殺人事件の話だが、誰が犯人なのか、動機は何か、話に没頭してしまった。
本作の3/2を占める少し長めの話だったが、伏線が回収されていく気持ちよさと負の感情の力強さを感じられる話だった。
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もっとどぎついほうが好みだけどこれはこれで面白い。他人の生活を屋根裏から覗き見るスリルを想像するとわくわくする。
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読了。
所謂乱歩ワールド雛形の初出といえば、やはりコレか「人間椅子」か?まだ後年のようなドギツサも無く、やや牧歌的な文体ながら、その後何度も使い回されるアイデアの萌芽が其処にある。 -
江戸川乱歩ベストセレクション『屋根裏の散歩者』
屋根裏の散歩者/暗黒星 の2編収録
今回はあの有名な明智小五郎が登場します!
何をやってみても面白くない。どんなことに挑戦してもつまらない。
そんな主人公郷田三郎は明智小五郎との出会いから、犯罪趣味に興味を持ち、偶然見つけた屋根裏の入り口を利用して「屋根裏の散歩」を始める。
自分の家族や友達、よく見かけるけど名前の知らない人たち。そんな人たちが普段、誰もいない安心して無防備でいられる一人の時間にどんなことをしているか気になる時がある。
人の生活を覗けるなら覗いてみたい。
きっと乱歩もそんな考えからこの小説書いたのだと思う。
ただ、ふと天井を見上げた時に、見知らぬ人と目があったら色々な意味でゾッとしそう。 -
綺麗な文章で人の奥底の性癖を抉り出す。今回の標題の作品も同様である。
屋根裏を這い回る喜びを丁寧に描いている。そこから殺人に至る心理描写の過程も素晴らしい。 -
じっくりたっぷり楽しめる、レトロな推理小説。
大人になってから明智探偵は初めて読んだのですが、こんなにもお耽美な話だっけ? と少しびっくりしました(笑)
神出鬼没の犯行と、それを追いかける明智探偵の動きも良いのですが、何よりも犯人の動機がすごかったです。最後の数ページで語られただけですが、そこだけで小説1本書けるのではないでしょうか。というよりも、そんな小説をすごく読みたいです。