西郷の首

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057193

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから西南戦争の話かと思ったら、薩摩藩ではなく加賀藩の話が進む。
    足軽の二人を軸に倒幕から明治維新への時代の激変を描く。
    終盤になってタイトルはそういうことか、と分かったが、うーん、このタイトルにしなくても…と思ってしまった。

    全体的に加賀藩のように報われない人々の怨嗟の叫びが聞こえるような話だった。
    高い理想を掲げての闘いの筈が結局は権力の座を巡っての椅子取りゲームのように見えていく。椅子に座れなかった人々は諦めるのか抵抗するかしかないのか。

    文次郎、一郎、袂を分かった二人が決めた道、どちらが勝ちでどちらが負けというわけではないし、西郷が負けで大久保が勝ちというわけでもなく、それぞれに大義があり抱えるものもあるだろう。
    一つ言えるのは、こうした時代の激変には数多くの人々の苦しみがあるということ。

    伊東さんはこうした歴史の裏を描くのが上手い。

  • ちょっと苦手な歴史物。
    帯に惹かれて読み始めたものの、
    案の定読み終えるのに時間がかかってしまった。

    フィクションとノンフィクションが入り混じっているのか?
    歴史に詳しくない自分にはちょっとわからなかった。

  • これは面白かった。
    西郷の首を見つけた男と大久保を殺した男。
    二人は加賀藩出身で親友だった。

    西南戦争を扱った作品とややリンクしていて、あ、読んだわって思わされる部分も。

  •  西郷の首というタイトルでありながら舞台は加賀藩金沢城下というのではてなと思う。加賀百万石の大藩でありながら維新の動乱の中ではあまり存在感がないのでなおさらだ。どこで西郷の首とつながるのだろうと読んで行って最後の方でなるほどとなる。西郷の首の発見と大久保利通暗殺はこういうふうにつながっていたのか。なにかにつけ対照的な一郎と文次郎のそれぞれの物語は最後の数奇な偶然で彩られなくてもなかなか読みごたえがある。維新によって士族も平民もなくなり、その後の新生日本をつくるための大掛かりなデモンストレーションが西南の役での西郷と大久保の役回りだったはずだ。結局は、時代の空気を読んだのは慎重居士の文次郎であり、後からみればおろかとしか言えないが直情径行の一郎は暴発憤死するしかなかったのだな。西郷の首は象徴でしかなくタイトルに偽りありという気もするが。

  • 西郷の首というタイトルではありましたが、西郷さんは殆ど出てこず、加賀藩出身の志士が世を変えたいという強い意志を持ちながらも、残念な結末を向かえるという物語。
    残念ではあるものの、様々な要素の中から選択肢がどんどん減っていき、新しい世の決定事項に関与できず、正確な情報を入手できない中、不合理であると思い込んでしまう流れをうまく表現されている。
    偏った思想に囚われていくとこのような判断しかできなくなるのかという非常に残念ではあるが、世の中を良くしようと考え抜いた末の強行。
    全体最適といえば聞こえは良いが、総論賛成というものも形成できなかった時期でもあろうかと思われるし、結果として国を挙げて戦争に踏み切っていく日本という国の運命を示唆していたのかも知れない。

  • タイトルの西郷が、後半になるまでなかなか出てこない。
    色々なところで取り上げられる、薩摩や長州以外でも歴史の節目では多くの人がいろいろなことに巻き込まれていたのだろうなという当たり前のことを再認識させられる。
    歴史というのは奥深い。

著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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