- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041057193
感想・レビュー・書評
-
タイトルから西南戦争の話かと思ったら、薩摩藩ではなく加賀藩の話が進む。
足軽の二人を軸に倒幕から明治維新への時代の激変を描く。
終盤になってタイトルはそういうことか、と分かったが、うーん、このタイトルにしなくても…と思ってしまった。
全体的に加賀藩のように報われない人々の怨嗟の叫びが聞こえるような話だった。
高い理想を掲げての闘いの筈が結局は権力の座を巡っての椅子取りゲームのように見えていく。椅子に座れなかった人々は諦めるのか抵抗するかしかないのか。
文次郎、一郎、袂を分かった二人が決めた道、どちらが勝ちでどちらが負けというわけではないし、西郷が負けで大久保が勝ちというわけでもなく、それぞれに大義があり抱えるものもあるだろう。
一つ言えるのは、こうした時代の激変には数多くの人々の苦しみがあるということ。
伊東さんはこうした歴史の裏を描くのが上手い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ちょっと苦手な歴史物。
帯に惹かれて読み始めたものの、
案の定読み終えるのに時間がかかってしまった。
フィクションとノンフィクションが入り混じっているのか?
歴史に詳しくない自分にはちょっとわからなかった。 -
これは面白かった。
西郷の首を見つけた男と大久保を殺した男。
二人は加賀藩出身で親友だった。
西南戦争を扱った作品とややリンクしていて、あ、読んだわって思わされる部分も。 -
西郷の首というタイトルでありながら舞台は加賀藩金沢城下というのではてなと思う。加賀百万石の大藩でありながら維新の動乱の中ではあまり存在感がないのでなおさらだ。どこで西郷の首とつながるのだろうと読んで行って最後の方でなるほどとなる。西郷の首の発見と大久保利通暗殺はこういうふうにつながっていたのか。なにかにつけ対照的な一郎と文次郎のそれぞれの物語は最後の数奇な偶然で彩られなくてもなかなか読みごたえがある。維新によって士族も平民もなくなり、その後の新生日本をつくるための大掛かりなデモンストレーションが西南の役での西郷と大久保の役回りだったはずだ。結局は、時代の空気を読んだのは慎重居士の文次郎であり、後からみればおろかとしか言えないが直情径行の一郎は暴発憤死するしかなかったのだな。西郷の首は象徴でしかなくタイトルに偽りありという気もするが。
-
タイトルの西郷が、後半になるまでなかなか出てこない。
色々なところで取り上げられる、薩摩や長州以外でも歴史の節目では多くの人がいろいろなことに巻き込まれていたのだろうなという当たり前のことを再認識させられる。
歴史というのは奥深い。