- Amazon.co.jp ・本 (768ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041057292
作品紹介・あらすじ
他人から記憶されない体質を持つホープ、職業は泥棒。ある女性の自殺をきっかけに、流行の自己啓発アプリ「パーフェクション」の開発会社をターゲットにするが、やがて大きな陰謀に巻き込まれることに……。
感想・レビュー・書評
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ブクログを書いてる意味って
無いんじゃないのか?
とか思いながら…読む。
死ぬ度に何度も生まれて
人生を繰り返す主人公の
「ハリー・オーガスト15回目の人生」
触れただけで人に入り込み乗っ取る。
女でも男でもない意識の主人公の
「接触」に続く三作目
今回は、誰からも忘れられてしまう。記憶されることのない女性 ホープの話
プロメテウス社が提供する
使用者の行動に合わせてポイントが加算されてポイントを貯めることで「完璧な人間になれる」
「パーフェクション」というアプリ
が流行っている世界(ほぼあの世界的なSNSに近い。違いはキー入力履歴やwebサイトの閲覧履歴も収集しアドバイスに活用してくるのでかなり怖いが。ダイエットのサポートアプリの強化版のようなモノ…まぁ、コレがどんどん過激化する)
ホープは、親にも友達にも忘れ去られ一人で生きることを決め、自身の特性を活かし泥棒として生活をしていたが、あることがきっかけでプロメテウス社に闘いを挑んでいく。(だけではないが)
「忘れ去られる人」
人の記憶には残らないが、行動は痕跡として残る。痕跡はデジタルになら記憶されるが、いつかは消えてしまう。
消えてしまう度合いが違うだけで永遠の命があるわけでも、無敵でもない人間のホープ。
能力をフル活用すれば、無敵なまま誰にも邪魔されずに人生を送ることができる。
ただし孤独なまま。
「全て記憶に残らないのなら、人生になんの意味があるのか?」ホープは冒険の中で、生きる希望を見出す。
孤独や不安を故意に忘れようとする。(自分の記憶を忘れる能力があるわけではない)
…別にホープだけのことじゃ無い。
ってのが、ズッシリと心を打つ。
クレアさんの作品は毎回、人間を超えた人を描きながら人間を描こうとするので、面白いのになんだか自分のちっぽけさにモヤモヤと悩んでしまう。
超人でありながら人間的な葛藤があり、能力のせいで人から羨まれる存在でありながらも、その能力のせいで考え方が歪んでたり、普通の人間の思考なのかわからない考え方もする。
でも、自分だったとしてもそう考えるかもと思わなくもない。
(普通の人間ってなんだろう)
考えさせられる要素が多いのと。
アクションのシーンから、主人公の過去回想へ切り替わること。
そのせいか続きが気になり読みたくなるのに、
なんだか一筋縄にスラスラと読ませてもらえてないようなもどかしさがある。
詩的さもまた、勢い重視のエンタメ作品とは乖離する。
一作目の後から、なんだかいつもそのモヤモヤ感を警戒して、読み始めるまでに時間がかかってしまっていた…
この本も買ってから4ヶ月経ってる…
「この題材、書く人が書いたら人間とは?ってテーマを押し殺してアクション満載のサスペンスに仕立てるのに…」と過去二作で募った気持ちが再燃する。
流石に三作目では「クレア・ノースは人間を見てる、クレア・ノースは人間を描きたい…」と自分に言い聞かせていたのですんなりと入っていけた。
「超人っぽい人間と長い旅をするような物語」
そうそうこの感じがクレアさんの作品だ。
人間のあれこれを超人のフィルターを通して見る。
…ってようやく慣れてきた。
700ページ越えの旅
(中盤だれる気もするが)
焦らずじっくり読書したい人にオススメです。
追記:ブクログに記録を残すことも、読書をすることも、意味なんてないんじゃないか?って気持ちになり、鬱屈とした中でも読書を続けている。暇つぶしでしかなく、役に立たない。(面白くない小説を読むと尚更)
でも「役に立つかどうかはわからない?」くらいの気持ちにはなった。
他の雑念を忘れ去って物語に没頭する時間は貴重だ。
ブクログに残すのも「忘れてしまわぬように」と言うより「誰かが知って→本を読んで→売れて→また新たな本の刊行(翻訳)が決まる」のなら超微量ながら意味があるかも?と思えてきた。
あと、読んだ感想はすぐ忘れてしまうので、思い出してまた読みたくなる(程の文章は書けてないが)のも良いかと思うので記録は続ける。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・クレア・ノース「ホープは突然現れる」(角川文庫)は 小説だが、題名通りの内容と言へる。原題は“THE SUDDEN APPEARANCE OF HOPE”といふ。ホープの突然の出現といふのだから邦題はほとんど直訳である。正に主人公のホープは突然現れるのである。なぜか。他人がホープのことを すぐに忘れてしまふからである。人はホープなる人間を覚えられないのである。理由は書いてない。ただ、彼女が「忘れられるようになったのは、十六歳のときだった。」(54頁)それまでは普通に他人と接してゐた。それがなぜかさうなつていつたのである。さうなつた理由は妹のはしかであらうか。「はじまりは、 はしかの数ヵ月後だったのではないかと思う。(中略)私はひとかけらずつ消えて、世界は私を忘れていった。」(55頁)もちろん、彼女「だって、最初からこうだったわけじゃない。(原文改行)昔は記憶してもらえた。」(48頁)忘れられる、覚えてもらへないやうになつた段階で、彼女は泥棒を職業として選ぶ。何しろ捕まつても警官に覚えてもらへないから、結果的に無罪放免である。彼女をパトカーの後部座席に乗せたままわすれてしまつたりする(71頁)のである。こんな彼女は孤独だった。友人がほしくても皆すぐに自分のことを忘れてしまふのである。だから友人を作れない。孤独に一人で生きていくしかない。初対面の人はもちろん、何度目であらうが、数分間が経つただけで「ホープは突然現れる」ことになるのである。しかし、そんな彼女にも自分の<体質>を変えることができるのかもしれないと期待することがあつた。それがパーフェクションなる組織、あるいは企業を知つたことであつた。これ以後、物語はミステリーになつていく……のだが、やはり最後まで孤独とは離れられないらしい。
・物語の主要登場人物はホープと、同類のバイロン、追ひかけるゴーギャン、ルカ、そして今一人、パーフェクションのフィリパの5人であらう。この5人の共通点を挙げるとすれば孤独といふことにならうか。ホープは良い。他人に覚えてもらへないのだから孤独にならざるをえない。バイロンとゴーギャンはかつて恋愛関係にあつたらしい。今は2人ともそれも破れてしまつた。しかも仕事のうへでは敵である。その仲間はゐるらしいが、2人の生活には出てこない。ルカは ゴーギャンと仕事では手を組んでホープを追ふが、それ以外は何をしてゐるのであらうか。ゴーギャン同様の仲間はゐよう。しかし、私生活は見えない。フィリパは弟の言ひなりになつてパーフェクション完成に向けて研究を続ける。その途中に会つたホープと気があつたらしい。一晩語り明かす。それも孤独だからこそかもしれない。そんなわけでこの物語の登場人物は皆孤独なのである。物語の中で何度もホープが孤独を嘆いたりする。しかし、それと同様に他の人物もまた己 が孤独の様を嘆きたいのではないか。最後にバイロンはがけから海に跳ぶ。ゴーギャンは悲しみにむせび泣く。ホープはここでも場違ひな人物と思はれたらし い。「私はかばんを拾い上げ、立ち去った。」(748~749頁)あくまでも皆孤独なのである。その確認の作業がこの物語であつたらしい。種をあかせば、 この物語はホープの手記なのであつた。「書いて、過去に命を与えた。(原文改行)今を。(原文改行)言葉にした。」(750~751頁)さういふ物語であつた。だから孤独なのである。ただし、ホープには救ひがあつた。それは妹である。「ホープ! 嘘つき。 すぐに帰るって言ったじゃない」(751頁)これが物語だといふ見本のやうなできごとであつた。しかし読ませるね、この人。この先が楽しみである。 -
めちゃくちゃ面白かったよおおおおお
ホープ、かっこいい。
誰にも記憶されない女の、人生を見つけるお話。
時に痛々しく、時に哲学的で、時に暴力的、そして詩的ですらある、摩訶不思議の物語。
考えさせられることがたくさんあって、風刺が効いていていいぞいいぞ!と思ったり、うわぁ痛いとこ突かれたなぁと胸を押さえたくなったり、ハートが忙しい読書時間でした。
ホープが、希望(ホープ)となって、これからの人生をよりよく生きてくれるようにと祈るばかり。
ぜひとも多くの人に読んでもらいたい。 -
長い。すごく長いんだけど、回想シーンや舞台転換が上手いこと入っているので、連載小説を読む気持ちで少しずつ読みました。
情景の描写が詩的で美しく、映画を見ているようで素晴らしい。ドラマ化してほしいけど、あまりにもコストがかかりそうだから難しいかな。
終盤740〜741ページ、バイロンのセリフが、ホープに対してあまりにも残酷で、散々長い長いぼやいてたけど、このセリフに到達するまでの物語だったんだと思うと長いのも仕方ないかなって思いました。
ホープは自由であっても、自分の生き方を、思想を、誰かに伝える術をもたない。主人公なのに、ずっと傍観者でいるしかない。それをこの延々と続く物語で思い知っているから、バイロンのセリフに対して、お前にホープの何がわかるんだよ!!って感じるんではないかな。
欲を言うならばパーカーの件をもうちょっと回収して欲しかった。 -
人に記憶されない特異体質を持つ女性ホープが主人公の話。
ホープから目を話すと20秒ほどで顔を忘れ、話した内容を忘れてしまう。
誰とも友達になれない(初対面を繰り返す)、病院で治療を受けれない(受付で忘れられる)などのデメリットと引き換えに泥棒としては優れている。
この作者はハリーオーガスト15回目の人生 や接触 でも一貫してやり直しの聞く能力を持った人を主人公にしている。
そして、大抵は捕まって拷問される。
今回は女性だったからか免除されたらしい。
流石にコンセプトが同じで飽きたし、長かった。