燃える水

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 64
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058565

作品紹介・あらすじ

中小電機メーカーの技術者曽根が自宅で謎の感電死を遂げた。中途採用で人事課に配属された平原は社長から命を受けて調査に乗り出す。平原は、曽根が商品開発の過程で「水が燃えた」と呟いていたことを掴むが……。

感想・レビュー・書評

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  • あらすじ
    大手企業総務課に勤める40歳の俺はリストラされる。マンションを買ったばかり、まだ子どもがいないなどの理由につけ込まれて。再就職は太陽温水器メーカーの中小企業、人事部。リストラ対応だ。候補は3人だが、2ヶ月前に亡くなった社員にも引っかかる。太陽電池の開発を担当していた彼は、自宅で使用してる時に亡くなった。その時、衣服が燃えていたらしい…。俺は謎を解きながら、社長、労組担当、社労士の計画を知る。彼らは会社が傾くきっかけとなった、中国のメーカーに50億円の投資をさせようとしていた。

     構えて読んだけど、するっと読める。結局技術者は事故死だったし、訳ありの中小企業3人組も他の社員たちのことを考えての計画だったし、主人公の元同僚も特に裏なく、協力的な脇役だった。50億円もの大金をせしめる計画もあっという間に成功したし。たまにはこういう闇のない作品もいいと思う。

  • 正直なところ、「池井戸潤のパクリ?」と思うほど、ストーリー構成に既視感たっぷり。
    大手電機メーカーの庶務課で働く平原は、ある日突然退職勧奨を受ける。退職した平原はハローワークで紹介された人事課長として、零細企業に転職するが、そこで待ち受けていたのは、「経営再生」と言う名のリストラ係&事故死した技術者の労災交渉係。
    ここまで読むと、本当に池井戸作品かと思う。
    しかし、この平原。ことなかれ主義で生きて来たと前半でたっぷり主張しておきながら、何故か転職先で謎のやる気を発揮し、会社が本当は何を隠したいのか?何を求めているか?を炙り出し、経営者にアドバイスまでしてしまうのである。
    うーん、人物設定にかなり無理があると思うのは私だけだろうか?
    タイトルの「燃える水」の件については、結構面白かったし、複雑な背景の描き方はこの作者ならではなのだけど、主人公がどうにも受け入れがたいので、ちょっと微妙…
    普通に鏑木シリーズの続編、書いてくれないかなぁ。

  • 78エネルギー資源についての着想が面白かった。おはなしの進め方としては、社会派硬派な部分もあり、家庭内の会話はコメディーであったりと、ちょっとあっちこちに向いてましたね。池井戸氏とは異なるアプローチで面白かったですよ。

  • 大手企業をリストラされた主人公が再就職したものの、任されたのはなんとリストラをする側の立場。仕方なく職務に励むうち、以前起こった社員の事故死と会社で開発していた技術に秘密があることに気づいてしまう。
    タイトルにもある「燃える水」の技術を巡る話で、なんとなくとっつきづらそうなイメージがあったのですが。読み始めてみるとそんなイメージは吹っ飛びました。主人公が地味で真面目で気弱で、しかもそういう技術に関して素人、というのがあってとても読みやすく。またそんな主人公がとても好感度が高いんだよなあ。切れ者ではないにせよ、地道な調査から真相にたどり着いたりその後の対策を考えたりする頭脳はあるし。これはもう先の会社が彼の才能を見抜けなかったのだとしか。
    ミステリであると同時にお仕事小説としても読めるかな。どんな仕事であれとりあえず頑張ってみれば、意外とそれが天職だったということはあるかもしれませんよ。

  • 2021.2.15-378

  • 帯に書かれてる文から硬めの社会派かと思いきや凄く読みやすいエンタメ小説だった。

  • ストーリーはある大手企業をリストラされた平原が、中小企業の人事課長として雇われることから始まります。彼に課せられたのはなんとリストラの打診。大企業にいたときとは比べ物にならないほど彼は頭を使い…。プロローグにより、題名の意味は分かるのですが、それがその後どう関わってくるのか、気になって夢中でページをめくりました。ちょっと科学的物理的な説明が多いのですがなんとなくわかる程度で問題ないです。いままでの河合さんとはちょっと毛色が違い、企業小説に近いのですが、最後の最後まで引っ張られ、とても楽しみました。

  • 「水が燃える」という一見非現実的な事象を科学的に証明する、所謂ガリレオ的なミステリを読む前は勝手に想像にしていたんだけど、、、ちょっと違ってたかな(^^;) 
    大手電機メーカーをリストラされた主人公が今度は中小企業の人事課に採用され、逆にリストラする側になるという、リーマン小説的な雰囲気が特に前半は強い。まぁ、それはそれで面白くて一気に読み進められたし、後半は打って変わって謎解き展開が畳みかけられる上にどんでん返し的なところもあって面白く読めたけど、ちょっと急展開すぎる、、、。主人公のキャラが途中で激変して、面食らってしまった。

  • 憎めないヒトが多く楽しめました。
    奥さん好きだなぁ。

  • 前半は大手電機メーカーに勤めていた主人公がリストラされ、ハローワークを経て中小企業の人事課長に再就職する過程が丁寧に描かれています。
    後半はコンゲーム的な展開になり、思わず一気読み。クライマックスのどんでん返しは大仕掛けではないものの、さり気ない伏線の張り方や希望を持たせる結末は好印象。ミステリー要素を含んだ痛快なサラリーマン小説だと思います。

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著者プロフィール

河合莞爾
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。
二〇一二年に第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞し『デッドマン』でデビュー。他の作品に『豪球復活』(講談社)、『デビル・イン・ヘブン』『スノウ・エンジェル 』『ジャンヌ』(祥伝社)、「カンブリア」シリーズ(中央公論新社)などがある。

「2023年 『カンブリアⅢ 無化の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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