長兵衛天眼帳 (1)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058763

作品紹介・あらすじ

日本橋の村田屋は創業百二十周年の老舗眼鏡屋。そのあるじの長兵衛は、すぐれた知恵と家宝の天眼鏡で謎を見通すと評判だった。
ある日、目明かしの新蔵が長兵衛に助けを求めてくる。住吉町の裏店で起こった人殺しの本当の下手人を挙げるのに長兵衛の力を借りたいという。
浜町の目明かし・巳之吉が、殺人が起こった長屋の者たちの手を検分して、手が汚れていたというだけでそこに住まう十七の娘おさちに縄を掛けたという。
ろくな調べもせずに罪なき娘を引き立てたことに怒りを覚えた長兵衛は、広い人脈と持ち前の人柄を発揮して事件を解決に導く。
長兵衛の評判がますます高まる中、今度は木場の檜問屋・福島屋矢三郎の遺言状の真贋鑑定を依頼される。
息子の豊太郎に遺されたものの他に、矢三郎の弟・新次郎の許にも遺言状があるのだという。
長兵衛は天眼鏡で真贋を明かすが、福島屋を自分のものにしたい新次郎の企みによって、事態は思わぬ方向へ動き……!?

感想・レビュー・書評

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  • 湯豆腐牡丹雪を先に読んで、前作があることを知り、購入。おもしろいなぁ、人情と義理と品格があり、お金持ちの道楽もある。ちなみにこの作品と湯豆腐と繰り返し3回読んでしまった。なんとなく繋がりがあり、短編になっているけど、前を読み返したくなる。不思議

  • 損料屋喜八郎シリーズよりゆったりと話が進み一気にとはいかなかったがやはり上手いなあと思いながら読んだ。
    江戸ものは初めて知る事柄も多くて楽しい。

  • 創業百二十周年の老舗眼鏡屋・村田屋のあるじの長兵衛が、すぐれた知恵と家宝の天眼鏡で、事の真贋を見抜いていく話。
    長兵衛さんは安楽椅子探偵っぽくて、目明かしの新蔵親分が殆ど動いている感じです。
    因みに、山本さんの小説には、お茶を出す場面がよく描かれていますが、本作でも美味しそうなお茶とお菓子が出てきます。
    茶を喫する様子等、様々な所作で人柄や商人や職人の矜持が醸し出されてくるという、細かい視点が流石ですね。

  • 最新作を一気読みでした。本作は江戸時代の眼鏡屋の長兵衛を主人公に目明しの新蔵とともに難事件を解決するという二編で構成されております。
    千里眼を持つ長兵衛と新蔵の名コンビが、現代の名探偵と刑事の話のようで面白かったです。
    最初の冤罪で囚われた娘を救う話も遺言の真偽鑑定で嘘を見抜く話もどちらも良かったですし、喧嘩両成敗的な結末もなかなか味があって良かったと思います!
    やはり足るを知るは大事ですね!

  • 時代物は好きだが、なかなか面白そうな本に巡り合わない。武家、町人、剣豪と分けると、まぁ町人物がいいかな。山本一力の新作で、シリーズになるかは判らないが嫌味の少ない作品が多いので期待して読んでみた。眼鏡屋主人と目明しのコンビがメインだが、事件物としてはシンプル。意外性はなく、事情を重ねてページが増えた感じ。人物も単純で、人情物としては物足りず、ユーモアの部分は皆無。でもまぁ、読みやすく時間潰しにはなるかな~

  • 小説野性時代2013年2月号〜2017年5月号掲載のものを2018年5月角川書店から刊行。老舗眼鏡屋の長兵衛の天眼鏡が、騒動の真相を暴きます。分厚いようかん、熱い焙じ茶、正味という一力節の江戸世界が堪能できました。

  • さすがは山本一力さん作品。
    二つの事件を通して、岡っ引きや定町廻り同心、長屋の隣近所の人情などをきめ細かく描く。

    主人公長兵衛は日本橋室町に長く店を構える、老舗眼鏡屋の村田屋の大旦那。その人柄と性能の良い天眼と何よりも物事を深く考え推理する力を見込まれて何度も事件を岡っ引き新蔵と共に解決。

    今回は、濡れ衣を着せられた親孝行の娘の無実を晴らし、
    また大店の材木商の跡目争いに関わる遺言書の真贋を問うこと。

    きめ細かい描写は読み応えも十分で、堪能しました!

  • 初出 2013〜17年「小説野性時代」

    殺人犯として捕らえられた17才の娘の疑いを晴らす「天眼帳開き」と、材木問屋の実権を握ろうとする偽の遺言書をあばく「真贋吟味」の連続2話

    感動もなく、違和感がいっぱい。

    幕末の江戸でどれだけ眼鏡が売れていたか知らないが、大手眼鏡屋の主人が家業ほったらかしで目明かしの仕事の手伝いとは。

    「あの娘が犯人であるわけがない」という思い込みだけでスタートするのは、「あの娘が犯人だ」という思い込みと差がない。

    目明かしが四十両賭けて胴元と差しの勝負?

    遺言状の偽書が弟から出てくると確信して、手の込んだ仕掛けを用意するより、頼りないと思われている息子を周りからも認めてもらえるようにしておく方がよくない? 14才なのに鑑定対決の場を仕切れてるのだから。

  • いまひとつすっきりしない。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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