ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041063576

感想・レビュー・書評

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  • 犬養シリーズ第3弾!
    「無駄に男前の犬養」さん、今回は誘拐劇!「ハーメルンの笛吹き男」を真似て、少女が消えていく〜
    そこには、子宮頚がんワクチンで繋がっている。しかも、副作用の被害者とワクチン推進派の娘…
    今今、ワクチンといえば、コロナになるけど、有効といえばそうなんやけど、やはり副作用に苦しむ人もいる。コロナは、緊急事態なのか、おいしいところがないか知らんけど、あんまり厚生省なり、製薬会社なりの儲かってる部分の闇とはあまり騒がれてないけど…
    でも、何年も経ってるんやから、ええ加減、注射打つたびに、デフォルトで熱出るのは何とかして欲しいとは思う。

    今回は、犯人候補が女性が多かったのか、人の嘘を見抜く力が発揮しにかったみたいな犬養さん。後半怒涛のごとく、閃いて解決するけど、やはり、大どんでん返しありで、楽しかった〜

    犬養さんは、力仕事も頑張って大変でした!
    しかも、大阪で…まぁ、そうなんかもしれんけど、東京と比較して、違法駐車だらけとか、信号守らんとか、放っておいて〜笑。

    犬養さん、重い荷物を犯人に運ばれされてる場面(中身はお金)

    「頑張りや」(何してるかも知らんのに)

    「すみません、警察です」
    「お巡りやからゆうて、何でもできる思たら大間違いやぞ」
    (文中より…^^;)

    何か、異様に距離感近いし…反権力やし…
    何か、恥ずかしい…(⌒-⌒; )
    どうせなら、飴ちゃんもあげとき〜

  • さすがの中山七里先生。
    あー、それはちょっと予想したわ、、、からの!!!大逆転!
    毎回唸らされますわ。

    今回の軸は、子宮頸がんワクチン。

    私の夫の妹さんが子宮頸がんの為34歳で夭逝していた。
    遺伝的要素があるのか?無いのか?知識もないまま、子宮頸がんの恐ろしさを知っている私は、ワクチンが無料で受けられるとのことで、娘には直ぐに受けさせた。

    いやしかし、今回の話は考えさせられた。
    ワクチンに副反応はつきものだが、それほどなのか!?
    考えてみたこともなかった。
    ちゃんと調べなくては、、、
    この本を読んで痛感した。

    中山七里先生の本は、毎回何か気づきがある。

    ミステリとしても毎回凄いのだが、自分の生きる社会を考えさせられる。
    文章も、語彙も凄いのだが、内容も、物語としても、毎回本当に素晴らしい。

  • 刑事犬養隼人シリーズ第三弾
    テーマは子宮頸がんワクチンの副反応被害
    実際、子宮頸がんワクチンの副反応については、自分の周りで聴いたことがあります。
    そんな子宮頸がんワクチンの推進者・被害者を巻き込んだ誘拐事件の顛末の物語

    ストーリとしては、
    記憶障害の患った15歳の少女が行方不明になります。
    犯人からの要求がない中で、別の少女がさらわれます。
    二人の共通点は、子宮頚がんワクチン。
    15歳の少女は、子宮頚がんワクチンの副反応による被害者。
    二人目の少女は、子宮頚がんワクチンの推進派の医師の娘。
    さらに5人の子宮頚がんワクチンの副反応による被害者がさらわれ、計7人の少女達がさらわれます。
    そして、犯人からの要求は70億円の現金。
    さらに、犯人は警察だけでなく、マスコミを巻き込んでワクチンの副反応について世論を作り出していきます。
    そんな中、犯人は誰?
    という展開です。

    やはり、ワクチンを巡る厚労省や製薬会社、医療の現場の闇がリアルです。
    そして、身代金受け渡しにおける犬養の大活劇!
    事件の真相は、なんとくなく想像できましたが、それよりもワクチンの副作用に悩む人たちの想いが突き刺さります。
    ワクチンで救われる多くの命、一方でその副作用で苦しむ少数の人たち。
    とても重いテーマかと思います。

    エピローグはホロリと来てしまった。
    とってもお勧め

  • 読む順番を間違えて、犬養隼人シリーズはこの本から読んでしまったが、犬養本人の話も少し織り交ぜながら進んでいったため、人物像も分かりやすかった。
    今回のワクチンと副作用という重いテーマはとても考えさせられた。子宮頸がんワクチンの副作用で病に苦しんでいる少女達の話だったが、ワクチンで助けられた命もたくさんあると思う。だか、子宮頸がんにならなかった事をワクチンを打ったおかげだと考える人はあまりいない。そもそも対等ではないから、とても難しい内容だった。
    事件真相は最後まで分からず、どんでん返しもありハラハラドキドキしながら読めた。同シリーズの別な作品もぜひ読んでみたい。

  •  この作品の主題は、誘拐事件の顛末?と思いながら読み進めると、どうもそうではないらしい。中山七里さんの著書・特に「犬養隼人」シリーズを読んでいると、様々な社会問題を取り上げているのがわかる。特に営利目的なら不可能犯罪と言えるほど、警察の捜査能力がレベルアップしていると思う。
    ただその他の目的なら、誘拐犯逮捕は難しい。ある日突然我が子が攫われたとしても、街中に防犯カメラが設置されているし、車で逃走したとしても、国道にはNシステムがあるので逃走経路や車が特定される。他に方法があるならまだしも、そんなに遠くへは逃げられない。

     最近の誘拐目的は「性的目的」等に変化していて、犯人が家族又は捜査員に接触しない場合の事件は逆に上昇傾向にあるそうです。

     物語は、記憶障害を患った十五歳の少女が何者かに連れ去られたのを皮切りに、産婦人科協会会長の娘十六歳も、学校から帰宅途中に忽然と居なくなった。その後、犯人の遺留品とみられる絵葉書が見つかり警視庁捜査一課は、同一犯と断定して刑事犬養隼人と高千穂明日香が中心となって捜査が始まった。誘拐された少女の共通点は、子宮頸がんワクチンの副反応の是非を巡って対立する親達である。その後、誘拐事件が拡大していくのです。

     犯人から警視庁及び大手テレビ局等に犯行声明が届き「劇場型犯罪」に及ぶ。身代金の要求は70億円…。この時点でマスコミ各社は、誘拐事件よりもワクチンの副反応を主題にして産婦人科協会と製薬会社を糾弾するようになったのだ。捜査は難航し警視庁上層部は狼狽えるばかり…。現場の刑事は右往左往の大騒ぎを展開する。
     いったい犯人は誰なのか?

     本書の若干偏り気味のワクチン禍の論争は、いただけないが、著者の社会問題の主張と誘拐事件の融合は問題をフラットにしている様に思う。ワクチンの有効性と医学は万能ではありません。ワクチン接種により、子宮頸がん予防に有効と思われ認可した厚労省に責任があるかもしれないが、救われた人数は統計調査できない。それでは新型コロナワクチンについてはどうか?今だからこそ副反応について考えさせられる。
     実におもしろい!

  • 刑事犬養隼人シリーズ第三作。
    今回の社会的なテーマは子宮頚がんワクチンについてだ。作品を通じて作者の当ワクチン行政に対する憤りがひしひしと伝わる。
    また中山七里が色々なシリーズで共通して怒っているのが、SNSでの匿名による悪意ある誹謗中傷についてだ。これは彼の作品で何度も出て来る。
    いずれにせよ社会的な問題とミステリ要素を絡めた上で、色々なシリーズを驚くほどのスピードで発表し続ける中山七里の作家としての力量は感心するしかない。
    本作品について主犯はヒントが散りばめてあったので早い段階で目処は立ったが、それとて本作の評価を下げる要因にはならない。

  • 子宮頸がんワクチンの副反応をテーマにした社会はミステリー。
    結末は、途中からある程度予測可能。異名の「どんでん返しの帝王」の技は、十分とは言えないが、けっして作品の質を貶めるものではない。
    厚労省と製薬会社、そして医療関係者のトライアングルに、鋭いメスを入れた著者の意気込みに讃辞を表したい。
    『アポロンの嘲笑』では原発問題を、本書では子宮頸がんワクチン問題を取り上げている。
    これからも、著者が何をテーマに作品を作り上げるのか、興味を持って見守っていきたい。

  • 子宮頸がんのワクチン接種の副反応で身体に障害を患った少女の誘拐から話が始まりました。
    神楽坂、飯田橋と馴染みのある場所が出てきたので興味深かったです。
    現実に女子の子供がいる友人達から通知が来た話は聞いていました。それと副反応についても色々情報があり、本人、親達も積極的ではなかったように思います。
    私の知っている限りではワクチン接種した話は聞いていません。情報で流れていた副反応については接種後の痛みや不調を訴えていた事は覚えていますが、障害を患った話が出ていたかは記憶がありません。
    今はコロナワクチン接種が行われています。
    因果関係ははっきりしませんが、接種後に亡くなっている方もいます。
    ワクチン接種難しい問題です。

    刑事犬養隼人シリーズなんですね。
    「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」も読みたいと思います。

  • 犬養隼人シリーズの1冊として、子宮頸がんワクチンの副反応、所謂薬害がテーマとなっています。これもなかなか重く複雑なテーマです。
    物語はワクチンに関連する少女たちの誘拐とメディアも巻き込んだ身代金要求と進みますが、誘拐男の姿が見えないこともあって劇場型犯罪としては少し物足りない。展開も結末も個人的にはあまり意外な感じではありませんでした。

  • 子宮頸がんワクチンの副反応による麻痺や記憶障害に苦しめられている少女たちの親と医師ととある少女が攻防して偽の誘拐事件を企てた話。

    今では5類移行が決まったコロナだが渦中の時は半強制的にワクチン接種が進められていたのでどこか重なるようなところがあり読みながら少し寒気がした。
    あくまでも任意と謳っておきながら政府関係者や医者など導く立場にある人たちが接種しましょうと言えば誰だってしてもいいではなくしなければならないと思うのではないか、実際コロナのワクチンの後遺症で苦しんでいる人たちはいる。被害者家族たちがこのような事件を起こす日もそう遠くはないのではないかと思った。

    このお話ではメディアが被害者家族たちの声を取り上げてくれているからよかったが、ワクチン接種のコマーシャルなどで潤ったテレビ局が同じ報道をしてるくれるのか、と思うとそうではないと思う。

    かなり偏った意見になってしまったがコロナ渦が終わりかけている今手にとってみるべき価値がある一冊だと感じる。

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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