最後の証人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 3467
感想 : 290
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066584

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。初めて読んだのは9年前。
    その時の感想では巧みなミスリードを褒めちぎってました。
    今回は高瀬美津子の思いと覚悟、高瀬光治の同志でいようとする強い意志と愛情に心が打たれました。
    佐方シリーズで一番好きかも。

  • 佐方シリーズ。
    検事の方を一冊読み、これはやはり順番に読むべき!と1作目に戻り手にとった。

    私にとっては久々の長編ではあったが、先が気になりページをめくる手が止まらなかった。

    佐方の高潔な人柄、研ぎ澄まされた頭脳明石さ。
    かっこよすぎます!

    息子を失った二人、
    最後は妻も失い……
    涙が流れました。

  • 柚月さんの本は悪いやつがとことん悪くしっかり裁かれるところが好きで、この本は飲酒運転の死亡事故をもみ消した権力者がどう成敗されるのかが楽しみで読んだ。

    飲酒事故についても今後裁判になりそうな終わり方ときっちり社会的制裁を受けそうなラストは、非常に現実的で納得できた。丸山など、権力によって信念を曲げられた人々にも救いがありよかった。
    ミスリードもあり推理小説としても楽しめた。

  • 真相に迫る面白さというより、事件に隠された背景や経緯に感情移入させられるような、そんな面白さのある作品で引き込まれた!

  • 母から借りた本
    母から回ってくる本はチョイスを疑う本もあるから初めての作家さんを読む時はドキドキするけど、柚月裕子さんは抜群の安心感があります

    元検事の弁護士、佐方の元に殺人事件の弁護依頼が舞い込む
    ホテルの一室で男女の痴情のもつれから起きた刺殺事件だった
    状況証拠から被告人の有罪は濃厚と思われていた
    しかし、単純な痴情のもつれからくる事件ではなく、7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになっていく

    被告人をずっと「被告人」と表現していて名前を表記していなかったので、ミスリードを誘っているのだろうな…と思っていたら、やっぱり!!
    柚月裕子さんだからそう簡単な展開ではないと思ってたんだよねー

    罪が正しく裁かれないことへの怒り、虚無感…
    それが子供が犠牲になったなら尚のこと
    正に命をかけた復讐に共感する部分も多かった
    願いは果たされた…
    と思っていいんだよね

  • この箇所でこんなに驚いたのは、わたしだけだろうか。
    221ページの3行目を読んだときの衝撃。

    以前この著者の『慈雨』を読んで、とてもいい作品だと思った。骨太の警察小説でありながら、家族の絆の温かさを描いたとてもよい話だった。
    『最後の証人』はそれを遥かに上回るといっても過言ではない、この世で最も難しいテーマのひとつである復讐に纏わるリーガルサスペンスだ。いつもは悪いクセで、ついついセリフを読み飛ばしてストーリーだけを追ってしまいがちなのだが、この本に出てくる登場人物のひと言ひと言の重みがそれを許さなかった。

    10歳になる最愛の息子を自動車事故で亡くした高瀬光治とその妻の美津子。事故のとき一緒にいた息子の友だちは、赤信号で車が突っ込んできたこと、降りてきた男性が酒臭かったことを証言するが、加害者不起訴という結果に終わる。加害者の島津という男は建設会社の社長であり、県の公安委員長を務めている。警察が事実を隠蔽し、罪をもみ消したのだと高瀬は確信する。
    正しいはずの法が憎むべき罪を裁いてくれず、悪しき罪人に罰が下らないのであれば、被害者は仕方がないと泣き寝入りをしなくてはならないのだろうか。いや、決してそんなことはない。でも、一般人であるわたしたちに一体何ができるのだろうか。
    もし、わたしだったら。
    もし、わたしがこの親の立場だったら。そう想像することは、胸を掻き毟りたくなるほどの苦しみだった。

    息子の七回忌に、この夫婦に2度目の試練が訪れる。それは彼らに復讐を決意させるに充分なものだった。彼らが決意した復讐とは果たしてどのようなものだったのか。

    昔、検事だった過去を持つ弁護士佐方と、つらい過去を背負う美しい検事庄司真生。
    これほどの哀しい話、そして鮮やか過ぎる展開、救いようがないと思われるラストにあたる微かな光。
    そのすべてが素晴らしい。
    本当に圧倒された。

  • 柚月さんの法廷もの初めて読みました。ミステリー仕立てで読みごたえありました。

  • 面白かった。一気読み。裁判の流れ自体は単調ではあったが、クライマックスの最終弁論は迫力があり引き込まれた。正義を貫く佐方貞人にはまった。

  • 2018年11月10日読了。宝島社文庫から角川文庫になってまた再読。佐方シリーズをちゃんと読んでみたくて再び手に取りました。佐方さん男前やなぁ。「罪はまっとうに裁かれるべきだ」かー。しびれるー。ただの無罪判決じゃないからねぇ。被告人にとってはたまらないかもしれないけど、結果は被告人を救ったわけじゃないからね。全てお見通しだった佐方さんに拍手です。ここからがスタート。ちゃんとまっとうに裁かれて欲しいです。あとがきでも書かれてたとおり、柚月裕子さんは中年男性を書かせたら右に出るものはいないですね。それもいろんなタイプの男性を書き分けられるのがすごいと思う。

  • 無罪か有罪かの結論はなんとなく見えていたけど、ここからどーやってその結論にたどり着くんだろうか?とワクワクしながら読み進めた。そして全てを決定づける一文。この一文のための小説なのだと思った。
    M・ナイト・シャラマン好きな人にはいいのかも。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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