- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041078549
感想・レビュー・書評
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「そし誰」に衝撃を受けたミステリスキーとして、望外の喜びを持って断言いたします。
本作の最後に収録された「こうして誰もいなくなった」は、数あるそし誰のパロディの中でも随一の作品です。特に、そし誰には登場しなかった××が出てきてくれた時、そして、最後の最後でまさかの結末が明かされた時。
この作品だけで長編書けるはずなのに、作品集に収録しちゃう有栖川先生、しゅき(泣)。
ってなったよね、、、(放心)。
ファンタジー・ホラー・ミステリ、様々なジャンルを掌編から中編まで14編を収めていて、読み応えはありますが、何となく漂うごった煮感。何となく物足りないな〜と思っていたら、最後の最後でやっぱり期待を裏切らないのが有栖川先生です。この作品の為だけに本作を買う価値あります。
何が素晴らしいって、そし誰を読んでなくても楽しめる(多分)上に、原作のネタバレを(設定を除いては)一切してないってことです。
本作を読んだら、間違いなく原作も読んでみたいなって気にさせてくれるんだろうなって感じさせてくれることです(泣)。
有栖川先生は、日本のミステリ界の良心だなァってつくづく思いました。しゅき、、、。
内容まとめ(今作も引用しないで頑張ってまとめた)(ので、若干間違ってる可能性あり)
◉館の一夜…深夜に道に迷い、辿り着いた不気味な館で一夜を過ごすことにした男女。ささやかな冒険をきっかけに親密になった2人は、やがて結ばれることになるが、、、
◉線路の国のアリス…鉄道オタクの兄を持つアリスが兎を追って迷い込んだのは、奇妙な人々と奇妙な鉄道が走る世界だった。
◉名探偵Q氏のオフ…名探偵Q氏のQ婚とQ暇。
◉まぶしい名前…なんてことはない普通の名前も、今の俺にはまぶしく感じた。
◉妖術師…決して口外してはならない妖術ショー。よそでは絶対に見られず、大切な人と見るには適さないショーの驚愕の内容とは。
◉怪獣の夢…子供の頃から、よく怪獣の夢を見た。怪獣から逃げ惑う夢は、長じるに連れ、いつしか変質していく。
◉劇的な幕切れ…自殺志願者が集まるサイトで知り合った男女。彼等は人里離れた山中で毒を煽って死ぬことにするが、あるハプニングが2人を襲う。
◉出口を探して…気がつくと、奇妙な部屋にいた。窓はなく、赤いドアと青いドアが1つあるだけ。恐る恐るその1つを開けると、予想だにしない光景が広がっていた。
◉未来人F…怪人二十面相がまたもや脱獄した!折しも彼の宿敵・明智小五郎探偵はアメリカへ出向しており、その上「未来人」を名乗る怪人物が、奇妙な犯行予告をラジオで宣言するのであった!
◉盗まれた恋文…よくない噂もある名探偵の首尾。
◉本と謎の日々…立て続けに紛失した手書きPOPの謎。
◉謎のアナウンス…遠く離れたスーパーで、全く同じ内容のアナウンスが繰り返される謎。
◉矢…これは先生ご本人も言及してらっしゃるけど、編集の方が仰ってたっていうように、タイトル「雨」の方が合ってたような、、、。
◉こうして誰もいなくなった…「判決は、全員死刑」。仮想通貨で大富豪となった通称デンスケに招かれた10名の男女。彼等の罪を暴露する電子音声が流れ終わった途端、招待客の1人が突然苦しみだす。
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私は初挑戦の有栖川作品です。短編集という意味合いではすごく好き。素敵なお話が詰まっていますね。特に「線路の国のアリス」がぶっ飛んでて良かった!おもむろに改札にケーキをかざす鳥…(´-`).。oO女性の方がハマりそう。
そして誰もいなくなった読んでからの方が比べられて良いかな?知らなくても全然大丈夫ですが。 -
追記:時間ができたので再開。表題にもなっているメイン作品を読んで評価がアップ!原作を知らなくても楽しめるストーリーと結末。これを最初に持ってきてほしかった。
決して退屈なわけではないのだが、読後感が、で?となるものが多かった。好きな人は好きなのかもしれないが。半分もいかずにやめてしまった。 -
表題作他ブラック,ファンタジー,超短と味わい深いミステリー中短編集
不朽の名作に因んだ「こうして…」
孤島のクローズドサークルで鮮やかに消されてゆく招待客、壊される人形
韻を踏みながら、今風にドローンが飛行したり、作家様の個性が際立つ見事な作品です
本屋さんの店頭を描いた「本と謎の日々」
名探偵明智小五郎「未来人F」
どの物語もおすすめです -
既読のもいくつかあったが面白さにやっぱり安定感ある。ファンタジーでは氏のテツぶりが好もしい『線路の国のアリス』、ミステリー では『本と謎の日々』『こうして誰もいなくなった』が楽しかった。
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中篇とは聞いていたが、それにしてもの釣り本。表題作は巻末で、著者があちこちに書いた雑多な短中篇を集めたものである。そして収録作には、ミステリではないものも少なくない。
どんなものを書き、どんな本を出そうと著者の自由だが、少なくとも私は、著者に期待するのはミステリのみである。評価もおおむねそのとおりとなり、楽しく読めたのはミステリ系の作品に限られた。同じ「著者のfaverite」でも乱歩ものは楽しかったが、アリスと怪獣は寒いなんてものじゃなかった。
表題作に関しては、さすがに手堅くまとめてはいるが、量も執筆動機もライトなこんな企画でもとより書ききれるテーマではない、という感じ。始球式レベルの破綻こそしていないが、この手練れの著者にしては凡作と言わざるをえない。ちょっとオマケの星4つ。
2019/8/4~8/5読了 -
色んな話があって面白かった。
表題の「こうして誰もいなくなった」はオチがなぁ。
ちょっと残念。