クリスマス・キャロル (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092378

作品紹介・あらすじ

文豪としてのチャールズ・ディケンズの名を世界的なものにならしめた不朽の名作。クリスマスの物語として毎年一篇ずつ書かれたクリスマス・ブックの第一作で、発表後まもなく驚異的な大ベストセラーとなった。
クリスマスの前夜、老守銭奴スクルージのもとに、「過去」、「現在」、「未来」の三幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れ、これまでスクルージが行ってきた冷血非道な行いの数々を見せる。それでも最初は気丈にふるまうスクルージだったが、やがて自分の人生の空虚さに気づき、改心して真人間の生活に立ちかえることを決意する。

感想・レビュー・書評

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  • 現在は過去の蓄積の結果。その現在を積み重ねれば、当然、未来になる。では、その未来が悲惨なものだとしたら…?
    シンプルなストーリーとメリハリが効いた構成に、クリスマスの華やかさを加えて魅せた、とても映画的なつくりをした名作小説。

    世間が大切な人と集まって賑やかに過ごしているクリスマスの夜。
    強欲かつ偏屈ゆえに世間から嫌われている孤独な初老男スクルージは、突如現れたかつての同僚で今は亡きマーリーの亡霊による忠告を契機として、三人の精霊たちによって、過去、現在、未来を垣間みることになる。
    その結果、彼は…というお話。

    結末は、ご安心を、の大団円。
    少しご都合主義かなと思うくらい、本当に後味の良い大団円。
    だからこそ、クリスマスを代表する小説として、広く世間に浸透したのだと思います。
    大好きな人たちとご馳走を囲って笑い祝うクリスマスの華やかで温かい場面は心躍るほど素敵だし、子どもへの教訓的お伽噺となる側面もあるし。

    けれど、個人的には、中〜終盤の展開に悲哀を感じ、息苦しいほどに胸が痛くなったり、悲しくなったり、身につまされたりしたことのほうが強く印象に残りました。

    特に、現在のスクルージを形作るに至った彼の過去を辿るシーン。
    誰にも顧みられなかった内気で孤独な少年時代。唯一いたわり合った妹の存在と喪失。
    貧しくも仲間もいて希望に満ちていた青年時代。
    そして…。
    ( 短いお話なので、書き過ぎるとネタバレになりそうなので、以降は省略。人生は、すれ違いや、出会いや別れの繰り返しではあることは知っていたつもりだけど、泣きそうになりました。)

    しかもこの過去、精霊が見せる幻覚だから、とても断片的でどんどん場面が切り替わっていきます。どれほどのものが積み重なって、現在のスクルージになったのかと、描かれた過去以上に、描かれなかった過去にしみじみ想いを馳せてしまいました。余白を噛み締める趣きがあります。
    そして、「来たるべき」未来の悲惨さと醜悪さは、寒気がするほどゾッとします。

    でも、そんなこんなでもラストは大団円!
    ちょっと力ずくでも大団円 !
    大丈夫!
    (繰り返しになりましたが…)

    ラスト二段落の文章は、世の真理をとても端的に綴っており、胸がすきます。

    クリスマス・シーズンでもあるので、興味のある方は是非。
    (主人公がお人好しな善人、という点でスクルージとは真逆なのだけど、クリスマスと、垣間見る幻覚、大団円が、映画「素晴らしき哉、人生!」を思い起こさせました。あの映画が好きな方にもおすすめ。)

  • 今日的な、あまりに今日的な『クリスマス・キャロル』:北村紗衣【来るべきDに向けて】 - i-D
    https://i-d.vice.com/jp/article/z3vd9y/d

    クリスマス・キャロル ディケンズ:文庫 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000037/

  • 『自分を愛すように隣人を愛せ』『飢えたものに自分のパンを分け与えよ』など、聖書の教えを説いている感じがします

    子供にも良さそうだけど、大人もしっかり読める

  • 人は何歳になろうが、死の影が半分背中まで迫っていようが、気づきと覚醒を経たなら、また新たな人生の旅路に向けて歩き出すことができる。スクルージの腐りかかった心も、精霊や、クリスマスの温かな情景を通じて、溶け去っていったように。

  • 過去・現在・未来を見せる精霊たち。強欲で冷酷で無慈悲なスクルージ老人の見に起こる不思議な導きのお話し。
    変わってしまった今の自分を過去を振り返ることで忘れていた感情を思い出し、現在の自分を変えることで、未来を明るく照らすことができるー。
    150ページ程の薄さで読みやすく、毎年クリスマスの時期に読み返していきたい大切な一冊です。

  • 不平等な運命の埋め合わせを社会が担わなければならないことに気づかない主人公のスクルージが、改心して気づいてから行動していくのがすてきだったな

  • 名作というだけで読んで見たが、あまり興味が楽しめず。当時の時代背景を理解しないといけなそう。人生最後のとき、他の人にどれだけ優しくできたかが、充実した人生だったと思えるのだと、感じた

  • スクルージと一緒に自分がどこから来て何を感じていたかということを考えて自分の原点に立ち返らせてくれる様な本。

    誰もが、一皮下には複雑な思いや事情を抱えていたりするもので表面的に評価を下してはいけないんだと戒めてくれる

  • (12/26/2021)

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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