ブロードキャスト (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 216
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041095560

作品紹介・あらすじ

中学時代、駅伝で全国大会を目指していた圭祐は、あと少しのところで出場を逃した。高校入学後、とある理由によって競技人生を断念した圭祐は、放送部に入部。新たな居場所で再び全国を目指すことになる。

感想・レビュー・書評

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  • とても爽やかな読み心地でした。
    「一冊の本でも、物語のイメージは読み手の数だけある」からこそ、正也の書いたラジオドラマを、放送部員全員で、ああじゃない、こうじゃないと何度も何度も繰り返し練って創り上げていく過程。放送コンテスト(Jコン)で勝ち進んでいくシーン。他校の作品を観て聴いて、気付かされるもの。圭佑の放送部を続けようか、陸上部に入ろうかという葛藤。お昼に非常階段で食べるお弁当など。
    まさに青春でした!
    続く『ドキュメント』も読みたいと思います。

  •  「手段はたくさんあるのに、伝わっていない大切なことがありすぎるような気がするんだ。」
     終章での、主人公、圭佑の言葉。
     中学時代、陸上部で駅伝に打ち込んでいた圭佑は、あと一歩のところで全国大会出場をのがす。高校で全国大会出場を果たそう、と駅伝の強豪校であり、県内有数の進学校でもある青海高校を受験する。しかし合格発表の帰り、交通事故に遭い、陸上を諦めなければならなくなってしまう。そして、入部したのが放送部だった。
     夢中になれるものがあるっていいなぁ。そこから得られるものは大きいなぁ。と、読み進めてきたものの、終章でのこの、圭佑の言葉から「伝えるということ」を考えていた。本当に伝えたいことや伝えなければいけないことを言葉にするのは難しい。
     クラスの女の子への「人が一生懸命に取り組んでいるものを笑ったり、悪口を言ったり…。そんなくだらない会話に加わるくらいなら、嫌われるほうがマシだ。」という言葉は、相手を泣かせてしまう。
     決勝に進めなかった正也へのメールはただのきれいごと。それに気づいて電話する。泣きながら大声で叫んだりして思いを吐き出した言葉がそこにはあった。
     本当に伝えたい「大切なこと」を伝えるには覚悟がいる。伝えたいことを受け止めてもらえる間柄も必要になる。放送部、ということだけでない意味が『ブロードキャスト』にあるのかなと思った。

  • 湊かなえさんはどんなジャンルもうまいなあ
    惹きつけて読ませてくれます
    陸上部と放送部
    真剣に挑む高校生たち

    青春学園小説!とうたっています
    まさにそう

    「伝える」ってなんだ?
    著者からの問いかけです
    続編の「ドキュメント」もおもしろそうです

    ≪ 文字と声 どれで伝える 映像も ≫

  • 湊かなえらしくない作品。
    高校生の青春を読みたいと思ったら湊かなえを選ばない。
    放送部にスポットを当てたことが珍しいかといえば、最近は文化部の青春を描いた漫画や小説も多いので別に珍しくもない。例えば放送部にかけた青春であれば、有川浩やあさのあつこだともっと良い仕上がりになっただろうし、読んでみたいとも思う。
    作家が特定のジャンルにイメージが定着するのを避けるために従来と異なるジャンルの題材に挑戦するのを悪いとは思わないし、それで多才ぶりを発揮している作家もいる。
    ただこの作品に関しては、読んでみたら「湊かなえにはこういうの求めてないんだよな~」というコレジャナイ感が強かった。

  • かなえ様といえば、ネチネチドロドロと嫌~な感じのお話と思いきや爽やか青春物
    本当にかなえ様が書いたの?って疑いたくなるような真逆のお話
    かなえ様にこの手のお話は求めてないなぁ、、、

  • 湊かなえの青春物語。とても新鮮。結果が残せなくてもいい、失敗したっていい。何かに夢中になって取り組んだ経験が、将来何かの役に立つ。今やりたいことをやろう。

  • イヤミスが苦手で湊かなえさんの作品はあまり読んでいませんでしたが、こちらはイヤミスではないと聞いたので読んでみました。
    こういうお話しなら何冊でも読める!部活、青春と王道の学校モノでしたが、放送部の活動を知らなかったので、興味深く読めました。

  • 湊かなえさんとしては珍しい?ミステリではない青春ストーリー。
    中学で陸上を頑張っていた主人公が、猛勉強の末陸上で有名な高校に受かったものの、合格発表後の交通事故で走れなくなってしまった。この先の高校生活を悲観していたが、ひょんなことから放送部に誘われ、コンクールなどを通じて全く違う世界の魅力を知ることになる…というもの。

    放送部にスポットライトがあてられた物語がとても新鮮で面白かった。ここに出てくるような放送部が身近に無かったというのもあり、どんなことをしている部活なのか全く分からず、入学したての主人公と同じような気持ちとイメージでどんどん読み進めることができた。
    部員で話し合ったり、制作中の描写もリアルで、自分も活動に参加している気分だった。

    周りに迎合したり流されるのではなく、自分の正しいと思ったことや疑問に思ったことを、その通りに実行したり行動を起こして解明する、そしてそれを他者に言葉で伝える、という人間にとって大事なことも登場人物が改めて教えてくれた気がする。

    続編もあるようなので是非読みたい。

  • 爽やか〜!!青春!
    正也がまっすぐでとてもいい。
    「ドキュメント」で放送部のその後、早く読みたい。

  • 湊かなえさんがこんな爽やかな小説を書くんだと驚きです!!!

    青春小説の王道!
    知られざる文化部の全国大会!
    主人公の選択肢!
    イジメとSNS
    高校生らしさと正しい評価!
    尺度の異なる物差に戸惑うか?受け入れるか?贖うか?それとも・・・

    ここで止めよう、ここで止めようと何度も思った結果 気がついたら2:57・・・
    一晩で読破・・・

    相変わらずページを捲らせる技術がすごい!!!

    そんでもって、この話には続編があるらしいです!湊かなえ初の長編シリーズ


    中学最後の駅伝大会で思った結果が出せずに全国大会への出場を逃してしまう圭祐
    陸上強豪校に進学するも まさかの交通事故で足にボルトをいれるはめに・・・
    大好きな陸上に打ち込めず無意味なこれからの三年間を思うと絶望に打ちひしがれていた。
    そんな時 同じ中学校出身の正也に声の良さを買われ放送部に入部する事になる!?!?
    そこには、かつて夢見た全国への道が・・・


    湊かなえ作品とは思えない青春ストーリー!

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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