- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041097786
感想・レビュー・書評
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イヤミスの新星というイメージでしたが、すっかりイヤミス代表選手になった感があります。どれも心を削ってくる感じなのに妙に冷静な文体なのが怖くてくせになります。
本書は小学校を舞台にした連作ミステリーなのですが、読んでいるといつもと違ってほんのり青春っぽい?と思いましたが後半の不穏な雰囲気はさすが。前半から後半への空気感の変わり方がさすがに上手いなと思わされました。
神さまと言われる洞察力抜群な水谷君が名探偵役、僕が助手という展開ですので、ミステリーとしては物語を展開させる為の人格でしか無い場合が多いのですが、そのある意味人格の必要が無い完璧超人水谷君の人格に皆が心至った時に、すっかり彼が小学生である事を忘れていた僕ら読者の、罪悪感のひだをちくちくひっかきます。
ただの推理連作短編では無いのが筆者らしいと思いました。 -
子どもが主人公というのが活かされた題材だ。神さまとからかう気持ちも、神さまであって欲しいと思う気持ちもよくわかる。水谷くんはあまりに大人びていて、彼の人生の不幸が予感される。ごくごく普通の主人公となぜいつもいっしょにいるのかわからない。ラストはかなり複雑な気持ちになった。
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小学五年生の僕と同級生たちから神さまと呼ばれる「何でも分かってしまう」水谷くんとの、日常の謎解きシリーズ、かと思いきや。
人には誰にでも「秘密」がある。その秘密はたいてい誰にも知られずにひっそりと本人の中だけで守られていく。
だけどその秘密が、なにかのトラブルに関連して表に出てしまうことがある。
そんな「秘密」を水谷くんは解いていく。秘密を表に出さないために。秘密を秘密のままで守るために。
神さまはなんでもわかってしまう。でも…わかってしまえないことも、ある。
誰かを守るために、小学五年生が選んだとある方法。「神さまに決めてもらおう」
その残酷さと彼らが背負って生きていく責任の重さを思う。 -
神様と呼ばれる小学生名探偵と僕のおりなす日常のありふれた話から少し心に痛む話まであり、ほのぼのしくも切なくもある1冊でした。
芹沢作品は初めて読みましたがお気に入りの作家さんになりそうです -
小学校5年生,なんでも考えて答えてくれる水谷くんに僕は友達としての友情とその知識への尊敬を覚え,神さまと呼んで慕っている.第2話になって子供の手に負えないような事態になるも,水谷くんは誠実に立ち向かうが僕との友情は少し形を変えてしまう.この物語を読んで,小学生らしからぬ水谷くんの来し方行く末にとても興味が出てきた.もう少し彼を見てみたい.
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子どもは大人が思うよりも あれこれと考えていて 思い悩んだり 世の中を怒ったり 自己嫌悪に苦しんだりする
水谷くんや 僕が 笑顔で過ごせる子ども時代を過ごし いつか 思い出を語るとき 気持ちが楽になっていればいい と 願いたくなる -
読んで抱いた印象はまさに小学生版シャーロックホームズとワトソン助手だった。日常の謎を理詰めで推理していく水谷くんはホームズにしか見えなかった。しかしそれだけでなくここまで小学生の心理を小学生ぽく書けるのがすごいと思った。今まで読んだ芦沢央の作品とは違い小学生でも読めそうな軽い文章とリアリティのある重みを持った雰囲気が芦沢央の実力なのだなと感じた。
小学生の日常をどこか懐かしみながら読めるミステリー短編集。