下に見る人

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.20
  • (11)
  • (41)
  • (73)
  • (22)
  • (5)
本棚登録 : 396
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103432

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人は意識的であれ、無意識的であれ、他者を自分より下に見てしまう(あるいは見たがる)動物のようだ。他者を自分より格下に位置づけることによって安心したいのだ。「甘い誘惑」の中で今時のいじめは「自分より優れている」または「優遇されている」と見える相手に攻撃が向く。そうしなければ自己の精神の安寧が保てないからだと分析している。私ももっともだと思う。読んでいて酒井さんの鋭い観察眼には驚かされる。同時に人間の「もっともっと」という果てしない欲望、他者を下に見なければ生きることが出来ないという貧弱で醜悪ですらある精神にぞっとする。という私も何処かで無意識に人を下に見ているのかもしれない。

  • この本は「論理的だが前回に読んだ本よりは頭がおかしくない」と以前に書いたが訂正。
    充分頭がおかしかった(褒め言葉)。
    「世代」なんてのは身につまされる話だった。
    人は団塊の世代を見下し、ゆとり世代を見下し、バブル世代を見下し・・・
    どの世代も見下し見下されて生きているんだなと。
    それにしてもこの人は「ワタシは表向き普通にしていますが、実は内面はかなりのクズですよ」と書くことによって、読者が作者を下に見ることが出来て喜んでいるというのをわかっておられる。
    そしてそんな読者を下に見て喜んでいる作者。
    非常に面白い。

  • 負け犬の遠吠え書いた人です。自分はマガジンハウスの雑誌を読んで育ったもので、とにかく読み易い。なんなんだこの肌にすっすと入ってくる感覚…と思いながら読んでいました。冒頭はシリアスです。昔のいじめと今のいじめは標的が異なる、に深く納得。後半に進むにつれ、若干冷笑&開き直り気味になってきますが、最後清少納言が「女子の人間関係」につながるような挙動を披露して終了。一題一題、いちいち納得しながら読みました。あー面白かった。

  • 軽く書かれているけれど、酒井順子のエッセイの中ではけっこうシビアな部類に入るものではないか。いじめられていた人でなく、いじめていた人の気持ちを理解してみよう、というのはけっこう斬新だと思う。

  • 酒井順子は清少納言である。

    人が人を「下に見る」ことで味わう密かな優越、「下に見たくなる、線を引きたくなる」甘い誘惑について、センスの有る無し、頭の良し悪し、地方と東京、男と女などを題材に、こういうことは言うのは勿論、思ってもいけないのが世の中では正しいんだけど、本音は皆さん、こうなんでしょ。私もどちらかと言えば「いじめっ子」の側にいましたからね、知ってますわよと、シニカルな観察眼とクール筆致で鮮やかに切ってみせ、ともすれば読後感がマズくなりがちな内容を、ぎりぎりのところで品性を保たせている。

    この本を読んで筆者を嫌いになりましたとのレビューも多いけど、これは本書がそれだけヒトの深層心理を抉っているから。

著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×