私の頭が正常であったなら (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 901
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109045

作品紹介・あらすじ

最近部屋で、おかしなものを見るようになった夫婦。妻は彼らの視界に入り込むそれを「幽霊ではないか」と考え、考察し始める。なぜ自分たちなのか、幽霊はどこにとりついているのか、理系の妻とともに謎を追い始めた主人公は、思わぬ真相に辿りつく。その真相は、おそろしく哀しい反面、子どもを失って日が浅い彼らにとって救いをもたらすものだった――「世界で一番、みじかい小説」。その他、表題作の「私の頭が正常であったなら」や、「トランシーバー」「首なし鶏、夜をゆく」「酩酊SF」など全8篇。それぞれ何かを失った主人公たちが、この世ならざるものとの出会いや交流を通じて、日常から少しずつずれていく……。そのままこちらに帰ってこられなくなる者や、新たな日常に幸せを感じる者、哀しみを受け止め乗り越えていく者など、彼らの視点を通じて様々な悲哀が描かれる、おそろしくも美しい”喪失”の物語。【解説:宮部みゆき】

感想・レビュー・書評

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  • 最近万城目学さん、今村夏子さんと不思議な世界の作品を続けて読んでいる (*´˘`*)
    こちらも土瓶さんから教えて頂いた山白朝子さんの不思議な八つの短編集( ᜊ°-° )ᜊ
    短編集は好みではないのだけれど、このジャンルは別
    グロ描写も多いが色々な内容が詰まった話ばかり(⁎˃ᴗ˂⁎)
    特に惹き込まれたのはこの四話

    『首なし鶏、夜をゆく』
    風子のおばさんに、首を手斧で切断された鶏の京太郎ε('ﻬ')зコケッ
    首がないのに地面の餌を啄ばむ仕草をしたり、首の切断面に開いた小さな穴から餌や水を吸収する姿はグロテスクε('ﻬ')зコケッ
    ある日を境に何故か風子が学校に来なくなる…
    おばさんの狂気、風子の純粋さ、京太郎の不気味さと切なさにどんどん吸い込まれた

    『子供を沈める』
    これはちょっと不気味だった
    学生時代に生田目頼子(いくためよりこ)をいじめて自殺に追いやったカヲルと友人達
    産んだ友人達の赤ちゃんの顔がみんな生田目頼子にそっくり(; ꒪ö꒪)で、彼女達は自殺したり、我が子を殺してしまう
    果たしてカヲルは、産んだ我が子を育て上げることができるのか。。。
    自分が産んだ赤ちゃんが、自殺に追いやった人の顔にそっくりだなんて、生き地獄でしかない
    ๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
    オッパイあげて、寝かしつけて。。。
    考えただけで身震いブルブル
    カヲルの妄想なのか、生田目頼子の怨念、復讐、呪いなのか、くわばらくわばら…

    『トランシーバー』
    震災の津波で亡くなった妻と息子
    酩酊状態になると、息子のお気に入りのおもちゃのトランシーバーから息子の声が聞こえてくる
    …パパー……どこー……ちんちんおしっこー……
    ……パパいるー……うんちでたー……
    ……パパー、こっち来て!…いっしょにあそぼー…
    現実なのか妄想なのかグレーの世界
    愛する可愛い息子の声が聞けるなら酩酊し続けても構わないという親心と、変わらぬ無邪気な息子の声があまりにも切ない(꒪̥̥﹏꒪̥̥ )

    そして表題作の『私の頭が正常であったなら』
    死んだ娘の声が聞こえてくる
    幻聴なのか?
    野川沿いを散歩すると聞こえてくる、私にしか聞こえない声
    私の頭がおかしいのか?!
    精神が病んでいながらも、娘を思う気持ちが生んだ奇跡の話.‎˖٭*

    土瓶さん、ありがとうございました(⁎˃ᴗ˂⁎)
    読んでいる間、乙一さんの作品だったことを忘れていました
    多才振りに圧倒されました

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      1Qさん、こんばんは♪
      『トランシーバー』良いですよね!
      わかりやすい描写に自然な流れに切なさが盛り込まれて、上手いなあと思いました
      これは...
      1Qさん、こんばんは♪
      『トランシーバー』良いですよね!
      わかりやすい描写に自然な流れに切なさが盛り込まれて、上手いなあと思いました
      これは泣けます(꒪̥̥﹏꒪̥̥ )
      2024/03/20
    • ゆーき本さん
      わー!私もトランシーバー好きです( ߹ㅁ߹)
      おっぱいちゃーん
      わー!私もトランシーバー好きです( ߹ㅁ߹)
      おっぱいちゃーん
      2024/03/20
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      ゆーき本さん
      (ノ*>∀<)ノ笑笑笑
      ありがとう…おっぱいちゃーん…おしりくさ…
      ゆーき本さん
      (ノ*>∀<)ノ笑笑笑
      ありがとう…おっぱいちゃーん…おしりくさ…
      2024/03/20
  • 乙一さんに別のペンネームがあるとは全く知らなかった。
    ブグログで知ることができて本当に良かった。
    どうしてこの人の文章はハマるのだろう。
    心地よい。
    ちょっと不思議で切ない八篇の短編集。
    特に表題作が素晴らしい。
    読み終えてすぐに読み返した。

  • 物悲しさが満ちた短編集。

    やはり好きです。
    話によっては救われないのだけど、表題作は傑作ですね♪

    今回も満足(^^)

  • 面白かったけど、期待しすぎた感。
    1番最初の【世界で一番、みじかい小説】が先が気になって仕方ないくらい面白い進み方だっただけに、結末がそんなに捻りがなくてガッカリしてしまった…
    自分の中でその期待の差が温度差になってしまっただけで、切ない話も不気味な話もあって、良い1冊だと思う。
    最後に知ったまさかの著者の正体!笑
    なるほど言われてみれば。

    個人的には
    【子どもを沈める】
    【おやすみなさい子どもたち】
    が好き。

  • 恥ずかしながら著者が乙一氏とは最近まで知らず…

    読んでみて、あぁやっぱりこのなんとも言えない独特な世界感!やっぱり乙一氏!
    ふわっとした不気味と暖かみをしっかり堪能できました。

  • タイトルに惹かれて購入しました。
    幻想的な雰囲気と深い悲しみの中に、ほのかな狂気を感じられました。
    「トランシーバー」と「首なし鶏、夜をゆく」の行き場のない喪失と孤独が好きです。

  • 夏の夜にちょうど良い、少し怖いけど怖すぎないホラーという感じ。

    特に最後のお話は、1人1人に産まれてから死ぬまでずっと天使が寄り添ってくれてるというお話で、何だかほわっと暖かく終わって後味が良い。


  • この方の書く文章、良いな…と思い
    読了後に「山白朝子」と調べて驚愕。
    乙一さんだったとは…!
    こちら名義の書籍を、もっと読みたいと感じた。

    言葉選び、現実に沿った言動、
    流れるようなストーリー…
    どれも自分の好みに尽く、刺さった。

    どの章も本当に良いし本当に好きだと思ったので
    1番を挙げるのは難しいけれど
    あえて選ぶとしたら「首なし鶏、夜をゆく」。

  • 山白朝子と乙一と中田永一は同一人物だという知識を得て、その3人のアンソロジー本で山白朝子を知ってすごく好みのタイプだと思っていた。
    そう思ってから初めて読んだ彼女(と呼んでもいいのか)の短篇集は、やはりとても好みだった。

    乙一はホラー系で中田永一は恋愛系で山白朝子はミステリ系…みたいなざっくりとしたジャンル分けのイメージだったのだけど、この短篇集は全体を通して、微ホラー+微ミステリ+人間ドラマみたいな印象。ハートフルではないけれど考えさせられたり、浮世離れした設定なのに妙に現実味があったり。
    8篇収録されているけれど、どれも同じくらい面白くて印象にも残った。

    一番ぞっとしたのは「子どもを沈める」。学生時代にいじめに加担した過去を持つ女性が主人公。同じくいじめをしていた同級生3人が次々自分の子どもを殺してしまうという事件を起こし、そのうちの1人から「殺してしまった自分の娘の顔が生田目頼子そのものだった」という手紙が主人公の元に届く。生田目頼子とは、自分達がいじめて亡くなってしまった同級生で、そしてその手紙を受け取った時、主人公は身籠っていた。
    呪いというものは本当にあるのか、それともそれぞれの中にある罪悪感が呪いを生むのか。
    表題作はとても辛くて悲しい物語だけど、主人公の生きる力も同時に感じる。

    1冊で色んな要素を感じられたし、読み物としてシンプルにとても面白くて、あっという間に読み切ってしまった。装丁も好み。

  • ホラー、ミステリー、SF的要素の混じった短編集。文章が、とても読みやすく変に文学ぶってなく、映画のように情景が目に浮かぶ。それぞれの話が、全然別のタイプながら展開が早くてひねりもあって、読み終えた後、なるほど、と納得感があった。通勤電車での暇つぶしには最高だった。

    表題作は、特に良かった。今後思い出すと思う。
    そのほか、トランシーバーや、天使や、布団もすごく印象に残った。

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著者プロフィール

怪談専門誌『幽』で鮮烈デビュー。著著に『死者のための音楽』『エムブリヲ奇譚』がある。趣味はたき火。

「2023年 『小説家と夜の境界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山白朝子の作品

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