ムーンライト・イン

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 916
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110782

感想・レビュー・書評

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  • 結局は「ウジウジ度」の問題なんだろうな。
    あらすじは下に書きましたが、登場人物たちがそれぞれに問題を抱え悩み、一歩を踏み出せずにいます。それがちょっと度を過ごしていて余りにもどかしいのです。閉塞感におぼれ、中島さんの特長であるユーモアが身を潜めてしまった感じがします。
    もう一つ、どうも人物像がしっくり来ません。ムーンライト・インの持ち主の虹之助さんは80歳過ぎで今も果樹栽培とジャムやジュースの工房を運営しているのですが、そういう生活感がありません。また主人公の拓海の異常なほどの引っ込み思案(ウジウジ度)とこれまでの経歴が結びつきにくく、マリー・ジョイの一見あっけからんとしたキャラは好きですが、どうにもモデルのローラさんがちらついて邪魔になります。LGBT、老人介護、親子の断絶、ワーキングプア、外国人の就労問題。少々盛沢山に世相を折り込んで話は進みます。
    最終的にはそれぞれが小さな一歩を踏み出して、明るいであろう未来を感じさせて終わるのは良いのですけど。

    【出版社の紹介】
    だいじょうぶ。何かにつまずいた時、 あなたを待っている場所がある。

    職を失い、自転車旅行の最中に雨に降られた青年・栗田拓海は、年季の入った一軒の建物を訪れる。穏やかな老人がかつてペンションを営んでいた「ムーンライト・イン」には、年代がバラバラの三人の女性が、それぞれ事情を抱えて過ごしていた。拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、治るまでそこにとどまることになるが――。
    人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に巡り合った男女の、奇妙な共同生活が始まる。

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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