ノートル=ダム・ド・パリ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110829

作品紹介・あらすじ

15世紀末のパリ。ノートル=ダム大聖堂の副司教クロード・フロロは、聖堂前の広場で踊るジプシーの娘エスメラルダに心を奪われ、自分が育てた異形の鐘つき男・カジモドに誘拐させて、わがものにしようとする。しかし間一髪、王室騎手隊の隊長に救われ、エスメラルダはその若き隊長フェビュスに一目ぼれしてしまう。嫉妬に狂った副司教のクロードは、フェビュスを殺し、エスメラルダにその罪を着せ破滅させようとする。一方、エスメラルダの美しさとやさしさにふれ、いつしか愛情を抱くようになったカジモドは、彼女を絶望的な運命から救いだそうとするが――。

感想・レビュー・書評

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  • 読み始める前に頭にあったのはディズニーの映画「ノートルダムの鐘」
    といっても、映画を見たことはありません。
    「でもディズニー映画だから、辛い展開でも最後はなんかいい感じでハッピーエンドに向かうんだろうな」などと思いながら読み始めました。

    それくらいの前知識で読み始めたのですが、この角川文庫版は原作を抄訳しているそうで、およそ200ページほどの長さ。「海外古典文学のわりにストーリーがすっきりしていて読みやすいなあ」などと偉そうに思っていたら、後からそれをしりなんとなく納得。

    舞台となるのは15世紀のフランスパリ。美しい踊り子の娘をめぐっての愛憎を描いた物語ということになるのかな。

    冒頭から大聖堂や当時の街並み、世相を感じさせる描写が印象的で、抄訳なのにこの雰囲気をまとっているのがすごいなと感じました。
    読み終わるまで、抄訳だと気づかなかったのは、こうした描写の抜き取り方もそうだし、文章や登場人物たちの雰囲気も、海外文学ならではの一種の仰々しさが、終始感じられたからだと思います。海外文学が苦手な人や、ディズニー映画だけ知っている人でも、だいぶとっつきやすいのではないかと思います。

    作品全体を通してみると、報われなさが心に残る話だったなと思います。登場人物それぞれが恋にとらわれ、そして何かを失っていく物語。正気や立場を失い、本当の愛を見失い、慕っていた人、焦がれていた人を失う。

    そんな悲劇的な物語ではあるのだけど、作品の舞台や時代背景のためか、はたまた作者や、訳者の方の技量か、それがドラマとして、一種の抒情詩として成り立っているように思います。

    抄訳ゆえか、やや物語の展開や、登場人物の心情の変化が唐突だったりする印象があったりするのですが、原作は本筋と関係ないところの描写もかなり詳細らしいので、読みやすさをとるか、物語のより細かい完成度のどちらを取るかは、個人の好みによるところだと思います。

    この抄訳版でもラストの展開はかなり読ませるものだったけど、原作の長い物語を読んだ後だと、あのラストの嵐のような展開は、より深く心に刻まれていたのではないかな、とも思ってしまう。

    でも、やはりこの抄訳版の完成度はかなり高いと思います。当時の挿絵も使われていて、それも物語の雰囲気を盛り上げるのもうれしいところです。

    この抄訳版の記憶が色々あやふやになって、できればディズニー版の映画も見て、話の記憶を上書きして、そして原作を最後まで読み通したら、心がすごくぐちゃぐちゃになって、でもどこかでものすごい満足感も感じられそうな気がします。

    当分は無理だし、結局やらなそうなことではあるけど、でもそういう読み方をしてみたくなる、抄訳版ながら読み応えのある印象的な作品でした。

  • 初めて読んだが、ディズニー映画向けとは思えないストーリーが意外だった。原作をダイジェストした翻訳なのでテンポが良く、起伏富む展開は、古典文学に敷居の高さを感じる人にでも面白く読めるはず。質の高い出版当時の挿絵掲載は特筆もので、物語世界をより楽しませてくれる。キャラクターそれぞれの狂気じみた恋は、後世のフランス映画で目にするのと同じテイストがあり、それら源泉のひとつこそユゴーの作品だったのだろうと、逆に想像した。

  • 装丁が素敵だったので手に取りました。本書は抄訳ということで読みやすさを重視し、コンパクトに物語がまとめられています。「ノートル=ダム・ド・パリ」といえばディズニー映画版のしか知らなかったので原作を読んでみて初めてその違いを知りました。エスメラルダを巡って愛憎入り乱れる人物関係や生き別れとなった親子のエピソードなど抄訳であっても盛りだくさんでとても楽しめました。また当時の挿絵もあり、絵でも物語を楽しめます。普通版はもっと複雑な構成とのこと。年内には普通版の上下巻を読破したいです。

  • なんて救いようのない...。

  • ディズニーアニメ版『ノートルダムの鐘』を観てすっかりどハマりして、原作を読みました。
    アニメ版と原作とではだいぶ話が違うんですね。フロローの粘着ストーカーぶりが大いに発揮されてて笑いました。ディズニー版ではあれでもマイルドにされていたのだなぁ…
    結末は救いが無く、後味の良さとしてはアニメ版に軍配が上がりましたね。フロローの聖職者としてエスメラルダに恋をしてしまったことへの葛藤も原作は一押し弱い気がしてしまった。でもアニメ版と別物として読むとこれはこれで面白かった。

  • ディズニーの方はまだ観たことないです。録画してあるけど先に原作を読みたかったので我慢してた。

    原作といっても抄訳で、かなーり要点のみらしいけど
    私は一度レミゼで挫折してるので、ユゴーくんとは勝負しないことにしました。いずれちゃんと全部の訳も読んでみたいな!

    抄訳というだけあって半日で読み終わりました
    「カジモドの結婚」でこそ完結する、とんでもねえ物語よ。ラストはもちろん違うと聞いてるけど、それでもよくこれをディズニーアニメにしようと思ったな!?企画出したの誰だ!?
    エスメラルダ可哀想だけど、あんな理不尽な死、たくさん転がっていたんでしょうね

  • ダイジェスト版なので、かなりうっすい本です。ぜんぶ読みたいというチャレンジャーは岩波上下巻へ。

    とはいえ拾うべきところは拾ってあるので、あのユゴー特有の脱線とかないしわけわからん解説ないので文字を見ると眠くなる自分にはかなりオススメ。しかも当時出版された挿絵も載ってるのはおおきい。ああ、副司教マジでハゲそうだったんだと(笑)

  • あらすじを掴むにはいいだろうけど、ほんとうにそれだけだなあ 原作のフロロのねばついた感情とかが漂白されちゃっててもったいない 原作を再読したくなった

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著者プロフィール

1802年-1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯曲家。10代の若さで詩人として国王ルイ18世に認められるなど、早くから頭角をあらわす。すぐに戯曲や小説を発表するようになり、1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表して、不動の名声を獲得。政界にも進出したが、激動の時代により亡命生活も経験している。

「2022年 『ノートル=ダム・ド・パリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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