かぞえきれない星の、その次の星

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 849
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041111741

作品紹介・あらすじ

さみしさは消えない。でも、希望は、ある

かぞえきれないものを、ときどき見たほうがいい。
ぼくたちは皆、また間違えてしまうかもしれないから――


感染症がひろがり休校になってしまった春、子どもたちのためにこいのぼりが企んだのは……。 「こいのぼりのナイショの仕事」「こいのぼりのサイショの仕事」
大切で大好きな相手であればあるほどいまは会えない。父と娘は、画面越しで会話する。 「天の川の両岸」
ミックスルーツのリナはお母さんと二人暮らし。「日本人らしい」っていったい何だろう――。 「コスモス」


「星のかけらには、さみしさが埋まってる」
夜空にちりばめた、11の小さな星たちの物語

「誰かに会いたいと思ってるとき、ほんとうはもう会えてるのかもしれないな」


収録作品:こいのぼりのナイショの仕事/ともしび/天の川の両岸/送り火のあとで/コスモス/原っぱに汽車が停まる夜/かえる神社の年越し/花一輪/ウメさんの初恋/こいのぼりのサイショの仕事/かぞえきれない星の、その次の星
雑誌「小説 野性時代」掲載作に書き下ろしを加えた、全11篇

感想・レビュー・書評

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  • よかった~。。。
    なんだか重松清さんの集大成のような作品。

    11からなる短編集。
    いろいろなさみしさをもった人々をいろいろな角度から優しく語るような物語たち。

    桃太郎の話は少しテイストが違っていたけれど、これも重松清さん。
    そして、これはあとがきか解説が欲しいなぁ と思いながら読んだ最後の「かぞえきれない星の、その次の星」を読んで納得。
    見事に一冊の本に仕上がっている。

    大切な一冊です。。

    メモ
    さみさしさは消えない。でも希望は、ある。

    誰かと会いたいと思っているとき、ほんとうはもう会えているのかもしれない。

    こいのぼりのナイショの仕事/ともしび/天の川の両岸/送り火のあとで/コスモス/原っぱに汽車が停まる夜/かえる神社の年越し/花一輪/ウメさんの初恋/こいのぼりのサイショの仕事/かぞえきれない星の、その次の星

  • 11の短編集。
    未知のウイルスにより休校になった子どもたち。
    妻と娘に画面越しでしか会えない家族。
    亡くなった母に会いたい娘。
    ミックスルーツの母を持つ娘。
    不登校やいじめ、病気を抱える子どもたち、など。
    様々なさみしさを抱えた人たちの物語。

    さみしい。だけど、あたたかい。
    こいのぼりや置き物のかえるの目線、生と死の狭間の世界など、ファンタジックな設定や子どもに語るようなやさしい口調で、読んでいて安心感があった。

    やさしくふわふわとした輪郭だったのが、最終話でくっきり明らかになる。「かぞえきれない星の、その次の星」に出てくるおじさん。きっと、重松さん自身でもあるんだろうな。
    令和2年。作家としてできることを考え続けていたんじゃないのかな。それが、いろんなさみしさがあるなかで、希望はあるんだって、小説を通して伝えること、だったのかなって。

    さみしさは消えないけど、希望を見つけることはできるよって、やさしく勇気づけてくれた。
    未知のウイルスと戦い続けている今、この本に出会えてよかった。

    • hiromida2さん
      ひろさん٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱
      素敵なレビューありがとうございます♪
      レビューを通して、ひろさんと重松さんの
      優しさが伝わってきました。
      ひろさん٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱
      素敵なレビューありがとうございます♪
      レビューを通して、ひろさんと重松さんの
      優しさが伝わってきました。
      2022/07/15
    • ひろさん
      hiromiさん(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
      コメントありがとうございます!嬉しいです♪
      現代の社会問題である、コロナやいじめ、不登校、人種差別など...
      hiromiさん(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
      コメントありがとうございます!嬉しいです♪
      現代の社会問題である、コロナやいじめ、不登校、人種差別など、内容は軽くないはずなのに、その言葉自体を使わずに描かれていて、優しく希望を感じさせてくれるようなお話でした。
      大人も楽しめますが、小学生くらいの子にも読んでもらいたい作品だなぁと思いました。
      2022/07/15
  • ファンタジーです。特に鯉のぼりの話なんかは、絵本として読みたいですね。

  • 重松清さんの短編集。
    短編なのに泣かせてくるのが、本当にすごい。
    簡単に泣かされるわたしですが。


    「とあるウィルス」が出てくるお話は、
    ちょっと、まだ、読むのがしんどい。

    桃太郎のお話が皮肉たっぷりでよかったです。

  • 久々の重松作品は、星をテーマにした11の短編集。コロナ禍である今、自分を重ねて読めるのは重松さんならではの優しい言葉の綴りだと思う。
    「原っぱに汽車が停まる夜」「送り火のあとで」「かぞえきれない星の、その次の星」が特に印象的。

    どうしようもない寂しさは消せないけど、希望満ち溢れている。
    寂しさを埋めるのに、時間は必要だけどその中でふと側にいてくれているように感じ出す時がある。
    寂しさを感じる時会いたいと思う時には、もうその相手に会えている・・・と言う感覚が持てたらいいなぁと思う。

  • ブクログの皆さんの本棚を見ていて、一番読んでみたかったのが重松清さんでした。
    やっと新刊が手に入った!初めて読める!
    (でも今しらべたら『木曜日の子ども』を読んでいました。)

    一昨日読んだ本のせいで、その後怖い夢を見ました。
    小中学生には読ませられないなぁ。
    でもこの『かぞえきれない星の、その次の星』は
    どれも心温まる良いお話で、小中学生の皆さんにも読んでほしいと思いました。
    あ、桃太郎の話だけはちょっと悪いかも。
    でも世の中良い人ばかりと信じるのもそれはそれで危険だから、一つぐらいそういう話があるのも良いでしょう。

    さて私には一人だけ、どうしても会いたい人がいます。
    思い出さない日はありません。心痛めています。
    その辺を解決する術も読書に求めていて、今までで一番慰められたのは小川糸『ツバキ文具店』『針と糸』の
    〈なくしたものを嘆くのではなく、
    今、手のひらに残っているものを、
    大事にして生きていこう〉でした。

    重松清さんは、というかプロの嘘つきのおじさんは、
    「誰かに会いたいと思っているとき、ほんとうはもう会えているのかもしれないな」と言いました。
    それでは解決にならないですよー。

    でも、もしかしたら解決するときがくるかもしれない。
    久しく夜空の星を見ていなかったのです。
    これから毎日見てみようと思いました。

  • 新型コロナウイルスで
    行動制限やマスク生活
    離ればなれの家族が会えない
    静かな学校

    いじめ

    死の別れ

    今を生きる寂しさを描いた短編集

    今直面している問題(コロナ)で読んでいて心が痛い
    でもこの小説の中には人の温かさや勇気がある

    最後の「かぞえきれない星の、その次の星」の
    「おじさん」は著者の重松清さんなのでしょう
    「ぼく」は読者の私達の象徴
    さあ、私も私の寂しさや苦しさに1歩立ち向かってみよう

    「送り火のあとで」を読んでいて
    泣きそうになった

  • タイトルだけ見て思わず借りてしまった本
    重松清さんは久しぶりに読みました
    星が好きなので星って書いてあるだけで気になっちゃう笑
    少し胸が痛くなる話から、ほっこりする話まで
    私が夜空を見上げるとき、どんな時に見上げるだろうって考えました
    元気な時も、そうじゃないときもいろんな夜空がある
    どうしようもないのに、願ったり祈ったりする
    たくさんのかぞえきれないものがある
    かぞえきれないもののなかに、また違う答えがあるかもしれない

    間違ってもいいんだ、またそこからやり直せるなら
    そうやって背中を押してくれるような本でした

  • ★4.8
    The重松清というぐらいの重松さんらしさが詰まった11話の短編集。時節柄、このコロナにおける社会状況を捉えた作品も何作かあり、その中には日本政府へほ批判も込められた部分もあって、重松さんらしいなぁーと改めて感じた。全ての作品の中に寂しさが流れていたが、重松さんらしい弱い者、特に子供たちへの温かく優しい視線が心地よかった。お気に入りはベタだが、一番は「送り火のあとで」、次に「ウメさんの初恋」かな。

  • 読むのをやめなくて良かった。
    前からのファンの重松清さん。
    内容も知らずに予約して、読んだ。
    やっぱり凄い。
    泣かされた。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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