紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114186

作品紹介・あらすじ

大学祭の準備で、百花が所属する「小冊子研究会」も大忙し。そのさなか、天野楓と名乗る新入生が百花を訪ねてくる。川越にある「活版印刷三日月堂」に高校の時からアルバイトをしている楓は、百花たちが作った「物語ペーパー」の企画に惹かれて訪ねてきたという。活版印刷の話に盛り上がった研究会のメンバーは、新歓を「三日月堂」の見学を含めた川越への遠足に決まる。当日、観光名所を回りながら「三日月堂」に到着した一行は、活字棚の壮観に圧倒されつつ説明を受ける。やがて外出先から戻った店主の弓子に百花は改めて挨拶をする。ふじさき記念館で企画した「物語ペーパー」が好評で注文が増え、作成の一部を「三日月堂」に頼むことになっていたのだ。楓が弓子たちと働きたくて、まだ大学1年であるにもかかわらず将来を決めていることに、驚きを禁じ得ない百花。それに比べ自分はどうなのか。一方、記念館の入るビルの取り壊しが正式に決まり、その存続が揺らぎ始めていた……。「紙屋ふじさき記念館」と「活版印刷三日月堂」が完全リンク、物語は佳境へ!

感想・レビュー・書評

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  • 第4弾。
    百花も大学3年になり、新入生を迎える時期になる。
    そこへ百花を訪ねてやってきた天野さんという新一年生。
    彼女は、高校生の頃から三日月堂でアルバイトをしていた。
    それが縁で、新入生歓迎遠足を川越市にする。
    そして活版印刷の体験をすることとなる。

    とにかく、百花も行動的になり、もはや1年前とは比べ物にならないほど。

    いろいろなことに挑戦していく姿に応援したくなる。

    それに付随して、むっつりと愛想のなかった記念館の館長もワークショップの講師もするようになる。

    京都の染め工場の見学にも百花は付いて行き、今までにはない行動力なのである。

    和紙の魅力に引き寄せられて、今まで眠っていたパワーを全開にした感じがした。

    これからの記念館は、2人でどう盛り上げていくのだろう…か。

  • シリーズ4作目。
    今回はがっつり「三日月堂」とのコラボ。他の作品では名前は出て来ても、弓子さんが出て来ることがなかったが、今回はちゃんと登場。百花の所属する「小冊子研究会」の遠足として、川越に行き、三日月堂で活版印刷の体験をするのだが、川越の観光の中にはちゃんと「月光荘」も登場するので、ファンには堪らない。
    しかし、今作では「ふじさき記念館」の入っているビルの取り壊しが決まり、今後を模索する百花と一成の様子が描かれ、これまでの百花発案による紙を使った作品が登場しないのが少し残念。その代わり、百花は記念館のホームページ作成を頑張るのだが、これまでの紙を使った百花のアイデアは本当に素晴らしかったので、ここはひとつぐらい入れてもらいたかった。
    記念館もビルの取り壊しにより、閉館を余儀なくされ、一成は記念館がなくなった後の自分の身の振り方を、大学3年になった百花は自分の将来を、互いに考える岐路に立たされ、今後二人がどのような決断をするのか?
    次作も楽しみ。

  • 活版印刷三日月堂とも関連してきて、著者の世界が広がっていく。大学生の進路問題も具体化してきて、こうやって行き方を決められる人は幸せだと思う。

    そして、こういう生き方ができるかもしれないのは、平和だから。残念乍ら、必需品ではないんだ。人の心に余裕を生むものだけれども、人の心に余裕がないと生み出せないもの。こういうものを大切にしたいという人の思いが吹き飛ばされないくらい集まればいいのだけれども。

  • このシリーズ4冊目。またまた配偶者のほうが先に読み終えた。

    第一話が「活版印刷」って。三日月堂、きた~!
    毎回ここまで必要かと思うのだけど、今回もじっくりと川越の観光のことが描かれて、どさくさに紛れて月光荘まで出てたね。
    活版印刷やそれが好きな人たちのことか書いてあるだけでじんわりくる。弓子さん、出掛けていて出てこないかと思っていたら帰ってきたのでニンマリ。

    そこも含めて今回は、百花も大学3年生になりそろそろ卒業後のことを考え始めなければならず、一方で記念館が入っている建物の売却も本決まりになりその行く末も気にかかる、そんな心持ちが色々な出来事や人との会話を経て深められていく様が描かれて、それに引っ張られて一成も一皮向けていく。
    引っ込み思案の百花も元々やれば出来る子だし、一成も才能はあるし凡百の家庭にはない環境や経験を持っているわけで、もちろん二人ともとてもよく頑張っているのだけれど、定期ワークショップやウェブサイト作りなどうまく行くばかりなのが、話の展開としてはいささか喰い足りないところはあり。
    とは言え、和紙に惹かれる真っ直ぐな思いとか、今の世の中に相応しい“豊かさ”についての提起とか、過去と現在を踏まえた上で自分や記念館の未来を見据え考える姿などに打たれるところは多く、喰い足りなさを補って余りある。
    和紙の世界も、折形やら型染めやら板締め染色やら、まだまだ出て来て、本当に奥が深いな。

  • 前向きに進んでいく。

  • 三日月堂さんが思っていたよりガッツリ登場。ここの話はまだ続きもありそうで楽しみ。それだけではなく、川越なので月光荘も出てきたりして、みんなこの世界の中で確実に存在しているんだなと思うと、世界が広がった気がして楽しい。フィルムカメラの話も出てきて、あのシリーズも続きが気になるなと思ったり…。登場人物それぞれが自分の考えをしっかり持っていて、きちんと地に足をつけて生きている感じがとてもいい。カラーインク、すごく気になるけど、最近は手紙を書くこともなくなったし、使い道が無いよなぁと思うと二の足を踏む自分がいる…

  • シリーズ4作目にして一番好みの展開だった。三日月堂と繋がり月光荘との繋がる予感も。早くも続きが楽しみ。

  • ほしおさんの新しいシリーズの4作目だった。まあ、この前を読んでないけどそれはあまり関係なかった。今度は紙ですか。題材にする視点が面白いね。で、三日月堂と完全にコラボしてるのがなんか嬉しい。ただ、ほしおさんの話、説明が多くて、正直ちょっと疲れる

  • 活版印刷三日月堂とリンク。
    知らずに読んで、両方読んだものとして嬉しくなった。
    紙、インク、文具、こういうものは見ているだけで楽しくなるし、色々揃えたくなる。
    川越にも行ってみたくなる

  • ひとが夢を見つける瞬間ってときめくわ。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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