煉獄の獅子たち (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041119402

作品紹介・あらすじ

関東最大の暴力団・東鞘会の跡目争いは熾烈を極めていた。現会長の実子・氏家勝一は、子分の織内に台頭著しい会長代理の暗殺を命じる。一方、ヤクザを憎む警視庁の我妻は東鞘会壊滅に乗り出していた……。

感想・レビュー・書評

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  •  前作の「ヘルドックス」で魅了され、続編であるこの本を手に取りました。氏家勝一の秘書である織内鉄さんとマル暴刑事である我妻邦彦さんの二つの視点で語られていく。
    話はあの事件の前日譚。読み始めるとすぐに今回も魅了され一気読みしてしまいました。圧倒的な暴力シーンや銃撃戦などの迫力や心理戦のヒリヒリした感じがたまらない。ヘルドックスでは描かれなかった別の視点での物語のため、さらにヘルドックスの世界観が広がった作品でした。
     これはもう続編を読むしかないですね。

  • 「ヘルドックス」シリーズの2作品目。
    前回の続きかと思っていたが、時系列では前作「ヘルドックス」の前日譚にあたる。

    前作同様、出てくる人物が非道で外道でバイオレンスのオンパレード。だが奥深さがあり凄く面白い作品だった。
    「ヘルドックス」同様、複雑に周到された罠や策略やら陰謀がはりめぐらされている。

    「ヘルドックス」と今作品をセットで考えて捉えてみると全体の流れが全てが府に落ちてくる。
    特に阿内、勝一の前作で影になっていた部分が明らかになってきて、なるほどと納得、解釈する事ができた。
    そして勝一の実体がそんなだったとは。
    前作では想像もしない展開で自分の創見の上を行く内容だった。

    次作「天国の修羅たち」も期待。

  • 感想
    救いようのない騙し合いの連続で物語を読んでいると、何が善で何が悪なのか?暴力団と警察の境目がどんどん分からなくなってくる。

    こうやって、ヘルドックスに繋がって行ったんだなぁ。

    あらすじ
    関東最大の暴力団である東鞘会は会長の氏家必勝が東南アジアへの進出を果たして勢力を拡大していた。必勝の死により、会長代理の神津と息子の勝一で組が割れる。

    勝一は、関西の華岡組と組んで神津を暗殺するも、東鞘会は十朱をトップとして三羽烏体制で、乱れがみられなかった。

    組対四課の我妻は、神津組を追い詰めるべく捜査をする。その過程で、借金で嵌められた玲於奈という女を救う。警察内のゴタゴタに巻き込まれながらも、捜査を続ける。東鞘会のトップである十朱が、警察官で潜入捜査を行っている事実を知る。その後、玲於奈との日々に満足していた我妻だったが、身内から玲於奈がスパイであることを告げられ、愕然とする。

    ジリ貧の和鞘連合は、織内がなんとしてでも十朱を討つ機会を狙っていた。喜納と織内は、警察の木羽と阿南、我妻と組んで十朱の抹殺作戦に動く。しかし、十朱に裏をかかれて返り討ちに合う。生き残った織内は、勝一のもとに行き、勝一が十朱に情報を流していたことを知る。怖気付いて引退を選ぼうとした勝一を暗殺し、自分が勝一に成り変わることを誓う。

  • 深町秋生『煉獄の獅子たち』角川文庫。

    映画原作『ヘルドッグス 地獄の犬たち』の続編。

    深町秋生の最高傑作と言うべき前作『ヘルドッグス 地獄の犬たち』を踏襲する余りにも過激でハードなピカレスク小説。最初は我妻刑事の山形弁が作品の雰囲気を少し弛緩させているように感じたが、慣れてくると寧ろヤバいくらいのリアリティを感じる。

    跡目争いに揺れる関東最大の暴力団・東鞘会。現会長の実子である氏家勝一と会長代理の神津太一とが新会長の椅子を争い、対立する。次第に激化していく抗争と報復。氏家勝一は神津太一を暗殺するが、何故か風向きは変わらず、代わって神津組の十朱義孝が新会長の座に付く。

    一方でヤクザを激しく憎む警視庁の我妻刑事は東鞘会壊滅に乗り出すが、同じ警察の組織犯罪対策特別捜査隊から横槍が入る。山形弁丸出しの我妻刑事に初めこそがっかりするのだが、次第に正義の強面刑事ぶりを見せる。

    そして、前作で元警視庁の潜入捜査官で警察組織に見切りを付けてヤクザに寝返った是安総こと十朱義孝が本作でも再び……

    本体価格880円
    ★★★★★

  • 最近なかなか出会わなかった、今どきの感じがないガチガチの昭和のような極道物。
    もう、警察も信じられなくなるような汚く暴力的な内容だけれども展開の速さと裏切りの連続で最後の最後まで面白かった。
    既刊のヘルドックスの前日譚らしいが、読んだ割に全然記憶にない。この本を読んでも記憶が蘇らない・・・。

  • ヘルドッグス続編。
    と思っていたら、続編というよりは連作。
    ヘルドッグスの過去、氏家勝一VS十朱の部分でした。ヘルドッグスではこの抗争が終わってからが書かれていますよね。
    なので、阿内の上司木羽、ヘルドッグス冒頭で兼高に殺された喜納、メインであぶり出されてた勝一はもちろん、十朱と三羽烏も出てきます。

    前回は十朱側からの話でしたが今回は勝一側から。
    正直前回は勝一サイテーと思ってたんですが(言い方)、今回は十朱サイテーですね!(変わり身早い)
    描かれ方によってこんなにも勝一が男気あふれる任侠になるとは…

    前回と違って、今回は全部悲しくモヤモヤとこれでいいのか…?というところで終わります。
    しかーし!これがあのヘルドッグスに繋がるのか…うわぁぁぁぁ!すげぇ!
    これ、絶対読む順が最高だよね!?
    まさかの勝一いいいいい!別人!まじか!!
    この話を受けてだと、(偽)勝一はどういう気持ちで兼高にやられたんだろう…oh…
    まさかこんな話が隠れているとは思いませんでした。

    これまだ続いてるんですよね!?うわぁー次どうなってるの!?もう誰が出てきて誰目線で描かれるの!?
    これは絶対続けて読んだほうが面白いやつでした!




    @手持ち本

  • ヘルドッグスシリーズ第二作目で『地獄の犬たち』の前日譚に当たる。
    兼高が出てこないので物語に入り込めるか心配だったが、それは杞憂だった。また新たな魅力的なキャラクターが登場して、読者を極道の世界に引き摺り込んでいく。
    ヤクザを憎む危ういマル暴・我妻の最期、すごく悲しかった。もう一人の主人公、ヤクザの織内も悲しい道を歩んでおり、この似たもの同士の二人が死ぬところは見たくないとさえ思った。二人それぞれの地獄を見て追っていて、知らず知らずのうちに情が移ってきてしまう。
    闇を抱えた・抱えさせられた人々の絶望は計り知れないけれど、暴力でしか解決できない世界もあるのだろうと思う。
    誰が一番怖いのか、考えたけれど阿内だろうか。この人も後に引けなくなっていて、これが一作目に繋がっていくのだと思うと感慨深い。また一作目を読み直したくなってくるし、三作目も期待して読もうと思う。

  • 極道物は面白いです、とは言え物語としてもちゃんと面白い一冊でした

  • 関東最大の暴力団・東鞘会の跡目争いは熾烈を極めていた。現会長の実子・氏家勝一は、子分の織内に台頭著しい会長代理の暗殺を命じる。一方、ヤクザを憎む警視庁の我妻は東鞘会壊滅に乗り出していた……。

    前作『ヘルズ・ドッグ』の前日譚に当たる今作。前作以上に業が深い登場人物ばっかりであった。煉獄の獅子と題名にあるように、己の信念や正義を貫くために、生きていく彼らや彼女ら、輝いているが、その輝きが失われたり霞んだりする瞬間に死んでいく様は鮮やかであった。

    前作に出てこない人や、死亡が伝えられていた登場人物たちも、壮絶な死に方をしており読み応えがあった。ソトクの我妻への対応は苛烈ではあったが、脇が甘い警察官というところでは、仕方ないところもあったのか。
    玲緒奈が中国からの産業スパイであったところが1番予想外ではあった。彼女だけはこの作品の救いであって欲しかった、というのもあったのに。
    また、前作の氏家正勝が、織内が成り代わった姿であったというのも驚いた。ただ、阿内と繋がっている描写が度々あったので、この過程があったからこその前作なのか、と繋がりの深さにも驚いた。

  • 03月-11。3.5点。
    ヘルドッグス第二弾。第一弾の前日譚。会長氏家必勝の息子勝一と、その片腕織内とマル暴刑事我妻を中心に物語が進む。相変わらずグロい描写はあるものの、ストーリーはしっかりしている。
    ラストは衝撃。第一弾へとつながる重要な展開だった。

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著者プロフィール

1975年山形県生まれ。2004年『果てしなき渇き』で第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。同作は14年『渇き。』として映画化、話題となる。11年『アウトバーン』に始まる「八神瑛子」シリーズが40万部を突破。著書に『卑怯者の流儀』『探偵は女手ひとつ』など多数。

「2022年 『天国の修羅たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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