- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041127575
作品紹介・あらすじ
ショッピングモール「スワン」で無差別銃撃事件が発生した。死傷者40名に迫る大惨事を生き延びた高校生のいずみは、同じ事件の被害者で同級生の小梢から、保身のために人質を見捨てたことを暴露される。被害者から一転して非難の的になったいずみのもとに、ある日一通の招待状が届いた。5人の事件関係者が集められた「お茶会」の目的は、残された謎の解明だというが……。文学賞2冠を果たした、慟哭必至のミステリ。
感想・レビュー・書評
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最近書店で呉勝浩さんの著書が色々目にとまる。昨年の「このミス」もそうだが、凄い人気の作家さんなんだと随分前から認識していた。
「爆弾」を読んでみようと立ちよった書店で帯を読んでいたらこちらの「スワン」も気になり先にこちらの作品を購読することに。
無論の事「爆弾」も同時に購入した。
郊外のショッピングセンター「スワン」で起きた無差別殺人事件の被害者と関係者達の物語。
真実の中にある嘘、嘘の中にある真実の両極の入り交じり方が深すぎる。
極限の状況下、偶発的事象の中ではまともな行動も考えも何もかもが正確な的を射れるはずもなく、ただただその不幸さと不平等さが溢れる程留まるだろう。
そして現場に居合わせ運良く生き残った人々は心情的に罪に似た不快感を纏わり付かされる。
世間やマスコミ、被害者遺族から大なり小なりの矛先を向けられてしまう。
口を塞ぎ込む事で自己愛とも自己防衛ともとれるが、果たしてどうすべきなのか?忘れる事など不可能だろうし。
その人間心理を事細かくこの作品の中に描写されている、考えさせられる。
物語として主人公のいずみ、「複雑な情」同じ状況下、同じ心理状態、同じ影響下の小梢と自分を案じ、最終的に前を向く覚悟をしたが、作者は読者に問題提起を投げ掛けているものと自分は読み取った。難解で深甚なる作品。
深く考えさせられる作品だったが、物語としては同時刻に何がどうおきていたのか?誰がどう絡んでいたのか?何故嘘をつくのか?どれが嘘なのか?
先がとても気になる面白い作品でもあった。
同作者の「爆弾」、期待して読んでみたい。
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うわ〜
かなり、ええ感じやん!
でも、こら、犯人狡いで〜o(`ω´ )o
ショッピングモールで、大量虐殺するだけして、自殺とは!
遺族とか、怪我人とか、どこに怒りをぶつけたら良いか分からんやん!
ここまで考えての犯人らの犯行なら、コイツら、かなり曲がってる。
悪いのは犯人であって、他の生き残りの人に何の罪があるの!
まだ、遺族なり、それに関連した人なら理解はできる…まぁ、それでもあかん事やとは思うけど。
それ以外の野次馬は、黙っとけ!マスコミが一番あかん気はするけどな!
こんな突然、恐怖の坩堝と化したら、色んな事あるんやろうな…
命は惜しいし…
なので、その時した事、起こった事に、
後悔したり…
怒ったり…
と。
事件後に、生き残りの人ら集めて、真実探るんやけど、もうええやん!とは思う…
辛いし、嘘もある…
本当に、真実と向き合えるのかなぁ〜
しんど〜
もし、私が、ショッピングモールで、銃を乱射してるヤツらに会えば…
ダイハードばりに闘う 〜!ᕙ( ˙꒳ ˙ )ᕗ
…訳ないか…σ^_^;-
ゆーき本さん
私は、闘います!笑
巻頭の地図を見ながら、考えました〜
地図見ながらは、結構、面倒なんですけどね^^;ゆーき本さん
私は、闘います!笑
巻頭の地図を見ながら、考えました〜
地図見ながらは、結構、面倒なんですけどね^^;2024/02/28 -
2024/02/28
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2024/02/28
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ショッピングモールで発生した凄惨な事件、巻き込まれた被害者たちの更なる悲劇に耐えられるか #スワン
■あらすじ
ショッピングモールで発生した凄惨な事件。
後日、事件に巻き込まれた被害者たちが集められ、不確かだった謎について解明していく。隠された真相は被害者たちにどんな結果をもたらすのか…
■レビュー
先生は扱うテーマや切り口が魅力的で、ついつい本を手に取ってしまいますね。今回もモールを舞台にしたテロ事件なんて、なんて衝撃的なんでしょう!
さらに題名にある「スワン」の世界観が素晴らしく、殺戮劇、犯人、被害者を芸術的に作品全体をまとめていて素敵です。
本作、一見するとテロ自体が本筋に見えますが、実はそうではありません。事件後の被害者や関係者の内なる吐露、葛藤が読みどころになります。
どんなに考えても割り切れない思い、繰り返し思い悩んしまう気持ちが胸に刺さります。特に被害者となった女子高生の苦悩は、もし自らが同じ立場だったらどうするか… もはや考えたくもありません。
事件の真相も切なく、どんな思いで課題を乗り越え、これからを前向きに生きていくか。そしてラストは胸が苦しくなりましたが、美しくもありました。
■推しポイント
どんなに悲痛で難しい選択にも関わらず、何も知らない奴は正義感たっぷりにバッシングする。人がある判断をした時、どういう環境下や条件だったのか、リアルに考えることができない。
本作では人をなじるときの悪意、受け止めなければいけない生贄の辛辣さが強烈に描かれていました。
世間である「いじめの問題」と似ていますね。欧米では、いじめが発生したときは、いじめている側に主たる問題があるとされます。いじめっ子側がカウンセリングされるのです。
「人に歩み寄る、寄り添う」という思いやりは何処に行ったのでしょうか。
私は人の愚弄するよりも、人を笑顔にしたいです。 -
日曜のショッピングモール“スワン”で 無差別銃撃事件が発生する。
21名の死者。17名の重軽傷者。
犯人は、三名。二人は、自害。一人は、仲間に撃たれた。
プロローグで、事件は起こり、犯人は、自害し、被害者も確定している。
そして、全てが終わってしまったところから、被害者達の葛藤が始まっている。
その殺戮から、生き延びた5人が、集められる。一人の亡くなった女性の死の状況を、各自の当時の行動から丁寧に検証していく。
5人は、何かを隠して、何かに怯えて、なぜ、後悔しているのか。偶然、事件に巻き込まれ、被害者となってしまった為に、その時の行動の是非を自ら問いてしまう。こういう、心理を探るミステリは好きです。-
わかる。足が多すぎる系統はもちろんダメだけど、
足が無い系統が、全くダメ。
寄生虫博物館とか、失神しそう。わかる。足が多すぎる系統はもちろんダメだけど、
足が無い系統が、全くダメ。
寄生虫博物館とか、失神しそう。2023/11/13 -
2023/11/13
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2023/11/13
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巨大ショッピングモールでの無差別大量殺人事件。生き残ったものたちが「お茶会」で答え合わせをするストーリー。
犯人たちはすでに明らかになっており、全員が事件の中で自死している。この事件誰が悪いって犯人が悪いに決まっているのだけど、なぜか生き残った者の中に責められるべき者を探さずにはいられない…
呉勝浩さんは、プロットを書かないタイプの作家さんだそうで、読者も読んでいる作品がどこにいきつくのか、先行きが読めずハラハラドキドキする。
めちゃくちゃおもしろい。
舞台のモデルは埼玉県越谷のイオンレイクタウンですやね、きっと。
♫ Swan Lake/Public Image Limited(1979)
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昨年夏の文庫で、発売直後にどなたかのレビューを見て「読みたい」に入れていたが、ようやく購入。
ショッピングモール「スワン」で無差別銃撃事件が発生。
高校生のいずみは犯人と接しながらも事件を生き延びたが、同じ事件の被害者で同級生の小梢の告発によって被害者から一転、非難の的となる。
そんな彼女のもとに一通の招待状が届く。事件に巻き込まれ生き残った5人の関係者が集められた「お茶会」。その目的は、事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすることというのだが…というところから展開するお話。
冒頭から時間を区切って事件とその様々な関係者を描く文章は緊迫感を孕んでテンポも良く、一転、事件後の喧騒を引きずる中で集められた「お茶会」では、誰もが大なり小なりの嘘を吐いていることが匂わされる中でのやり取りが緊張感をもって描かれ、こちらにも惹き込まれる。
追い詰められた状況での人間の心理や行動、それに対する今となってはの後悔や開き直りなどがつぶさに描かれる、よく出来たお話で、少しずつ真実が露わにされていく後半に行くに従ってズンズンと読まされてしまった。
一方、そこまで引っ張られてきた割には最後に明かされた真実とそれに対するけりのつけ方が出来過ぎのように感じられて、私にはあまり迫ってくるものがなかったのがやや残念。
冒頭の事件が物語のお膳立てとしてしか使われなかったのも、なんだかもったいない気がした。 -
集団殺人事件の裏で何が起こったのか、生存者たちが罪の意識から何かを隠蔽しようとする中で行われる腹の探り合いがとても面白かったです。
本作は、ショッピングモール内でテロリストが、集団殺人を実行するところからお話がスタートします。
あらすじも何も見ずに、本作が面白いとの前評判だけで手に取ったため、このテロ行為がどのように終着するのかが、本作のキモかと思ったら、まさかの本編がそのテロ後から始まるとは…
本作のテーマは「サバイバーズギルト」。私も本作を通して、この単語を初めて知りましたが、災害や事件の被害者が抱える罪悪感を指す単語で、端的に言えば「こうしていれば、こうしていなければ人が死ぬことはなかったのに」という感覚のことですね。
こうしたタラレバの話って日常的にも良くあると思うのですが、人の生死に関わってくるとここまで問題が大きくなるのだなと考えさせられるとともに、立場が違うだけで見方や考え方が大きく変わるセンシティブな問題であるように感じました。 -
ストーリーの展開も注目されるところでもあるが、このさくひんの中では、報道のあり方にもふれていたり、人間の性質として善ばかりではなく、白黒どんな立場になるかわからない事が書かれていた。
読んでいて「そうだよな」と思う部分が多々あった。 -
郊外にある大型ショッピングモールで起こった無差別大量殺人事件。
その場に居合わせ、生き残った者の中から選ばれた5名の男女は、被害者の一人である資産家の高齢女性の死の経緯を明らかにするために集められる。
進行役の弁護士徳下からは破格の参加費とボーナスが支払われると説明されるが、参加者はいずれも何かしらの秘密を抱えている様子でなかなか真実は見えてこない。
主人公のいずみは特に多くの人が殺害されたスカイラウンジの生き残り。犯人から『殺す人間を選べ』と命令され、最後まで無傷で生き残った。その経緯が誤った形で世間の知るところとなり、日本中から大バッシングを浴びていた。
女性の死の真相を明らかにするという目的で集められ、それに応じ参加しているはずなのに、ある者は偽名を語り、ある者は覚えていないととぼけ、嘘をつき、なかなか真実を語ろうとしない。
序盤は事件発生時にスワンで何が起き、そこにこの人たちがどう関わっているのか、全く先が読めずどんどん引き込まれた。
『お茶会』と呼ばれるその会合を重ねるうちに、少しずつ色々な真実の欠片が見え始めてくると、先が知りたくて読むのを止められなかった。
結末は途中から『この人なんだろうな…』と予想が付いてしまって少し残念だったけれど、いずみを始め生き残った人たちの抱える心の傷についてはとても丁寧に描かれていて、そっちの物語の方が読み応えがあった。
無差別殺人の現場において他人よりも自分の身を守ることの方を優先させてしまうのは仕方のないことだと思う。その場にいなかった人たちがあとから生き残った人を非難するのはあまりに非情すぎる。
生き残った者が感じてしまうというサバイバーズギルト。『自分があの時こうしていれば』『自分があんなことをしなければ』……『あの人は殺されなかったのかもしれない』
その罪悪感を生き残った者たちは皆抱えていた。
いずみも小梢も、双海も、『お茶会』の参加者たちも。
なんて重い傷なんだろう。
それを乗り越え前を向くことはできる。でも記憶は消えない。ふとした拍子によみがえり、心を痛めつけられることだろう。本当に恐ろしい。
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初めまして、いいねありがとうございます!
スワンは今から読むリストに入っておりまして、ひーぽんさんのレビュー大変参考になり、益々楽しみになり...初めまして、いいねありがとうございます!
スワンは今から読むリストに入っておりまして、ひーぽんさんのレビュー大変参考になり、益々楽しみになりました。
ひーぽんさんの本棚がとても面白そうなものが多く、フォローさせて頂きました。
4人のお子様を見ながらの読書、尊敬します。2023/08/24
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呉勝浩『スワン』角川文庫。
この青森県出身作家には、ずっと裏切られ続けている。評判の割りには面白くない作品ばかりなのだ。余りにも裏切られるので、一時読むのを止めたのだが、この作品の前評判の高さに恐る恐る手に取った。
完璧という訳ではないが、評判通りの面白さだ。これまでの呉勝浩の作品の中ではベストではないかと思う。
埼玉県のショッピングモール『スワン』で起きた死傷者40名に迫る無差別銃撃事件。2人の犯人は使い捨ての自作拳銃を用いて、手当たり次第にショッピングモールの客を銃撃し、最後に2人とも自殺したのだ。勿論、創作による架空の事件なのだが、最近起きた元総理大臣の銃撃殺人事件でも犯人は自作の銃を用いており、こうした事件は現実に起こり得る可能性がある。
事件現場に居合わせ、犯人と対峙しながら辛くも生き延びた高校生の片岡いずみは、同じ事件の被害者で同級生の古館小梢から、いずみが保身のために人質を見捨てたことを暴露される。
事件のショックから高校にも通えなくなったいずみに5人の事件関係者を集めた『お茶会』への参加を促す招待状が届く。
次第に明らかになる事件の裏に隠されていた真相……
犯人自殺により完結したはずの事件に裏に隠されていた謎を解き明かすという意外とも言えるストーリーが面白い。メインストーリーではなく、サブストーリーの方が表になるというパターンには驚いた。
本体価格800円
★★★★★