- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041133187
作品紹介・あらすじ
昭和41年。地方の資産家楡家の当主がゴルフ中に心筋梗塞64才で逝去。親族しかいない法要が屋敷で執り行われるがそこで殺人事件が起こる。長女と孫(早死にした長男の子)がヒ素で死んだのだ。調査を進めると、殺された長女の婿養子の弁護士のポケットから、ヒ素をいれたチョコレートの紙片が発見された。
「わたしは犯人ではありません。あなたはそれを知っているはずです――。」
無実にもかかわらず「自白」して無期懲役となったその弁護士は、事件関係者と「往復書簡」を交わすことに。「毒入りチョコレート」の真犯人をめぐる推理合戦は往復書簡の中で繰り広げられ――、やがて思わぬ方向へ「真相」が導いていく――。「このミステリーがすごい!」2021年版 国内編(宝島社)と「2021年本格ミステリベスト10」国内ランキング(原書房)で堂々7位のW受賞作品。A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』をオマージュとした本格ミステリ長編。
感想・レビュー・書評
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往復書簡で多重解決の本格ミステリ、そのまんま毒入りチョコレート事件も意識してるらしいが未読。多重解決の末に一体何の話をしてるんだ、という程クルクルひっくり返してくる。タイトル通りの欺瞞発見に繋がる見つけ易い伏線もあったが、気付かなかった。読み進め易いとは言い難いが、やはり緻密で丁寧ないつもの深木章子作品。
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トリックも結末もあまり新鮮味はない。往復書簡の形式は大好物だけど、この形式なら同じ作者の『敗者の告白』が数段上。あちらと比べると、衝撃も余韻も全然物足りない。
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往復書簡のやりとりで殺人事件の真相に迫っていくストーリー。
じわじわと進んでいくから、最後は重苦しい雰囲気のまま読まされた。
最後は結構スッキリさせてくれた。 -
妻と親族の子を殺したとして四〇年を獄中で過ごした元弁護士と、妻の妹でかつての恋人が、書簡を通じて推理合戦を繰り広げると言った筋立て。妻に毒入りのカップを取らせ、弁護士のスーツに偽の証拠を仕込むことは一種の不可能犯罪で、これをどのようにしてなしうるかについて、物理トリック、想定外の容疑者、非ミステリ的な力業、意外すぎる動機と、これで短編が一本書けそうなアイデアが、次々と繰り出される。一つの謎に何通りの回答を用意できるかを競っているかのようで、これは愉しい。ひねりすぎない結末の付け方もクール。