この本を盗む者は (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.13
  • (21)
  • (26)
  • (73)
  • (28)
  • (10)
本棚登録 : 1386
感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041134115

作品紹介・あらすじ

全国に名の知れた書物の蒐集家で評論家の御倉嘉市を曽祖父に持つ深冬。父のあゆむは嘉市のコレクションが集められた巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、あゆむが怪我で入院している間に館から本が盗まれる。あゆむの代わりに御倉館を訪れていた深冬は館に残された「この本を盗む者に魔術的現実主義の旗に追われる」というメッセージを目にするが、本が盗まれた瞬間から、町はその本に侵食されるように、マジックレアリスムの世界に姿を変えていた。泥棒を捕まえない限り、世界が元に戻らないと知った深冬は、マジックレアリスムからハードボイルド、ファンタジーまで、本の世界を冒険していく。やがて彼女の日常にも変化が訪れて――。最注目の新鋭による、書物にまつわる冒険ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 本の街・読長町にある巨大な書庫「御倉館」の全ての本には“ブック・カース”という呪いがかけられていて、もし本が盗まれると町が物語の世界に変貌してしまう。
    泥棒を捕まえない限り町が元に戻らないと知った「御倉館」の管理人の娘・深冬が不思議な少女・真白とともにその世界に入り込み泥棒を探しながら様々な物語の世界を冒険していく、というお話。

    この作者さん好きなのになあ…、本作は“ブック・カース”の世界に入ってしまうと、その描写にまったくついていけず、読み進めるのがかなり辛かった。
    何度も挫けそうになりながら斜め読みも含めてようやく辿り着いた第4話からはお話も落ち着いてなんとか普通に読めるようになり、着地に向かってまあまあ盛り上がったが、それでもなんかスッキリしなかった。
    設定には惹かれるものがあったのだが、難儀するばかりで面白く読めずに残念。

  • ☆3.5

    「本の呪いから街を救い出せ!」という帯に惹かれて購入した作品。

    物語の舞台である「読長町」は「本の町」として知られており、本関連のお店が50店舗ほどもあるという本好きには堪らない!とっても魅力的な街なのですが、一度ブック・カースで物語の世界に入ってしまうと、こちらの想像力がついていかず…読み進めるのに疲れてしまう印象を受けました。
    そして主人公である高校生の深冬になかなか感情移入が出来ず…何だか消化不良のまま読了してしまいました。

    もし映像化されたら、映像を観た後にまたリベンジしたいと思います!

  • 初めての深緑野分作品
    表紙のデザイン、イラスト、かなり好みで思わず買ってしまった。
    内容はファンタジーでありミステリー
    本嫌いの高校一年生、深冬が*ブックカース*という本の呪いに立ち向かう物語。
    本の町、読長町に住んでおり、そこは多種多様の本好きで賑わう。
    絵本専門店、ブックカフェ、大手書店、古書店、しゃれた新刊書店、翻訳小説を主に扱う古書店、街に住んでいた小説家の書斎を改装した喫茶店、などなど十歩歩けば本にまつわるなにがしかの店に行き当たる街。
    なんと羨ましい、そんな街に住んでみたい!
    (私の最寄り駅前の書店が先月閉店したばかり、
    本当に悲しいのです!)

    ブックカースとは
    書物が貴重品であった紀元前のアッシリアの図書館では、(当時は粘土板)本を持ち去る者や勝手に自分の名前を刻む者対策に、後の代までのろわれろ!
    とか呪いの言葉が記されていた。
    また、印刷技術の無い中世では
    この本を持ち去る者は死ね!とか
    鍋で焼かれ、病に倒れ、首を吊られよ、アーメン
    などなど書かれていたらしい。

    現代は本屋さんは次々閉店してしまうけど、なんとか欲しい本は手に入るし、図書館もあるし、よきかな!

  • 本を蒐集する事に意味はあるのか?
    集めてどうするのか?
    何処に置いておくの?
    など、色んな人に聞かれます。
    本を集める事に意味はない、けど自分が読んだ本が本棚に自分の並べたい順番に並んでいるのに幸せを感じるだけなんです。
    そんなんで、私は家を建てる時に本棚の部屋にはとてもこだわりました。
    本作を読み、私が読んだ本を自分の子供に読ませたり、本棚に対して神経を使う事がないように生きて欲しいと思いました。

    本の町、読長町に住み書物の蒐集家を曽祖父に持つ主人公の御倉深冬

    蒐集家の祖父は御倉館という書庫を建て、今では深冬の父が管理をしている。

    そんな、本のサラブレッドのような深冬は本が嫌い?

    父が管理をしている御倉館には盗難防止のとあるシステム『ブックカース』?が仕掛けてある!!



    本嫌いの主人公による本の物語が今始まる!

  • 祝文庫化

    【書評】女子高生は「本を守る呪い」を解けるのか 『この本を盗む者は』著◎深緑野分 書評:『この本を盗む者は』著◎深緑野分 |教養|婦人公論.jp(2020年11月01日)
    https://fujinkoron.jp/articles/-/2741

    FM TOYAMA » ゆきれぽ » 『この本を盗む者は』(2020年10月28日)
    http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=9183

    深緑野分さん「この本を盗む者は」インタビュー 物語で遊んだ幼少の体験、根っこに|好書好日(2020.11.08)
    https://book.asahi.com/article/13902685

    注目の作家が描く、本の世界を舞台にした冒険ファンタジー『この本を盗む者は』深緑野分さんインタビュー | ダ・ヴィンチWeb(2021/2/16)
    https://ddnavi.com/interview/692537/a/

    呪いがかかったから、私は今、本を書いている 『この本を盗む者は』深緑野分インタビュー | インタビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/646659

    あの頃の本たち 「本」深緑 野分 |読書のいずみ |全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
    https://www.univcoop.or.jp/fresh/book/izumi/news/news_detail_570.html

    「この本を盗む者は」深緑野分 [角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322210000688/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      Naffy
      https://www.na-ffy.com

      単行本のカバー画も良かったけど、猫的には文庫の方が好み、、、
      Naffy
      https://www.na-ffy.com

      単行本のカバー画も良かったけど、猫的には文庫の方が好み、、、
      2023/06/06
  • 本の呪い「ブック・カース」
    発動された呪いを解く冒険
    呪いと一家の謎
    設定が好奇心をくすぐる。

  • 本を盗まれたら【呪い】が発動して、物語の世界を冒険しながら本を盗んだ犯人を捕まえることになる。
    斬新な設定!「物語に入り込む」という感覚を、実際にしたらこうなるのか、と。
    さて、どの物語に入り込んだら楽しいかな…

    本に呪いをかけることになった理由も明らかになるけれど、たしかに「誰かが一言告げていれば」こんな大きなことにはならなかったというものだった。
    (現実に起こる問題も、誰かの一言で防げたはずだったのに、ってことあるなぁ)

    最後、深冬が物語を書く場面。あることに気づくと「うまくやったなあ!」とため息!これは電子じゃわからないのかな?


    「ただ、続きが気になるのだ。本の続きが。あの世界のことをもっと詳しく知りたいのだ。」

  • 魔術的現実主義の旗に追われる
    固ゆで玉子に閉じ込められる
    幻想と蒸気の靄に包まれる
    寂しい街に取り残される
    真実を知る羽目になる

    本を盗むと呪いが動き始める。
    へっ? あぁ そういうことか やっとわかったよ

  • 読み手(自分)が本の世界に上手く入り込めず、終わってしまった。深冬と一緒に上手く入り込めたらすごく楽しめると思う。

  • 本の町・読長町(よむながまち)に住み、本の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬(みふゆ)。現在は彼女の父が管理する書庫・御倉館から蔵書が盗まれた!すると、町は本の呪いによって物語の世界へと変わってしまい──。

    本泥棒を捕まえなければ、町は元に戻らない!御倉館で出会った少女・真白とともに、様々な物語の世界を冒険していくファンタジー。本屋がひしめき、下町風情漂う読長町。館すべてが書庫になっている御倉館。こんな町に行ってみたいと思う丁寧な描写から、物語の世界へと変貌する落差に引き込まれる。

    雨男と晴男が登場する童話から、本が禁止されたディストピアSF、獣が出す特殊な鉱石を巡る物語など、どれも濃厚な世界観が味わえる。深冬たちはその世界に適応しつつ、本泥棒を追う!さらに、なぜこんな呪いが生まれたのかという謎も待ち受けている。本に呪いなんてない。本や言葉を呪いにする人間がいるだけなんだ。祖母・たまきの迫力は文章から嫌というほど伝わってきた。過去の盗難事件があって本を大切にしたいのはわかるけど、周りを巻き込んだ時点で呪いだよね。本を大切にするために、それを読む人を大切にしなくなったら本末転倒でしかない。

    ぼくは小説のセリフを自動的に脳内吹替して読むタイプ。声は想像できる反面、風景を思い浮かべるのが苦手。この作品はいかに物語の世界を脳内イメージできるかがポイント。落ち着きなく変わり続ける物語や世界観を思い浮かべて楽しめる人ほど面白い作品だと思う。ぼくのようなタイプでも想像力を働かせる楽しさが伝わってくる物語ではあった。アトラクションに乗り込んで駆け抜けるように読んでみてほしい。

    p.128
    「害のあるものを禁じればきれいになるけど、何が害なのかを決める人は、自由や平等までなくさないよう考えられる人なのかって意味」

    p.170
    「そんなたいそうなものじゃないよ、本は。ただ読んで、面白ければそれでいいんだ。つまらなくてもそれはそれで良い経験さ。自分が何を好み何を退屈だと感じるか知ることができるからね」

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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