くろねこカフェのおやつ 午後三時の蜂蜜トースト (角川文庫)
- KADOKAWA (2023年9月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041140079
作品紹介・あらすじ
海を臨む古民家風の「くろねこカフェ」。寡黙な男性店主の谷中景がふるまう「くろねこのおやつ」が目玉だ。それは景の妹・風花が社長を務める葬儀会社のサービスで、故人の「思い出のおやつ」を葬儀の後日、参列者にふるまうというもの。人気は上々だが、風花は葬儀会社社長としての自分に悩む毎日。そんなある日、担当していた故人から、おやつの招待状が届いて……。切なく優しいメッセージに、感涙必至の傑作誕生。
感想・レビュー・書評
-
「葬儀会社」と書いてある時点で、止めておけばよかったのに、読んでしまったのです...。
普段の私は「今、何も考えてないでしょ?」などと友人知人家族から言われるほど、どうも能天気に見えるらしい(^^;でもそんな私にも、もちろん悩みだってある。
それなりの歳になってくると、どんな人でも最後に対面する辛い現実が見えてくる。それが自分のことでなくとも、最近の身内や友のことを照らし合わせて考えだすと、病院が出てきたり、その先に繋がる話の本が気軽に読めない。自分の状況とリンクすることもあって辛すぎる。いや、本当は逆に読んだ方がいいのかもしれないけど。
亡くなった後に、この世に残された人のために作られるおやつ。とても素敵な贈り物だと思う。過ごした時間、同じ思い出を再び心に残してくれる。そしてその思い出に支えられて、この先を生きていく。いつもこの様な本を読了する度、今この瞬間を大事にしようという気持ちが強くなります。
...そんなことを言っていながら一つ残念なのが、今日ゴールデンウィーク最終日、この本最後数ページを「鶏白湯ラーメン」待ちながら読んでしまったこと...。家で読むと号泣だったかもしれないから、うん、これでよしとしよう!...なんかごめんなさい...。 -
帯の表題通り「涙で心洗われる物語」でした。涙しながら読み亡くした家内を思い出しました。
-
可愛らしいタイトルから、ほのぼのとした話を想定していたが、「生前に自分の葬儀を契約した人が、そのオプションとして実際に亡くなった後で親しい人を招待しておやつを振る舞うお茶会」という思いがけず重い設定であった。死者の思いを受け取る機会はなかなかない。幼馴染同士でお互いに想い合いながらも不慮の事故で男の子の方が亡くなり、ホワイトデーのブルーベリータルトを渡せなかった話が一番切なかった。
-
両親を早くに亡くした、葬儀屋社長の妹と、故人の思い出のおやつを出すカフェを営む兄の話。
「死」に直結する場所が舞台なので、当然ながら悲しい別れも描かれるけど、全編を通して「生きる人」に優しく寄り添っていて前向きになれるお話でした。
思った以上に短くて感情移入する前に終わってしまったのが残念。でもその分誰にでも読みやすい。続編があればぜひ読みたいです。 -
人間唯一平等に持ってるものが『命は有限』で、でも大体自分の命の灯火が消えるのはまだ先かな?って漠然と思ってて、でも命の灯火はある日突然消えるもので。伝えたい事って先延ばしは良くないと再確認。人と人の愛、絆も温かい。登場人物皆すき!
-
葬儀会社と連携しているカフェの最後のおやつということで、基本切ない話なんだけど、暖かさや優しさが心に残る内容。残された人に寄り添い、前を向くためのおやつになっているので、素敵だなと思います。
-
残された大切な人に贈る最後のおやつ。
現実的に考えて実現するには難しい部分も多いかもしれないけれど、もしそういうサービスがあるなら自分もお願いしたいなと思えるほど素敵だなと思った。
思わずグッとくる場面が何度もあった。
-
冒頭の猫ちゃんの話から、もう、涙腺が、、、
くろねこのおやつ、それに込められた想いがあたたかくて切ない。
残していく人に届けるせいいっぱいの想い。
誰であってもぐっとくるものだけど、それが小学生とあっては、よりいっそう。
航太ぁ。
最終話が、そうくるとは。
風花も一回りも二回りも成長した、、、かな?w
岩清水さんのことも気になるし、的場のことも。
これは、ぜひとも続編希望。
鶏白湯は美味しかったのだろうか…笑
鶏白湯は美味しかったのだろうか…笑