ミセス・ハリス、国会へ行く (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041141465

作品紹介・あらすじ

アラカン(60歳すぎ)の家政婦さん、国会議員に立候補!?『あんたも私も楽しく生きなきゃ』でホントに当選できるのか??何歳になっても夢をあきらめない、奇跡と勇気と愛の物語、第3弾ロンドンの家政婦ハリスおばさんは、ある晩、運転手のベイズウォーターさんらと討論番組を見て政治について熱く語る。それを思いの外にほめられ気を良くするが、翌日お得意さんで政界の大物ウィルモット卿にもたっぷり演説したら、選挙に出ないかと誘われ、あれよあれよという間に立候補することに。しかし、実は卿にはあるたくらみがあって…。『あんたも私も楽しく生きなきゃ』の標語(スローガン)で本当に当選できるのか??シリーズ第3弾。解説・君塚直隆ハリスおばさんは、ロンドンの高級住宅街に顧客を多く持つ、通いの家政婦さんである。イギリスは現在でも階級意識が強い。おばさんはそのようなイギリス階級社会でも底辺に近いところにいる、まさに「庶民」「大衆」のひとりであった。そんなハリスおばさんが『あんたも私も楽しく生きなきゃ』という選挙スローガンで国会議員選挙に打って出るという設定は、当時としても破天荒なものだったはずである。その姿は、ともすれば殺伐として他人のことなど思いやれない当時の世相に対する痛烈な皮肉になっていたのかもしれない。――君塚直隆(関東学院大学教授)解説より※本書は、1981年11月に刊行された『ハリスおばさん国会へ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化したものです。原題:MRS HARRIS MP【絶賛の声】「ミセス・ハリスはフィクションの偉大な創造物のひとつであり、彼女と知り合いだと感じるほどリアルで、本当に不思議な存在だ。彼女の魅力は尽きない」(ジュスティーヌ・ピカルディ)

感想・レビュー・書評

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  • 毎回、ハリス夫人の人柄に影響された人達によってトントン拍子で都合よく進むかと思いきや、急に現実的な困難に直面して苦しむというのがクセになるシリーズ。
    今作では、“あんたもわたしも楽しく生きなきゃ“をスローガンに、選挙活動をする。
    ハリス夫人のような人がいたら夢をみて票を入れたくなるかもしれないが、実際はやはり政治知識がないので右往左往する。単に政治家や総理大臣になりたいなどといっても、はったりでもいいから政治的弁論術を持たねばならないという現実的な話である。
    終わり方がベイズウォーター氏がハリス夫人を連れ出してくれるのだが、映画のような逃避行の始まり方でわくわくした。


    友人に好評だったため調子に乗ったハリス夫人の通い家の1つである、政界での大物・ウェルモット卿相手に演説を披露すると変なアイディアを閃かれてしまい、選挙に出馬することに。(しかし、最初から落選させる計画で、ハリス夫人の登場で票が割れて目当ての人物が当選するのを狙った)
    車内でそれら密約を交わす中、車内電話はたまたま切り忘れられており、運転手のベイズウォーターの耳に入る。(毎週木曜の夜にお茶に来るほどハリス夫人と仲良し)
    気の毒に思ったベイズウォーターは、今シリーズ過去作でハリス夫人の仲良くなった内の有力者に手紙を書いて手伝ってもらい、ハリス夫人が当選するよう企てる。p119
    ロールスロイス仲間で近辺の家を手分けしてまわり、1件15分という時間を設けてハリス夫人の布教活動を行ったり、政治的アピール無しならテレビ出演できるので主婦向けの番組に出て家政婦の仕事を見せたり(政治を少し語ってしまい反感も買う)、フランスの人気新聞内でハリス夫人をこけ下ろすことで反感を買わせ、逆にフランス野郎に負けるなよ!と結構な支持率になった。
    そして当選。
    しかし、本来は落選させるはずだったという陰謀を噂で議員らの知ることになり、そんな本来落ちるはずだった無知な家政婦の舞台にされちゃたまらないと周りは冷たくなり、ハリス夫人の当選により元々少なかった議席が2席減ったり計画が崩れたパニック等で同じ党の議員もハリス夫人には冷たい。選挙活動を手伝ってくれた人達は逃げていった。
    たまにこっそりと、応援してますよ!と声を掛けてくれる人がいるくらいで、議員とは何をすればいいのか、国会に出ても内容を理解するのに精一杯。
    選挙活動を手伝っていた(落選させるためしょぼい演説くらいしかさせようとしなかった)スマイスが帰ってきたというので話に行くと、落選させようとしていた陰謀を話され、そこからベイズウォーターの企みも推察でき、本人に問いただすと白状し、絶縁を告げる。
    家で無気力な状態でいるのを親友のバターフィルドおばさんに発見され、声をかけても反応せず1点を見つめており、これは大変だと介抱する。
    ベイズウォーターに電話で助けを求めるが、自分では無理だと断られる。
    しかし、ベイズウォーターは不思議な力に動かされ、旅支度をし、これからハリス夫人宅へ押し寄せるであろうマスコミなどを思い、ハリス夫人と共に海外へ出かける。

  • 『ハリスおばさん国会へ行く』|感想・レビュー - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/14950

    「ミセス・ハリス、国会へ行く」ポール・ギャリコ [角川文庫(海外)] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322305000722/

  • 政治に不満を持ったハリスおばさん、なんと派閥争いの陰謀に巻き込まれ、国会議員に立候補することに。そらもう最終的には惨憺たるめにあって、1作目のファンタジックさとは違う苦いレッスンとなるのだが、女王にお会いしたときの感動や、何よりラストのロマンチックさに救われる。

  • 私の中ではいつまでも「ハリスおばさん」。
    ちょっと苦いこのお話は、なぜかよく覚えていた。次はモスクワ行き、読みたいぞ。

  • 今回ばかりは、バターフィルドおばさんに賛同
    巻き込まれて細切れにならなくてよかった

    いろんな含みがあって、ハリスおばさん冒険記だけではおさまりきらない
    その時代のことがよくわかるし、ある意味怖いくらい

    それでもやっぱり
    精一杯生きて、毎週木曜の夜を楽しく過ごしてるおばさんたちがうれしい

  • ニューヨークから帰ってきたハリスおばさんが、今度はひょんなきっかけで国会議員に立候補することになり、びっくり驚きの展開でした。

    ロールスロイスの応援部隊や、テレビ出演など、ハリスさんの知らないところで話は進み、本当に国会に?

    ハリスさんの、家政婦のお仕事をしながら毎週木曜日は映画を観に行って、バターフィルドおばさんとお茶を飲みながらその日1日起きた出来事を話し合うのが1番楽しい過ごし方という暮らし方に(老後については気になるものの)、共感します。取り止めもない話が沢山できる、素敵なお友だちがいるなんて、恵まれた人生ですよね。

  • ハリスおばさんが選挙に出馬。だがその裏では陰謀があった。

    ハリスおばさんの人柄の良さで周りの人が惹きつけられて陰で周りが動いていく展開が面白かったけど、イギリス議会の実情・政治の世界はドロドロ。
    出馬スローガンのように勢いのある発言をして議会に風を吹かせてほしかったな。

    浮き沈みのある展開にちょっぴり切なさを感じたが今作も面白く、ハリスおばさんのことがやっぱり大好きだ!

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著者プロフィール

1897年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。デイリー・ニューズ社でスポーツ編集者、コラムニスト、編集長補佐として活躍。退社後、英デボンシャーのサルコムの丘で家を買い、グレートデーン犬と23匹の猫と暮らす。1941年に第二次世界大戦を題材とした『スノーグース』が世界的なベストセラーとなる。1944年にアメリカ軍の従軍記者に。その後モナコで暮らし、海釣りを愛した。生涯40冊以上の本を書いたが、そのうち4冊がミセス・ハリスの物語だった。1976年没。

「2023年 『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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