裸の王様・流亡記 (角川文庫)

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感想 : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041242223

感想・レビュー・書評

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  • ブグ友さんの本でたまたま見かけて、亡き母が開高健さんのエッセイのファンだったことをふと思い出した。まずは芥川賞受賞のこの作品からと思いお取り寄せ。
    男湯のような、武骨な文章で圧倒される。

    『裸の王様』
    昔、母の熱烈な趣味の押し付けで絵画教室に通っていたのだが今一つ面白みがなくいかなくなった。
    「ぼく」の画塾なら夢中になったと思う。コラージュは一時期流行ったのでしたことはあったのだが、フロタージュ(木や石に紙をあててうえからクレヨンでこすって木目や石の肌理をうきださせる)、デカルコマニー(紙に水彩のしみをつけ、まだぬれているうちに二つに折って左右対称の非定型模様をつくる手法)マックス・エルシストが考案、子供の抑圧の開放に役立つらしい。面白そう!フィンガーペイントも汚れを気にせずいつかやってみたい。
    「彼らが自分で解決策を発見するまでぼくは詩人になったり、童話作家になったりして彼らの日常生活のなかを歩きまわり、ときどき暗示を投げるのである」
    画塾に通う子どもたちとの触れ合いがとても美しい。憂うつなチューリップ派だった太郎くんが、「ぼく」や自然との戯れのなかで無人な邸や両親とたたかえるまでたくましく成長する様子が描かれている。
    最後のオチは評価する側の大人たちの虚栄にみちた時間でどっと疲れてしまった。

  • シリーズ
    「あのころブクログが欲しかった。ステイホーム対応、記憶頼みで昔の本をクイックレビュー」

    中高時代に読了。

    はっきり言って表題作の中身はまったく憶えていない。
    が、併禄されている「流亡記」のインパクトが忘れられない。

    古代中国の戦国の世、ささやかな城壁に囲まれた街は常に軍勢の襲撃にさらされている。その悲惨な日々は始皇帝による統一で終わりを迎えた、かのように見えたが、こんどはより強大な権力による圧政、「万里の長城」建設のための動員が始まる・・・

    始皇帝、そう、マンガ「キングダム」の英雄「秦王エイ政」のネガティブ後日談的な要素あり。

    もちろんベトナム戦争さなかの開高健の作品なので一種プロレタリア文学的な要素はあるし、著者自身も「必ずしも史実には基づかない」とはしているが、だからこそ迫りくるリアリティは否定し難い。

    「裸の王様」も読み直そうかな・・・

  • 2020年4月7日読了。第38回芥川賞受賞の表題作含む4篇を収録。この人の作品を初めて読んだが、元サントリー社員、という経歴から明るく闊達な作風を想像していたが全く予想を裏切られた、汗と垢と血が何層にも塗り固められた臭いが濃厚にむせ返ってくるような、そんな風景を筆者が傍に立って冷静に観察し続けるような、圧倒的な文章力を感じた…。表題作のテーマ、子どもの教育と大人の都合、は子どもがいる身としては他人事でない。「パニック」「流亡記」は筆者がもっとスペクタクルに関心を振っていれば結構な娯楽映画になりそうな作品だが、「週末の気だるさを予感しながらの狂騒」の描き方がすごい。いやはや世の中にはすごい文学作品というものがたくさんあるものだ。

  • 流亡記 三國志や漢楚軍談などの軍記物から外れる底辺の徴兵された農民の絶望的な生き方。独白で淡々と語る。その筆力。

  • 裸の王様、パニック、なまけもの、流亡記、収録。
    ときに変態性を帯びた生々しい書き方というか描き方というか、匂いがしてくるほどの描写が物凄く、想像力が大いに刺激されて本当に疲れる。
    流亡記なんて会話がひとつもなく、ひたすら説明というかゴリゴリの一人語りで、読んでてオエッて感じを通り越して気が狂いそうなる。

  • 物事を見抜いて言葉にするプロ。

  • 一部のみ

  • 裸の王様:
    TLが好きだと言うから読んでみた。
    抑圧された子供の生来の力を、画を用いて解放しようとする一人の絵画教室の教師の話。
    男っぽい荒削りの気配を感じさせるのに、叙述が美しい。見えてくる風景が美しい。芥川賞、納得。

    他の話はちょっと飽きた部分もあったが、叙述が整っている印象を受けないのに美しく感じた。
    好きかも。

  • 中学生の頃読んでラストで泣いた。自分と重なるところがあったので。

  • 出逢いは、高校時代に受けた模試。
    問題文に「裸の王様」が使用されていて、全文読みたくて購入。
    後に、「巨人と玩具」が読みたくて、新潮文庫の『パニック・裸の王様』も購入。

    画塾の先生「ぼく」と自我を封鎖された子ども「太郎」のお話。
    先生との交流によって少しずつ自我を解放させていく太郎。そして、太郎の解放を通して、自らの抑圧やジレンマを解消していく先生。

    読んでいくうちに、作者の純真でない善意や野心に対する怒り、表面的なステータスに対する嫌悪感や社会(組織)に対する嘲りを強く感じるが、実は、どこかでそういうものを甘受し、観念してしまう行為(個人)に対して憤っているのではないか?と勝手に思っている。

    ラストシーンでは、シニカルな部分が色濃く出てしまったため悲観的なイメージも強いが、本当は「再生する力や回復する力は、人のどこかにきちんと具わっている。だから、大丈夫。」と言ってくれているようで嬉しい。

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著者プロフィール

1930年大阪市生まれ。大阪市立大卒。58年に「裸の王様」で芥川賞受賞。60年代からしばしばヴェトナムの戦地に赴く。「輝ける闇」「夏の闇」など発表。78年「玉、砕ける」で川端康成賞受賞など、受賞多数。

「2022年 『魚心あれば 釣りエッセイ傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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