夜光虫 (角川文庫 緑 304-24)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 100
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304242

感想・レビュー・書評

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  •  類まれなる美少年。その肩の禍々しい人面瘡。 口のきけない美少女。 謎の怪人。サーカスのライオン。 座敷牢。時計台。隠された財宝。 キーワードだけを並べると江戸川乱歩かと見紛うが、本当にそうなのだ。当時の互の影響を感じさせる。それにしても横溝作品の幅の広さをまたしても確認する。  こういった作風は現代ではあり得ないのか?あってもいいのでは? 疑問を抱く。 禍々しい設定は、もちろんメジャーには成り得ないのかもしれないが、不幸な陰を抱いた美形のキャラクターなど現代でもどこか居場所があるような気もする。 懐かしい雰囲気を忘れられず、時折取り出して読んでしまう作家だが、意外と違う視点で見直せば異なる味が出てくるのかもしれない。  ちょうどこの本を読んでいる時、ラーメン屋で手にした「コブラ」の一場面。 コブラと敵がもつれ合って暖炉に転がり込み、顔が焼けて死体となるコブラ。 昔むかしのミステリでお馴染みのトリックだが、こんなところにももしや影響を与えているのか、とその暗合に驚いた。 

  • 肩に人面瘡を持つ稀代の美少年白魚鱗次郎、唖の可憐な少女琴絵、ゴリラ男、不具者の集団のひょっとこ長屋の住人、二重眼鏡の男といった奇妙な登場人物。
    花火大会の屋台船、仮面舞踏会、座敷牢、時計塔といった舞台。
    鱗次郎の花火大会や仮面舞踏会での脱走、サーカス小屋からのライオンの逃亡、モーターボートによる逃走と追跡、時計塔での真相判明など、スピーディーなストーリー展開。
    本格ミステリーというよりも、江戸川乱歩の世界を思い起こさせる冒険活劇。
    人面瘡に秘められた謎、鱗次郎と琴絵のつながり、ゴリラ男の正体、琴絵が気づいたある事柄など、謎解きの要素もあるが、あやかしの物語、草双紙の世界を楽しむべき作品。

  • 普通に面白かったです。

    身体障害者を肩輪者っていう表現がちょっと気になったけど、時代が時代だからねしょうがない。

    読んでてだいたい筋が読めてきちゃうし、真相も当てやすい。
    でも、ところどころ残酷なシーンがあって、やっぱり横溝調なのがホラーっぽくていい。

  • 横溝の由利先生もの。
    でもあんまり由利先生活躍しない。

    人面瘡をもつ美少年と、声を失った美少女、毛むくじゃらの傴僂男、関羽髭の二重眼鏡、サーカスから脱走したライオンと…乱歩的な怪奇耽美の世界ですな。
    連載ものらしくわりと展開は場当たり的にも感じられるけど、そこもまたよし。

  • 由利せんせいもので自分内ベスト3には確実にはいるなっていう、すきな、話。
    せんせいはむやみにかっこいいのにやることときどき天然ですてき。

  • 由利麟太郎&三津木俊助
    人面痕&美少年

  • 由利麟太郎&三津木俊助シリーズ 

     脱獄した美少年。脱走したライオン・ネロ。言葉を失った少女。
    少年の父親の犯した殺人事件と事件の真相を握る叔父。新たな殺人事件。


    209年2月2日購入

    2009年2月7日初読。

  • 由利先生の宝探し。

  • この由利先生シリーズは、金田一耕助的な田舎を歩きまわって後手後手にまわる様な泥臭さは微塵もない。人面瘡のある美少年、唖の美少女の出てくる幻想的なミステリ。横溝正史もこういうものがかけるんだと感心した

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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