おちくぼ姫 (角川文庫 た 5-23)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041314234

作品紹介・あらすじ

貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 今から千年も昔、平安朝時代の日本にあった『落窪物語』というお話を現代語に訳された、田辺流シンデレラ物語です。
    みすぼらしい部屋で、つぎはぎだらけの着物を着て、せっせと縫い物をしている若い美しい娘。
    その娘は、床が一段落ちくぼんでいるところに住んでいるので、「おちくぼの君」と呼ばれていました。

    物語の中で、この時代の結婚形式をわかりやすく説明してくれているので、古典初心者にも安心して読めます。

    意地悪な継母の目を盗んで、姫君と少将との恋を応援するお付きの人たちの活躍ぶりが、はらはらどきどきで時にはドタバタで、登場人物たちがみな生き生きと魅力的で、平安時代の恋物語が、想像以上にロマンティックで、ほんとうに面白かったです。

  • 正直に言えば人気てぬぐい店「かまわぬ」とのコラボ和柄Specialカバーというだけで積読となっていた一冊です(かまわぬコラボを集めてみようと思った時期がありました)。

    無知故に本書の存在すら知りませんでしたが、いやぁ〜これが面白い。

    本書を含め、3冊同時に読み始めましたが、本書を真っ先に読み終えた事実。

    原文は平安時代に書かれた「落窪物語」、読みやすくする為に現代語訳されたのが本書「おちくぼ姫」。

    千年間語り継がれてきた日本版の「シンデレラ」物語。



    説明
    内容紹介
    貴族のお姫さまなのに意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられている、おちくぼ姫と青年貴公子のラブ・ストーリー。千年も昔の日本で書かれた、王朝版シンデレラ物語。
    内容(「BOOK」データベースより)
    貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、床が一段低く落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らしている姫君―といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた王朝版「シンデレラ物語」です。若い読者のために現代語訳された、とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

  • とっても読みやすくて面白かったです。
    ハッピーエンドになることが分かっているからか、安心して読めました。
    まあとにかく少将さまが素敵なんですけど、結構この人執念深いというか、ねちっこいというか(笑)そのおかげでスカッとするし、読みながら「少将!もっとやったれ!」って激を飛ばしていました。

    虐げられている姫君のお付である阿漕がパワフルで頼もしいし、そんな阿漕に尻に敷かれている帯刀もいい味出しているしで、姫君は可哀想な境遇だけどどこか面白みを感じる、そんなお話でした。

  • 正に和製『シンデレラ』
    千年前にトレンディードラマがあったら、こんな感じなのかな(笑)
    悪役も良い役も脇役も、現代のドラマや小説の見本になるようなキャラばかり。
    古典も読みやすくなるとこんなに面白いんだ!

  • 日本版、シンデレラ物語。田辺聖子さんが、落窪物語の中で、特に、面白い部分を抜き取って、わかりやすく物語に仕上げています。

    なんといっても、不幸なお姫様の侍女、阿漕の活躍につきると思います。とても賢く立ち回る姿に、ほれぼれしました。

    会話が多く、短いお話なので、すぐに読めます。お話の途中でも、平安時代のしきたりや、風俗などをわかりやすく、ストーリーの邪魔にならないように説明されているので、それが、とても良かったです。

    不幸なお姫様が、周りの人達の協力で、幸せになっていく。話のあらすじが、あらかじめ、わかっているので、安心して読めます。

  • 田辺聖子さんの最初の語りに惹かれて購入。
    古典文学の類のものを自ら手に取ったのは初めてだったけれど、「若い読者のために現代語訳」されているので、とても読みやすかった。テンポ感やコミカルな流れに引き込まれ、と同時に昔の人々の今とは違う習慣も垣間見れて凄く面白い作品だった。次は原典も読んでみたいと思った。

    「人間のよろこびやかなしみ、恋やにくしみなどは、時代がかわっても、おんなじなんだよ」

  • 本のうらすじにも表現されている通り、王朝版(日本版とも言えそうです)シンデレラのような物語です。
    原作となっている落窪物語を分かりやすく要約されています。昔の物語だと表現などが現代と違い、分かりにくいものが多いです。しかしこの本ではロマンティック・コネ・ルートといった現在使われている言葉で表現されています。また、登場人物の会話も今と大きな差異はなく、古典は苦手だけど物語を読んでみたいと思う方には読みやすいと思います。

    内容としては、「おちくぼの君」と呼ばれ両親や姉妹に虐められていた姫と高い身分である右近の少将の恋物語です。
    読んでいると阿漕と呼ばれる侍女の活躍が目立ちます。姫の事を思って行動を起こしていく阿漕が力強く思えました。誰かを思って行動に移せる姿が美しいとも思います。

    読み終わってから、原作の落窪物語にも興味が持てると思います。古典に触れるきっかけを持ちたい際には、読んでみるのもありだと思います。

  • 古典や歴史小説的なのは殆んど読まないのだけれど田辺聖子さんの本だしきっと面白いだろうと思い読んでみた。

    分かりやすく訳してくれているし、馴染みの無い漢字には何度もルビ振ってくれてるから凄く読みやすく、そして面白かった。

  • 最高。良かった。

    聖子さんの本初めて読んだけど好きやわー
    言葉が美しくスーッと入ってくる。
    出逢えて良かった。

    レジ担当してくれた店員さんありがとうございました。
    本の愛を語り合える友人がいなくて寂しいので、また、ブックトークできたら良いな。

    買う決め手をいただき、チンチャゴマスミダ

    (文庫本情報:https://www.amazon.co.jp/dp/4041314232?th=1&psc=1&linkCode=ll1&tag=honnoakari-22&linkId=44852e0ca1eb9fca2aafd5dbaf341521&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

  • 王朝版シンデレラ物語、なるほど!
    源氏物語には魅力を感じないけれど、同じ時代のこの物語、現代訳がしっくりきた。と言っても、30年前以上だが、著者の力量、あとがきを読むとさらに好感度は高まる。

    おちくぼ物語4章の中の1章とのこと。
    他章は面白くないと著者は言っているが、翻訳されているので、時間をおいて読んでみようと思う。
    著者訳の平安物も他にもいろいろある、是非読んでみたい。

  • ただ訳されているわけではなく、途中で独特の用語や当時の習わしについて解説が入るので読みやすかったし、親しみを持って読めた。原文を読んでみたくなった。
    受験勉強のときに知っていればなー。

  • 2023年「発掘部門」という事で手に取りました。
    日本の古典が苦手なので「◯◯の君」や「大将」「少将」などの文字、登場人物や名前がこんがらがって最初はなかなか進みませんでしたが、あまり細い事は気にせずテンポを大事に読み進めていったら、この先どうなるのだろう…!?と楽しく読めるようになりました。最後はさすが日本らしい結末だなぁと。これがヨーロッパだったら…と日本の素晴しい文化も感じました。

  • 面白かった!平安時代のシンデレラ物語。
    少女漫画を読んでいるようなトキメキ、爽快感。

  • 溜飲を下げるスカッと痛快なお話。なんか大岡越前や水戸黄門的な、してやったり感あり。いけすかない北の方の鼻を明かしてやったゼ。あからさまが過ぎるけど、知恵を使うことや聡明であることの大切さを学んだ。

  • 登場人物みんな好きだなー

  • なんだかんだで読む機会がなかったのですが、やっと。

    本文は古典をものすごく読みやすく落とし込んであって、本当に寓話のように仕立ててあります。
    不遇の状態にあるお姫様「おちくぼ姫」に健気に仕える阿漕が本当にいいキャラクターで、こっちが主役かなと思えるくらい。

    右近の少将とおちくぼ姫、帯刀と阿漕、少将の従弟と四の姫。
    試練に遭いながらも愛を貫くカップルの姿を、どたばた劇を交えながらコミカルに・・というのが、シェイクスピア喜劇に似ているな、とふと思いました。
    『から騒ぎ』とか、似ているのでは。
    (脇役のほうがいいキャラなところも含めて笑)

    グリム童話のようにきれいにまとまっていて、わかりやすく、読みやすく、なのに世界観には広がりがあって。
    楽しい作品でした。

  • 私の読んだのは1979年に書かれたもので可愛いおちくぼ姫の絵が描かれた表紙でした。
    お裁縫が上手で、センスも良く、控えめで、上品で、心優しい…

    これ以上ない程の素敵な女性が、継母に監禁され酷使される。

    でも、この物語はそんな境遇の姫が、
    出自も良く、将来を嘱望され、経済的にも豊かな上に、イケメン、モテモテ男性…と、これまた言うことなしの素晴らしい男性に、偏見なく大事に扱われ、優しく
    深く一途に愛され、幸せになる
    純愛小説でした。

    余りにも出来過ぎたお話なのに千年もの長い間愛されて残っているのは、どうしてでしょうか。
    いつの世も、
    男性はこうであって欲しい
    こんな男性に深く一途に愛されたい
    と言う
    切なる女性の望みは、変わらず同じだと言うことではないでしょうか。。
    執念深さの無い、心の美しい姫だったからこそのハッピーエンドだったとも思います。

    因みに、
    この田辺さんのご本は、4巻ある内の3巻の始めまでのお話を、彼女なりに纏められてるそうです。
    田辺さん曰く、4巻は面白く無いとの事でそうされたそうです。

  • 2023年発掘部門「超発掘本!」
    平安朝時代のシンデレラストーリー「落窪物語」

    田辺聖子さん解釈で読みやすく楽しく読めた。
    登場人物が魅力的に描かれてい、好感が持てることも、入り込みやすく本書が好きになる理由に感じた。

  • 角川文庫の装丁に惹かれて読んでみました。
    古典では源氏物語が数多くの作家さんがアレンジしていますが、この落窪姫は一冊完結で読みやすかったです。田辺聖子さんが冒頭に書かれているように平安時代のシンデレラストーリーでした。

  • 平安朝時代の日本のシンデレラ。
    数々の嫌がらせを乗り越える愛、手助けする脇役、そして一途を貫く清らかさ。
    子どもたちにも文句なくオススメ出来る物語でした。

    資親の漢気溢れる場面が、個人的に特にお気に入りです。

  • ジェットコースターのように進んで面白かった!!
    田辺節にブラボー!!
    登場人物たちのキャラがたっている。
    おちくぼ姫は北のかたにあんなにされたのに、夫の言うとおりすぐ忘れてしまうんだから、気立てがよいというか、清らかというか菩薩みたいだというか、周りがちょっとやり過ぎていても姫の言葉を


    否定せずにきちんと収めるところは収めるのだから、やはり見いだすほどの能力がある人たちはその辺も違うのだろう。
    あとがきにもかかれていたけれど、二人の純愛が軸になっているからこそ、羨ましいと思いつつも丸で自分が愛されているかのように幸福に思えてくるのだ。しかも心から二人を応援したくなるし、途中までは少将が心変わりしないかちょっとはらはらしていたりもする。
    四の君と資親の直接の出会いのところもはらはらしたけれど、四の君が北の方に似ず純愛を追い求め、しかも中身を見る目を持っていたことが幸いだった。顔を合わせるシーンはすごくドキドキした。
    北の方はどうしてああも意地が悪いのかと思うけれど、ディズニーの悪役の物語のように映画一本できてしまいそうなものを感じるし(笑)、ラストなんかは春の野に吊るされて永年出られず地獄を見てるフリーザ様を思い起こしもしたので、本当、素晴らしいキャラだちだと思う。

    この後のストーリーはつまらなくなってしまうとのことだが、むしろ少し気になる。
    でも、田辺さんの痛快な訳(典薬の助の下心丸出しの爺いぶりとか、阿漕の颯爽とした遣り手振りとか)あっての今回の楽しみだと思うので、そのうちさらっとその先の行方が知れるといいなとは思う。

    ちなみに、この訳が出版されたのが私の生まれる前だということに驚いた。
    スマホも携帯もない時代の訳でも、面白いものと感じる現代人のセンスは変わらないのだと思った。
    スケベ爺いのシーンとか、馬面笑うとことか、牛車争いのシーンとか、多少やりすぎな感じがしておいおいと思いはしたけれど、時代遅れと思うような言葉選びがなされていなかったのがすごい。

  • 読みやすい本、ずっと手元に置いておきたい。
    シンデレラ好きだからこの本も当然好きになったし、平安時代ってこんな感じなんだ、と知れて嬉しい。
    私も大学卒業の袴の色を、この本参考にして選ぼうかしら、、。
    昔の人も今の人も、悩む事柄は対して変わらない
    というフレーズが気に入った。

  • 素直におもしろかった!
    1000年前の物語とはいえ、人間なんてのは早々変わらないのだなあ。

    変に外連味などなく、ハラハラドキドキの展開もありつつ、ご都合主義のように救いの手が現れる。
    勧善懲悪というほど悪を懲らしめすぎないところも、良き。

    ひどいことをされても恨むことなく、おっとりと善意だけで生きてきた姫君。
    そりゃあ辛いことも心細いこともたくさんある。
    何しろ継母にいじめられ、実の父の興味は薄すぎて見えないのだから。

    だからこそ、乳兄弟の阿漕(あこぎ)の八面六臂の活躍が頼もしい。
    長靴をはいた猫のように先を見据え、姫のために奔走する。
    これも、阿漕自身が日ごろから気働きがよくできるため、周りの人たちが協力してくれるからだ。

    姫を救い出し、重婚当たり前のその時代に、ただ一人の妻として姫を愛する少将が、結婚後継母にいろいろ仕返しする様が面白い。
    姫は全然恨んでいないのに、夫の方は恨みを忘れていないのだ。
    そして継母の方は身に覚えのない嫌がらせを少々から受け、怒りのあまりやり返そうとしてはもっとひどい目に遭う。

    ごてごてしくない簡潔な描写で、ポンポンとテンポよく進むさまは、さながら1000年前のライトノベルでしょうか。
    グリム童話みたいに残酷でないところも読みやすくていい。

  • 王朝版シンデレラだそうで
    確かに継母にめっちゃイジメられる〜。

    遊び人の貴公子が不幸な境遇の姫君に惚れて
    一途になるのはド定番って感じですが
    姫君のお付き女房と貴公子の従者の青年が
    ふたりを結びつけるべく奮闘するのは
    なかなかおもしろかったです。
    この女房の阿漕が、私好みの娘で♪
    継母相手にも策を弄したりして大活躍。

    あとがきによると、おせいさん
    かなり脚色したらしいですが
    古典を手に取りやすくしてくれて
    ありがたいことです。

  •  平安時代に書かれた古典文学「落窪物語」の、田辺聖子さんによる現代語訳版。原作のシンプルな話の展開と田辺さんの軽い語り口で、カラッと明るく、読んでいて面白い。「日本にもシンデレラ物語がありました、それが落窪物語です」とシンデレラと比較されているが、粗筋はまさにそんな感じ。つまり、継子虐めとそこからの脱出、復讐。
     結末では継母がなんとなく憎めない人物として描かれ、落窪姫が過去に受けた仕打ちを許したこともあり結局は和解するのだが、自分にはやや唐突に感じた。右近の少将による嫌がらせの意趣返しはあったが、これでおあいこという感じで最後は丸く収めてしまうのが、日本らしい?(グリム童話のシンデレラなら、継母は鳥に眼を潰されてしまうところなので)

  • なんてかわいらしい文章なんでしょう。
    そしてやはり、田辺さんの文章は下品なことをかいてもどこか品がある。
    それはすごいことだと思う。

  • とっても面白かった。
    田辺さんが現代風にアレンジしているため、とても入り込みやすくなっており、もっともっと古典文学に触れてみたいと思った。

  • すごく読みやすい本。
    田辺聖子の翻訳で読むと古典も身近に感じる。
    千年昔の人々の暮らしぶりも興味が持てる。

  • 古文もこんな風に読めれば楽しいのだろうなとなった。今も昔もこういうお話ができ続けるのは変わらんのだなと思った。

  • 読みやすくてとても面白かったです。
    日本人こういうのやっぱり好きだと思います。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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