悪魔の飽食 (第3部) (角川文庫 (6110))

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041365731

感想・レビュー・書評

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  • (2006.12.06読了)(2006.09.18購入)
    「悪魔の飽食」は、日本での731部隊の関係者の取材によって書かれた。「続・悪魔の飽食」は、主にアメリカでの取材によって書かれた。「悪魔の飽食・第三部」は、中国での取材によって書かれた。正と続を読んだら第三部も読まないと落ち着かないので、読むこととしました。
    中国の取材は、1982年9月15日―30日で2週間ほどです。

    ●米国製細菌爆弾(22頁)
    北京の、「中国人民革命軍事博物館」に米軍が朝鮮戦争で投下した細菌爆弾が展示されている。日本の731部隊からの情報に基づいて作られたと言われている。
    ●731部隊(58頁)
    「731部隊は平房区に住んでいた人たちを強制的に移転させ、そのあとに細菌製造工場を建設しました。731部隊はそこでいろいろな動物を使って細菌戦の実験を行いました。動物だけでなく、中国人の人体を使って各種の実験を行いました。日本軍は残酷な実験によってたくさんの中国人を殺しました」
    「1945年8月15日に日本軍が降伏する直前、彼らは犯罪行為の証拠である工場施設を爆破しました。中心の施設からたくさんの動物が逃げ出しました。細菌に汚染された動物が多数逃げたために、終戦後非常な勢いでペストが流行しました。」
    ●愛国心(60頁)
    どこの国民にも愛国心はある。国の独立と自由がない限り個人の人格や自由も認められない。だが度を越した愛国心は、自国以外の国を、自国を支え富ませる“素材”とみなし、自国さえよければ他国はどうなってもよいという独善に陥らせる。
    ●反戦的日本人(127頁)
    731部隊の中にも中国人に親切だった日本人もいたのではないかと言う質問に対する答え。
    「そのような人たちもいましたが、階級章を剥がされ、手錠をかけられた上に、マントを着せられ、車に載せられてどこかへ連れて行かれました。」
    ●「続・悪魔の飽食」写真誤用問題(265頁)
    旧版「続・悪魔の飽食」に使用されたグラビア写真35枚中20枚が731部隊と全く無関係の写真であった。
    光文社から出した「悪魔の飽食」を読んだ竹内と言う人からA氏を紹介され、A氏と会ったら、石井四郎の直筆の手紙、日記、家族との写真と同時に、問題になった写真も示された。
    石井四郎関係の資料と一緒に示されたので、真実性が強いものと判断し提供をお願いした。
    ●戦争犯罪(279頁)
    日本だけが犯したことではない、戦争になれば世界のどの国でも犯すことだと言う言い抜けは許されない。そのような言い逃れは犯罪の正当化によく使われる手である。加害者(侵略者)に反省がない限り戦争の悲劇は繰り返される。自分の国と国民が世界の中で最も優れていると言う独善的かつ時代錯誤的な愛国主義は、結局世界からその国を孤立させ、その国を滅亡に導く。

    作家 森村 誠一
    1933年 熊谷市生まれ
    青山学院大学卒業
    ホテルマン生活10年
    1969年『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞受賞

    ☆関連図書(既読)
    「新版 悪魔の飽食」森村誠一著、角川文庫、1983.06.10
    「新版 続・悪魔の飽食」森村誠一著、角川文庫、1983.08.10
    「731部隊」常石敬一著、講談社現代新書、1995.07.20
    「南京への道」本多勝一著、朝日新聞社、1987.01.20
    「南京の真実」ジョン・ラーベ著・平野卿子訳、講談社、1997.10.09
    「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20

    内容紹介(amazon)
    一九八二年九月、著者は戦後三十七年にして初めて“悪魔の部隊”の痕跡を辿った…。第一・二部が加害者の証言の上に成されたのに対し、本書は現地取材に基づく被害者側からの告発の書である。

  • 遠い昔、自宅にあったので手にとった。驚愕した記憶はない。知りえたことは731部隊が満州に存在したということ。記憶がうら覚えなのでwikiで「悪魔の飽食」を読んでみた。
    人間を遠心分離器にかける・・・そんな事項あったのかな?かなり衝撃的な事なのに覚えていない。
    注射針で体液を吸い出してミイラにする・・・これも記憶にない。
    真空室にほうり込み、内臓が口、肛門、耳、目などからはみ出し破れる様子を記録映画に撮る。・・・うーん これも覚えがない。

    捏造もあったのか絶版になり、写真も削除されて新たに出版された角川書店のを読んだもよう。
    記憶が鮮明なのは、食事が朝食といえども当時としては、贅沢で朝から豚肉がたっぷり入った味噌汁(私自身は嫌いだが)などの説明、丸太と称されていた実験対象の人達。中にロシア人女性もいたとか、細々した日常描写が頭に残っている。
    実験で頭にこびり付いてるのは、氷点下マイナス20度以下の外気に人間の手を出させて、どう凍結していくかの経過を観察するというくだりであった。
    いずれにせよ、戦争によって捕虜になることはおぞましい体験、もしくは死も覚悟しなくてはならないということ。有事があれば、やれ戦争だと声高に叫ぶのは簡単だが、戦争の悲惨さは何も戦場で戦って死ねるばかりではないことを学べる。疑わしき部分がかなりにあるにしろ、日本に限ったことではない。表面に出るか否かだけで、戦争の裏側は残酷で凝視できない事象の数々に溢れてることを忘れてはならない。

  • 戦争という狂気が生んだもの、それは悪魔。
    日本人の真実。

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著者プロフィール

一九三三年、埼玉県熊谷市に生まれる。五八年、青山学院大学英米文学科卒業。ホテル・ニューオータニに勤務し、六七年退社。六九年『高層の死角』で江戸川乱歩賞、七三年『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞、七六年『人間の証明』で角川小説賞、二〇〇三年に日本ミステリー文学大賞、〇八年『小説道場』で加藤郁乎賞、一一年『悪道』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『運命の花びら』『棟居刑事のガラスの密室』『棟居刑事の黙示録』『戦友たちの祭典』など多数。公式ホームページのアドレスは、http://www.morimuraseiichi.com/

「2018年 『棟居刑事の追跡 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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