- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041417010
感想・レビュー・書評
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昭和44年の作品ということだったが、展開が始まってからは(最初の主人公がどういう少年かというくだりがやや長い)どんどん話が繰り出されていき、面白く読めた。ただ、女は家事、男は稼ぎみたいな昔のテンプレート的な設定や会話は多く、そのあたりを今の子がどう受け止めるかは不明。
五人兄弟(!)の下から二番目、小六の秀一は名前はりっぱだが、成績などイマイチ振るわず、兄弟姉妹の中でいつも駄目だと母親に言われ続けている。他の兄弟は皆、良くできる。
あまりにも怒られるので、夏休みに家出を試みる秀一。もちろん計画性もなにもない(アホなので)。このへんまでは読んでいてもあまり楽しくない。
しかし、飛び乗ったトラックがなんと交通事故を起こして、秀一は密やかな目撃者となり…。
つばさ文庫になっているのが、どの程度手を入れたのか気になる。挿絵だけでも、少し昔の感じだせばかなり読みやすいかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夏休みのある日、小学校六年生の秀一が突然家出をした。その波紋は、静かに深く広がって激しく家庭をゆさぶった。家出先で出くわしたさまざまな出来事−−−ひきにげ殺人事件の目撃、武田信玄の隠し財宝の秘密、発行の少女夏代との出会いなど−−−が微妙に絡みあって、教育ママの母親や優等生の兄妹の重圧から彼を解放する。
家庭が持つ強さともろさの二面性を児童文学の中にみごとに描き、読み物としても抜群におもしろい話題作。
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夏代のキャラクター、特に最後の祖父との会話がグー。
過去ではなく今が大事(リアル)という夏代のセリフがいい。さすが山中恒、子どもにこういうことを言わせてしまうところがとてもいい。模範的な児童文学にはなかなかできない芸当である。ジェネレーションギャップがテーマ。上記の部分にもつながっている。子どもが自分たちの今を主張。その意味では「ノーライフキング」とも通じるところがある。
活き活きとしたストーリー・文体。秀一が手紙を盗まれたことを知り吐くところがよい。 -
親と子達の物語。
母親を嫌うようになった子供たちの様子が描かれいるけどこんな小学生いるか?と思ったが境遇によってはいるのかもしれない。作者が子供の時に体験した事を文章にしたらこうなるのか...言葉が大人ぽっくて小学生に思えなかったが、作品の時代背景や戦国時代についてふれている関係なのかな。
家出をモチーフに親と子の関係をうまく物語りに取り込んでいました。さすが児童文学の最高傑作で考えさせられました。そして正直に面白かったです。 -
なんとなく手にとって読んでみたら、主人公は小6の男子。
ちょっと反抗期。
うるさい母親。
なんとも自分の境遇に似ている・・・。
読めば読むほど、母親が鬱陶しい。
私が読み終わった後、小6の息子が読み始めたので、
「この母親、ママとかぶる?」と聞いてみたら、やはり「すごーくかぶる」とのことで。
普段の自分を大いに反省するきっかけとなった良い1冊でした。
すごく前の作品とは思えない今読んで共感できる本でした。 -
最初は文章が古臭いし、主人公の魅力ゼロで読むのをやめようかと思ったほど。でも、公園で寝ていた男のトラックの荷台に潜り込んで家出してから急に物語が生き生きと動き出した。殺人事件、世話になった家の秘密、武田信玄の財宝と、結局最後まで読んでしまった(笑)
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小学6年の息子が読んで、よかったよというので、借りて読んだ。
この本で言っていることの趣旨は、よく分かる。
一人ひとりの人生がある、そして、にも関わらず、大人はときどき自分の勝手で何かを押しつける。
こういう永遠に思えるテーマの他に、時代背景も感じた。
戦争を経験した夏代のおじいさん。そのときは、日本が混乱していたから、心の傷を負った人もたくさんいただろう、そして、その傷はずーっと抱えたままのことが多かっただろう。
学生運動。大人の不正に立ち向かおうという機運の中で、それぞれの思いがあったようだ。
作者の山中 亘さんは、「あばれはっちゃく」も書いたそうだ。
子供のころ、テレビでやっているのを見ていた気がする。 -
小学生の時に読んだ。名作。
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子供にどうぞ。家出助長かもだが。