“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫 226-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041595107

感想・レビュー・書評

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  • 学園ミステリーなのかな? 
    ラノベにしてはライトでは無いな。 
    ある事故をきっかけに寝たきりになった少年が主人公 
    こういう状況なので、ほぼモノローグで物語がすすみます。 
    事故のきっかけを作ったのははたして彼女”菜々子”なのか? 
    案外、物語に入り込んじゃったので良しとします(笑)
    ちょっと背伸びをしたい小中学生向き。

  • デビュー作らしくミステリ趣向がこってり凝ってる。不良グループにいじめられるぼっち気質の真面目な僕と、頭とルックスは良いが性格は曲者のヒロインという組合せは、ぼっち学園ものの王道。ただ普通と違うのは、舞台が小学生なことと、被害者兼探偵の僕が全身麻痺なこと。やな奴代表のNを含めて、いかにもありそうな子どもカーストがダークぎみだけど、3年後に蒸し返された複雑な事件設定は、ミステリファンならチャレンジしたくなる。被害者なのか犯人なのか、自称陰険な菜々子さんに導かれた真相は、枠組みレベルの意外性もあるし、なにより動機がピュア&スイートなのが気に入った。マニア度高いが良作。

  • 極限なまでの閉鎖空間ミステリ
     病室で全く動かない僕に対し、クラスメイトだった菜々子さんは事件について独白を始めます。この特殊な環境下でのみ成立する心理戦、恐怖感の演出がよく出来ています。プロットの巧さとクセのある文体が相まって、ありがちな展開から先の読めない展開へ。回想シーンが冗長気味なのが難ですが、ライトノベル系ミステリとしては頭ひとつ抜けていると思いました。
     本文中では明らかにされなかった菜々子さんの謎が気になるところです。

  • ラノベ要素は少し既視感があるが、ロジックは相当に気合いが入っており、小説としての落としどころも好みど真ん中。

  •  好意を寄せる男の子をものにするために陰謀を張り巡らしたり、虐めた男の子に仕返ししようとしたりするヒロイン。そして主人公は現在寝たきりというのも衝撃的。

     非ウィルス型嗜眠型脳炎により引き起こされる全身痙攣で指一本動かせず、瞬きすらもできない身体となった坪手明の病床を、今では習志野菜々子という仮名で呼ばれる少女が訪れる。それは、三年前、彼らが小学六年生だったあの事故から、平日は欠かされる事なく続けられてきた儀式だった。
     その儀式が途切れた金曜日の翌月曜日。菜々子さんは突然、あの事故の出来事を蒸し返し始める。彼女が氏名連想誘発性心神喪失症候群と名付けられた、自分の本名を呼ばれると発作を起こす病気となった出来事が、誰かの故意で引き起こされた事件だったというのだ。
     それをきっかけに、考えることしかできない坪手明は当時の出来事を思い起こす。自分と菜々子さん、そしてもう一人のNに起こった出来事を。

     現在の二人の病室での出来事と、三年前の出来事を、交互に描写しながら、主人公の思考の軌跡をたどっていく形式の作品。そして最後に、菜々子さんの思考で真相が明かされる。主人公は現在全く意思表示ができないのだが、菜々子さんの一方的な語りと彼の思考が、まるで会話が成立しているように作り上げられている。
     そして、三年前の回想では、主人公の思考方法と、菜々子さんの性格や行動が段階的に明らかにされ、それに基づいて事件が解き明かされていく。ラプラスの悪魔という、初期条件を適切に与えることで全ての未来を自在に操る仮想の悪魔の存在のように、前提が変わるたびに主人公の頭の中で仮説がコロコロと変わっていくのが面白い。そしてそこには、事態を全て掌握しようという菜々子さんの思惑も見え隠れする。

     意図したことかどうかは分からないけれど、本当に小学生が背伸びをした表現を使ったように感じる文章のところもあったりして、ちょっと戸惑う表現のところもある気がする。だけど、ほとんど二人の登場人物だけで、互いに会話を成立させず、しかし意思疎通は出来ているように組みあがっているという、少し不思議な感じは面白いと思う。

  • 予測できそうで予測できない展開でぐいぐいひっぱられる。あと菜々子さんが陰険かわいい。そして瀬戸くんが意外といい奴なので次巻が出るならばぜひ活躍の場を

  • なんか・・・不思議な感じだった。小学生の特性?が良く表されてたのがスゲェーと思いました。
    完結したっぽかったけど、続くのかな?続くなら読みたいです。なんか気になる。

  • 評価が難しいです。でも面白かったのは事実。

    最初くどいんですけどw
    だんだんと登場人物の内面が分かってきて
    それに伴って過去何が起こったのか
    今、なにが起きているのかが判明してくると
    読み進めやすくなります。

    それにしても菜々子さんは可愛いし、動機もわかるんだけど、手段がこえぇw
    あと主人公がちょっと自分には合わなかった。

    階段のシーンは良かったなぁ。

著者プロフィール

第13回学園小説大賞にて「なしのすべて」で優秀賞を受賞。2010年『“菜々子さん”の戯曲』でデビュー。同作は「このライトノベルがすごい! 2012年」で53位にランクインするなど、注目を集める。他の著作に、『演奏しない軽音部と4枚のCD』『お口直しには、甘い謎を』『針町あかねは壁がある カメラ小僧と暗室探偵』『のど自慢殺人事件』『僕と彼女の嘘つきなアルバム』などがある。

「2020年 『さよならが言えるその日まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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