美濃路殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041607404

作品紹介・あらすじ

愛知県犬山市の明治村で死体が発見された。残されたバッグには、本人とは違う血液に染まった回数券が。数日前の宝石商失踪事件の報道から被害者に見覚えがあった浅見は、取材先の美濃から現場に赴く。

感想・レビュー・書評

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  • 飛ばし読みが出来ないおはなしです。

  • 作家によるあとがきがよい

  • 【概略】
     愛知県犬山市の明治村で中年男性の死体が発見された。時を同じくして岐阜県美濃市にて和紙の取材をしていた浅見光彦は、この中年男性の死体が発見されたニュースを見て、その人物の記憶を甦らせる。その人物は、東京で起きた宝石商失踪事件の画面に映し出されていたのだ。東京と愛知、そして登場人物達を結ぶ鍵は、40年前の疎開にあった。

    2022年01月19日 読了
    【書評】
     実は一番好きな探偵(彼を「探偵」と括ってよいのかは不明だけども)は、浅見光彦なのだよねぇ。そして旅情と言えば、浅見光彦だよねぇ。・・・今年は少し日本各地の有名な土地にまつわる事柄を知識として仕入れたくて、少しでもフックを多く作りたくて、積極的に浅見光彦シリーズを読んでいこうと(読み直していこうと)思った次第。
     地元である愛知県が舞台のこの殺人事件、ネタバレをしないように書評を書かねば。内田康夫さんは最初からプロットやトリックをキッチリ作らずに連載の中で構築していく・・・なんてことを聞いたことがあるけれど、それが本当だとしたら、凄いなぁと毎回思う。今回も犯人が確定したところで、定例のパターンとして浅見光彦がその犯人になんらかの決断を促す流れがあるのだけれども、40年前のナニカと今、現在進行形で進んでいる部分を絶妙につなぐのだよねぇ。抒情的。大いなる正義、大いなる悪ではなく、それぞれに色々な「事情」があるという部分なども、年輪を重ねるとその余白に想いを馳せることができるようになり、楽しくなるね。
     愛知県犬山市は作中にも出てくる入鹿池があり、そのため水(排水)についての規制が厳しいのだよね。年に最低1回は犬山にいってお客さんとやりとりするからそういった話題が出るのだよね。
     浅見光彦は色んな俳優さんが演じているよね。自分は火曜サスペンス劇場の水谷豊さんが好きで。ご母堂は音羽信子さん、高橋悦史さんでね。そしてソアラは20ソアラ!30ソアラじゃ、ダメなんだよ(笑)

  • 愛知県犬山市の明治村で、大京物産課長・高桑雅文の死体が発見された。バッグの中には血染めの回数券が入っており、しかも被害者の血液型とは違っていた。事件発生時、美濃で和紙の取材をしていた浅見光彦は高桑の顔に記憶があった。数日前、「狂言強盗か」と報道された宝石商失踪事件の画面に彼の姿が映しだされていたのだ。ふたつの事件に一体どんな関係が?浅見は殺人現場に赴くのだが…。長編旅情ミステリー。

  • 浅見光彦シリーズ。
    美濃和紙を題材にして、美濃犬山と東北の地を舞台に、戦後疎開などのキーワードをちりばめてまとめている。

  • 【美濃路殺人事件】 内田康夫さん

    和紙の里、岐阜の蕨生へ取材に行くコトになった光彦。
    連れ立って取材へ行く予定の宮沢は一向に待ち合わせ場所へ訪れる気配がない。
    宮沢からの連絡が無いか自宅へ確認を入れようと公衆電話へ向かった光彦は
    見知らぬ女性からいきなりひっぱたかれた。どうやら女性の勘違いのようだが
    光彦が訂正しようとする前に女性はとっととその場を離れた。

    光彦は、たまたま取材で訪れた和紙の里で殺人事件に出くわした。
    被害者は大京物産課長の高桑という人物だった。
    被害者が発見された場所で、光彦は、先日彼をひっぱたいた
    女性が現場に花を手向ける姿を見た。

    光彦は被害者の姿に見覚えがあった。
    記憶を掘り返してみると、それは数日前に起きた宝石商の
    失踪事件を報道するテレビに映し出されている人物だった。

    彼はこの人物と失踪中の宝石商が幼馴染であったコトを知り
    彼をひっぱたいた女性はこの宝石商の娘であるコトを知った。

    宝石商の男は月岡といい多大な借金を抱えていた。
    彼は宝石と現金5000万円を持ってこつ然と姿を消したのだ
    彼の乗っていた車には大量の血痕が残されていたが、
    警察では狂言強盗では無いかと考えていた。

    高桑の殺害事件も月岡の失踪事件も、どちらの捜査も遅々として
    進まない。

    光彦は高桑の殺害に使われた凶器が発見された時、凶器を包んでいた
    和紙に注目した。。



    手漉きで作られた和紙には職人の癖が出る。
    手漉きの和紙は機械で作られた紙と異なり色が赤茶けてこない。
    和紙に使われている原料から、作られた年代や製作者まで推測することが出来る。
    一向に進まない捜査が、意外なトコロからもつれた糸が解けるように
    進んでいきます。犯人自体も想像し得なかった職人の世界の奥深さ。
    なかなか面白かったです。

     

  • このシリーズの楽しみの一つに、浅見光彦がヒロインとどこでどう出会うのか、ということがある。

    今回は新宿駅西口広場で若い女性にいきなり殴られてしまう、そんな衝撃的な出会いから物語は始まる。

    「和紙の里」岐阜県美濃市、宮城県白石市が事件にかかわっているようだ。

    あいかわらず、内田先生の手際のよいさわやかなお仕事ぶりに堪能しました。

    秋の褒章の季節、文化功労賞くらいは差し上げてもいいのでは。

  • いささか、話の結末として納得がいかない。

    恐山もそうだったけど、自殺するとわかってて、追わない。自由に縛りもしない。

    まぁ、このお話の場合、犯人が公に出て、事の真相が明るみに出たら、やっぱり偽装強盗だったんじゃないかって、また被害者の遺族がマスコミたたかれるだろうと、、、ところで、その宝石はいずこへ???

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著者プロフィール

1934年東京都北区生まれ。1980年に自費出版した『死者の木霊』で衝撃的デビュー。主人公の信濃のコロンボこと竹村警部が活躍する作品に加え、1982年に刊行された『後鳥羽伝説殺人事件』で初登場した浅見光彦を主人公にしたミステリー作品は大ベストセラーに。映像化作品も多数。2018年逝去。

「2022年 『箸墓幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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