アクアリウムの鯨 (角川文庫 た 29-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 80
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041832042

感想・レビュー・書評

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  •  『〝クジラ〟強調月間始めました!』12

     第12回は、谷村志穂さんの『アクアリウムの鯨』です。
     1991年刊行で、著者の小説デビュー作とのこと、谷村さんは初読でした。
     主人公は、研究助手の25歳女性・辻伽代子。他に、ダニを研究する寡黙な助教授・仲本、女性編集者・丸山亜紀、高校生ダイバー・小島拓也が関わる物語です。
     人を慕う側と慕われる側の揺れ動く思いが、自然の動植物の生態とともに描かれます。デビュー作ということもあるのでしょうか、とでも丁寧な筆致で、透明感のある文章という印象を受けました。
     ザトウクジラは大きく、やはり神聖な憧れの存在・象徴として描かれています。
     (愚問は承知の上で)著作から30年が経過した今、登場する大人たちの生き方や考え方を、読み手はどう受け取るかなと、考えてしまいました。煮え切らない、狡い、悲しい自己満足…。酷評しているのではなく…。
     主人公は、これでいいのか、幸せなのかという余計なお世話が、最後まで付き纏ってしまいました。

  • 谷村志穂は何冊か持っているのだけれど、湿度の高さが合わない。合わないのに買ってしまう。どうしてか何度か読んでしまう。でも合わない。不思議。

  • 動物のお医者さんの小説版のつもりで買ったのがまずった…。
    仕事や動物の描写はさすがにうまいですが(偉そうですいません)
    高校生は可愛い女子とくっついた方がいいよ…。
    あの人、そんなに魅力的かなぁ。

  • 大学院で応用動物学なる研究に従事している等身大の女性の、何ということはなさそうで、でもやっぱりちょっとドラマティックな日常を綴った一作。
    著者はエッセイを得意とされている方だが、なるほどこれはエッセイである、と言われてもそれほど違和感を抱かないような、私小説にも似た雰囲気。
    作中に漂う空気感と同様、読後に覚える想いもどことなく淡々としたものではあるが、私が動物好きということで甘めの星4つ。

  • 北海道などを舞台とした作品です。

  • 恋愛小説を好んで読みながらも、恋愛至上主義じゃない私にとってこの手の感情はいつもよく分からないなあ…と、思ってしまうんですよね。
    でも友人達を見ていると、こう言った話の様な状況にもなる…ってのは理解してはいるんですけど。
    文章は読みやすく、思うところある方には好まれるのではないかと。

  • 恋愛の形は人それぞれで、
    自分では想像できないような恋愛に出会うと、
    あぁ、こんな恋愛もあるのかと
    毎回びっくりする。

    でも好きな気持ちには変わりないんだよなぁ。

    好きな気持ちを伝えられずに、
    でもずっとそばにいる。
    自分がそばに居続けられる距離を保ちながら…

    せつない。

  • 儚くとも逞しく生きる、繊細な有機体のような物語でした。

  • 北海道大学で動物生態学を専攻した著書の
    正確な生物描写や、進化論なども、小説とは別に興味深く読ませて
    もらいました。

  • 彼女の小説処女作。
    高2、3の頃からずっと読みたかった作品。「この作品を読んだ人だけが参加できるキャンプ企画」があったんですよ、当時出入りしてた山屋に。読んでなかったから当然行けなかったんですが。
    元来小説家ではなかった人の処女作なので、最初の方は登場人物の取る行動から全くその意志が読み取れない。筆者と読者の間にある理解度の距離感が最後の最後にならないと解消されない。その距離感を最初からゼロに近い状態に保つのがプロの物書きだろうよ。
    内容面は申し分なかっただけに、その文章の拙さがもったいなかった。
    東野圭吾のある意味読者に優しい文章を読んだ後だからこんな感想を抱いてしまうのだろうか。

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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