- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041970027
感想・レビュー・書評
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読み終わったとき、ただのドッペルゲンガーがテーマのホラー、サスペンス?山本さんは女性の悩みとかリアルな部分を描く作家さんだと思ってたので不思議に感じた。
そのあと柚木麻子さんの解説まで読んで初めてこれは女性が搾取から逃れるための手引き書なんだと気付いた。
この本は1996年に書かれたもので、その時からこの視点をもっていた山本さんはやっぱりすごいなぁと感じた。
解説読まないとわからなかったので、自分はもっと物語の真意を読み解く力をつけよう…と思った詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう一度1冊ずつ読み返しています。
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幸せって何だろうね
自分で見つけて
自分の幸せに自信がなくなってしまうと
いったいどこにあるのだろうか。
探し続けても、多分見つからない。
あの時、あっちを選んでいれば
大きな選択
小さな選択
それを選んで今の自分がいるし
あの時選ばなかった方を選んだら
どうなっていたかなんて
想像するのは楽しいけど
それまで
実際にそうなったら
パラレルワールドを突き詰めると
ファンタジィになるけど
そこについては言及せずに
それはそれとして物語は進んでいく。
いやこの物語は進んでいく物語ではないのかもしれない、
そこにある、そこにいる。
気づいていること、そこにあったものに
どこまで気づけるのか、
無い物を求め続けて、探し続けて
でもそんなものは多分ない。
今あるところで
やろうとすることを重ねてやっておく。
いろんな見え方をする小説を久しぶりに読む。 -
自分を主観的に見るのはとても簡単で安心できるし、見たいものだけ見ていればいい。
が、客観的に見ようとすると見たくないものまで見なくてはいけないから怖い。 -
雑誌「VERY」のシスターフッド特集の中で紹介されていた1冊。
主人公の蒼子が、もう一人の自分に出会い、二人は入れ替わって生活をすることを決める。
お互いにないものねだりで、相手の表面的な良い部分だけをうらやましがり、徐々に行動がエスカレートしていく様子が、ホラーのように怖い。怖いけど、読み進める手が止まらない。
「余るほどの自由があれば心の拠り所が欲しくなり、強く愛されればそれは束縛に感じる」という一文が象徴的だった。
「あの時、もう一方の選択をしていたらどうなっていなのだろう…」と思ったことがある人は多いと思うが、過去に戻ってやり直すことができたとしても、同じような思いを抱えるのだろうと感じた。
ないものねだりをせず、今あるものに目を向けることで、穏やかに過ごせるのかもしれない。 -
3.37/3308
内容(「BOOK」データベースより)
『広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ替わることを決意した。誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。』
冒頭
『私には、男性を見る目がないらしい。
乱気流の中を行く飛行機で、私は唐突に気が付いた。』
『ブルーもしくはブルー』
著者:山本 文緒(やまもと ふみお)
出版社 : 角川書店
文庫 : 264ページ -
内容説明よりーー”誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。”ーーと書いてあるので、なんとなく和やかな気持ちで美しい恋愛小説でも読むかと手に取った本だったのですが。それとは全く違いました。
ドッペルゲンガー的な設定は面白く、続きが気になるのでサクサクと一気に読めてしまうのはよかったのですが、切ないとか愛おしいとかの感情が出てくるのは最後のほんの少しだけで、その過程は非常にスリリングで、ホラー要素も入った作品だと感じました。
ただ、「解説」には人によってこの作品の捉え方は様々と書いてあったので、感じ方が違う人もいるかも...?
蒼子Aはわがままで傲慢、蒼子Bは控えめで思いやりある成熟した女性...のように映っていたのですが、生きてきた人生は違えど、やっぱり同じ人間なのねー、同じ道辿るのねー、、と呆れながらも興味深い部分もありました^^;
そして山本文緒さんの、登場人物(女性)の心情描写は、女性作家ならではでうまく描かれてるな〜と感心しました。
恋が冷めていくときに女性から男性に向けた痛々しいくらいに辛辣な表現とか、自分勝手に想いが揺れる優柔不断さとか。。素晴らしかったです。
最新作の『自転しながら公転する』を読むのが楽しみです♪ -
「私には、男性を見る目がないらしい。」
と冒頭で語り始める蒼子A。
ヴァカンスの帰路。飛行機は、悪天候で行き先変更。隣席で眠っている男とは別れ話がついた。今日は六回目の結婚記念日。
成田から変更された到着空港は福岡。独りヴァカンスの続きで一泊。ウィンドーショッピング中に見かけた六年前に別れた恋人。自分そっくりの蒼子Bと連れ添って歩いている。
蒼子Aと蒼子B。同じ記憶を共有する二人の恋愛ファンタジー。分岐点は、二人の恋人の選択。「もし、彼を選んでいたら。」
著者のメッセージは、クライマックスで蒼子Bが語るところにあると思う。現代を生きる女性へのメッセージ。男の僕には、ちょっとコメントしづらいのだが、感じるところが多い小説だった。
思い知らされるのは、我々の世代が親とは異なる価値観の中で生きており、多くの悩みが同情されるたぐいのものではない事。であろうか。あと百年も経てば、親子が悩みを共有できる時代が来るのかも知れないが、僕たちはそれを見ることが出来ない。僕たちの世代は幸福なのか、不幸なのか。自分で結論を出さなければいけないのだろうな。と、思う一冊だった。 -
山本文緒さんという作家さんも初めて読んだかも。
と思ってたが、検索してみたら、去年 1冊だけ読んでたわ。
本の題名が、なんか昔聞いたことがあるなぁと思ったので手に取ってみた。
後で調べてみたら、NHKのドラマになってるのね。
もう昔だけど。
で、内容はトレンディドラマ的な内容。
広告代理店勤務の高収入な旦那に飽いてしまった主人公が、昔結婚まで考えた板前の彼とたまたま出会った際、結婚していた相手はドッペルゲンガーのもう一人の自分だった。
というように、内容はちょっとマンガチック。
ドッペルゲンガーなんてねぇ・・・辻褄が合わなくなってちょっと想定に無理があるしねぇ。
でも、この後どうなるんだろうと興味が沸き、ページを閉じられないですぐに読んでしまう。
読了感なんてないですが暇つぶしにはちょうどよい。