ブルーもしくはブルー (角川文庫 や 28-2)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 431
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970027

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わったとき、ただのドッペルゲンガーがテーマのホラー、サスペンス?山本さんは女性の悩みとかリアルな部分を描く作家さんだと思ってたので不思議に感じた。
    そのあと柚木麻子さんの解説まで読んで初めてこれは女性が搾取から逃れるための手引き書なんだと気付いた。
    この本は1996年に書かれたもので、その時からこの視点をもっていた山本さんはやっぱりすごいなぁと感じた。
    解説読まないとわからなかったので、自分はもっと物語の真意を読み解く力をつけよう…と思った

  • もう一度1冊ずつ読み返しています。

  • 幸せって何だろうね
    自分で見つけて
    自分の幸せに自信がなくなってしまうと
    いったいどこにあるのだろうか。
    探し続けても、多分見つからない。
    あの時、あっちを選んでいれば
    大きな選択
    小さな選択
    それを選んで今の自分がいるし
    あの時選ばなかった方を選んだら
    どうなっていたかなんて
    想像するのは楽しいけど
    それまで
    実際にそうなったら
    パラレルワールドを突き詰めると
    ファンタジィになるけど
    そこについては言及せずに
    それはそれとして物語は進んでいく。
    いやこの物語は進んでいく物語ではないのかもしれない、
    そこにある、そこにいる。
    気づいていること、そこにあったものに
    どこまで気づけるのか、
    無い物を求め続けて、探し続けて
    でもそんなものは多分ない。
    今あるところで
    やろうとすることを重ねてやっておく。
    いろんな見え方をする小説を久しぶりに読む。

  • 自分を主観的に見るのはとても簡単で安心できるし、見たいものだけ見ていればいい。
    が、客観的に見ようとすると見たくないものまで見なくてはいけないから怖い。

  • 雑誌「VERY」のシスターフッド特集の中で紹介されていた1冊。

    主人公の蒼子が、もう一人の自分に出会い、二人は入れ替わって生活をすることを決める。
    お互いにないものねだりで、相手の表面的な良い部分だけをうらやましがり、徐々に行動がエスカレートしていく様子が、ホラーのように怖い。怖いけど、読み進める手が止まらない。
    「余るほどの自由があれば心の拠り所が欲しくなり、強く愛されればそれは束縛に感じる」という一文が象徴的だった。

    「あの時、もう一方の選択をしていたらどうなっていなのだろう…」と思ったことがある人は多いと思うが、過去に戻ってやり直すことができたとしても、同じような思いを抱えるのだろうと感じた。
    ないものねだりをせず、今あるものに目を向けることで、穏やかに過ごせるのかもしれない。

  • 3.37/3308
    内容(「BOOK」データベースより)
    『広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。ある日、二人は入れ替わることを決意した。誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。』

    冒頭
    『私には、男性を見る目がないらしい。
    乱気流の中を行く飛行機で、私は唐突に気が付いた。』


    『ブルーもしくはブルー』
    著者:山本 文緒(やまもと ふみお)
    出版社 ‏: ‎角川書店
    文庫 ‏: ‎264ページ

  • 内容説明よりーー”誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のような美しい小説。”ーーと書いてあるので、なんとなく和やかな気持ちで美しい恋愛小説でも読むかと手に取った本だったのですが。それとは全く違いました。

    ドッペルゲンガー的な設定は面白く、続きが気になるのでサクサクと一気に読めてしまうのはよかったのですが、切ないとか愛おしいとかの感情が出てくるのは最後のほんの少しだけで、その過程は非常にスリリングで、ホラー要素も入った作品だと感じました。

    ただ、「解説」には人によってこの作品の捉え方は様々と書いてあったので、感じ方が違う人もいるかも...?

    蒼子Aはわがままで傲慢、蒼子Bは控えめで思いやりある成熟した女性...のように映っていたのですが、生きてきた人生は違えど、やっぱり同じ人間なのねー、同じ道辿るのねー、、と呆れながらも興味深い部分もありました^^;

    そして山本文緒さんの、登場人物(女性)の心情描写は、女性作家ならではでうまく描かれてるな〜と感心しました。
    恋が冷めていくときに女性から男性に向けた痛々しいくらいに辛辣な表現とか、自分勝手に想いが揺れる優柔不断さとか。。素晴らしかったです。

    最新作の『自転しながら公転する』を読むのが楽しみです♪

  • 「私には、男性を見る目がないらしい。」
    と冒頭で語り始める蒼子A。
    ヴァカンスの帰路。飛行機は、悪天候で行き先変更。隣席で眠っている男とは別れ話がついた。今日は六回目の結婚記念日。
    成田から変更された到着空港は福岡。独りヴァカンスの続きで一泊。ウィンドーショッピング中に見かけた六年前に別れた恋人。自分そっくりの蒼子Bと連れ添って歩いている。
    蒼子Aと蒼子B。同じ記憶を共有する二人の恋愛ファンタジー。分岐点は、二人の恋人の選択。「もし、彼を選んでいたら。」

    著者のメッセージは、クライマックスで蒼子Bが語るところにあると思う。現代を生きる女性へのメッセージ。男の僕には、ちょっとコメントしづらいのだが、感じるところが多い小説だった。
    思い知らされるのは、我々の世代が親とは異なる価値観の中で生きており、多くの悩みが同情されるたぐいのものではない事。であろうか。あと百年も経てば、親子が悩みを共有できる時代が来るのかも知れないが、僕たちはそれを見ることが出来ない。僕たちの世代は幸福なのか、不幸なのか。自分で結論を出さなければいけないのだろうな。と、思う一冊だった。

  • 都内で広告代理店勤務の素敵な男と結婚し、
    その6回目の結婚記念日に年下の不倫相手と旅行を楽しむ蒼子A。
    そして、蒼子Aの昔の恋人と結婚し博多に住む蒼子Bは、
    実は蒼子Aと同じ境遇・生い立ち・思い出などを共有している事に気が付く、
    ドッペルゲンガーのように瓜二つの2人は、
    ある時、自分達が入れ替わり、別の生活を送る事を決意した。

    主なあらすじ。
    小説表紙の一番後ろに、もっと詳しく書かれてあり、
    それを最初に読んだ時は「ドッペルゲンガー?」と思っていました。
    読み進めて行くうちに蒼子Aと蒼子Bの時間共有の部分、
    (2人の父との過去)がチョット頭が痛くなる設定だったので、
    その部分が読みづらかったです。
    それから、読んる行くうちに「コレは精神的スワッピングだ」
    と考えて居たのですが、
    解説の三橋暁氏が書いている通りに全体的には、
    「万華鏡の魅力」で纏められてあります。

    読み始め、読み進め、読み終わり。
    感想が色々変わる作品も珍しかったのですが、
    読み終わった感想としては、
    「自分よりも環境の良い所に、もう一人の自分が居たら、
    入れ替わってみたいと思う心理は誰にでも起こるものだな」
    「もし、自分も同じ状況になったら入れ替わるかも」
    と、そう思いました。

    蒼子Aは、優しく何も言わずお金も好きに使い、好きなモノを買い、
    好きな時に好きな所に行って来たら良いと言ってくれる、
    仏のような旦那との順風満帆な結婚生活を送っているようなモノの、
    旦那の愛人問題でストレスを抱えている。
    蒼子Bは、決して裕福な暮らしをしている訳では無い。
    無骨で荒々しい男だが、それでも仕事と蒼子Bの事しか頭にない河見との
    結婚生活を送っている。

    蒼子Aは旦那からの束縛される程の愛情を。
    蒼子Bはお金と解放と自由を。
    2人とも欲しかったモノがリンクした時に交換結託する。

    要は無い物強請りなのだなぁ~女って。
    という感想になりました。
    現状で満足してたら良いのにぃ~と思った矢先、
    蒼子A・蒼子B共に夫とは別れて自ら人生を歩もうとする。
    最後は、あれ程壮絶な期間を過した2人なのに、
    蒼子Bから蒼子Aへの一通の手紙で小説は終わってしまう。
    この小説の結末こそ「万華鏡」なんだろう。

    このお話は個人的に意味不明な所も多く、
    「コレは現実的に起こるかな?」と不思議な部分もありましたが、
    この小説は山本文緒氏の技量なんだろうと思いました。
    他に「パイナップルの彼方」も読みたいです。

  • 山本文緒さんという作家さんも初めて読んだかも。
    と思ってたが、検索してみたら、去年 1冊だけ読んでたわ。

    本の題名が、なんか昔聞いたことがあるなぁと思ったので手に取ってみた。
    後で調べてみたら、NHKのドラマになってるのね。
    もう昔だけど。

    で、内容はトレンディドラマ的な内容。

    広告代理店勤務の高収入な旦那に飽いてしまった主人公が、昔結婚まで考えた板前の彼とたまたま出会った際、結婚していた相手はドッペルゲンガーのもう一人の自分だった。

    というように、内容はちょっとマンガチック。
    ドッペルゲンガーなんてねぇ・・・辻褄が合わなくなってちょっと想定に無理があるしねぇ。
    でも、この後どうなるんだろうと興味が沸き、ページを閉じられないですぐに読んでしまう。
    読了感なんてないですが暇つぶしにはちょうどよい。

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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