みんないってしまう (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970065

感想・レビュー・書評

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  • 各ストーリー内で喪失のあとにもどこか前向きで重苦しさがない。一方で、私は何かを失くして後悔して執着して…。
    いずれ、失くしたことも忘れて、毎日が回っていくんだろうか。ある意味、希望を見出せるような短編集だったけど、今の私にはうまく消化できません。
    この歳で失恋をして本を読み漁っています。

    再読
    失くして悔やまれることがあっても、時間と共に癒されていく。必ず。苦渋することから、キラキラと良い思い出になっていく。忘れることはないけれど。

  • 新年読書二冊目!失う事は寂しかったり哀しかったりするけれど、全ての物語がそれだけでは終わらない。喪失の先の未来に希望が見える話もあった。私的には、するすると読める文体で1日で一気に読みました。

  • 「対象喪失」をテーマにした短編集。

    昨年、人生は選択の連続で、選択するということは、代わりに何かを捨てることだと気がついた。
    そして時が経ち、何かを捨てることは、「喪失」ではなく、「変化」なのだと気がついた。

    何かを守るために喪失する。
    何かを喪失したが故に何かを得る。
    切ないけれど、人間は取捨選択しながら生きているのだから仕方ない。

    失っても失っても残っていく、欠片のようなもの――。
    実はそれが、本当に欲しかったもの・望んでいたものなのかもしれない。

    昨年、大事なものを失ったと思っていたけれど、
    本音を言えば、失ってホッとしている自分がいる。

    本当は心のどこかで失いたかったのかもしれない。
    捨てるべきものを捨てられない自分がいたことに目を瞑っていただけ。
    捨てられないままズルズル生きていたら、逆に自分が捨てられた。
    それでよかったんだと思う。

    それが、今後の自分の人生を守ることにつながったという変な確信があるから...

  • 再読。
    弱さを抱えた作品ばかりだと感じた。
    読むと心のどこかがひりひりする。
    好き嫌いは別として、そんな作品ばかりだった。
    だから、この本を捨てられなかったのだ。


    2001.10.6
    みんな弱いな、と思う。ここに出てくる人たちはみんなとても弱くて、私はとても共感する。くっきりとしっかりと明確に切り取った小説だと思う。一人一人の気持ちが、じんと伝わってきた。

  • 短編集なので隙間時間にちびちび読んだ。

    きれいごとがない、人間の膿を含んで描かれるストーリーが最高に好き。

    いい子じゃなくてもいいんだ、と思える。

    本書は喪うストーリーが描かれているけど、
    解説にもあるように、我々にその後を委ねながら恐らく失った分しっかりと得ている。

    この獲得に気付けるかどうか、
    我々にも問われているように思う。
    失ったものにばかり目を向けてはいけない。

  • 何十年かぶりに再読したが新鮮に読めた。

    解説を書かれた浜野さんのいう様に、
    山本文雄は『ああ、面白かった』だけじゃ決して帰してはくれないのだ。

    結末を読み手に委ねて『あなたにとってはどうすることが本当の幸せですか?』と人生観を問うている。

    やっぱり山本文雄さん好きだなぁ〜と改めて思ったので他の本も読んでみようと思う。

  •  山本文緒「みんないってしまう」、1997.1刊行、1999.6文庫。喪失をテーマにした12の短編集。結末は読み手に委ねられています。切り口がユニークで、結構楽しめました。私のお気に入りは、「愛はお財布の中」と「イバラ咲くおしゃれ道」です。

  • 何かが新しくなることは同時に何かを喪失しているということ。喪失は必ずしも悪いことではなくて、その先の行動をどうするか。喪失したことすら人は忘れて日々過ごす、というのは本当そうだなと思った。

    ・言いたくない、が気づいてほしいの裏返しなら、死んでしまいたい、は生きていたいということだろうか。
    ・ひとつ失くすと、ひとつ貰える。そうやってまた毎日は回っていく。幸福も絶望も失っていき、やがて失くしたことすら忘れていく。ただ流されていく。思いもよらない美しい岸辺まで。

  • 12の短編集。

    淡々と語られている物語で、よくありそうななさそうな。
    出てくる人達の立場も職種もばらばらで
    得した感がありました。

  • 山本文緒さんの作品を古い順から再読しています。もう新しい作品を読めないのが残念で悲しい…
    山本さんもいってしまったなんて。

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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